ロマンティックあげるよ
小学生のころ祖父の家でドラゴンボールを観ていた僕はどうしようもなくこの初代エンディング(以下ED)である「ロマンティックあげるよ」に惹かれていました。
当時は何となく「良い」としか感じていませんでしたが、改めてみるとナルホド!が多かったので忘れないように残しておこう!
難しい話はしないよ。
あと、私は放送当時のリアタイ勢ではありませんし、インタビューや資料をもとにこの記事を書いているわけでもないです。私はこう思いました!って記事なのでそこんとこどうぞよしなに
前提の整理
上記しましたが「ロマンティックあげるよ」とはドラゴンボールの初代EDです。そして、ご存知の方も多いでしょうが初期のドラゴンボールはバトルアニメよりも冒険アニメという色が強く出ていました。その名の通りドラゴンボールを七つ集めて神龍にお願いしよう!と。
そしてロマンティックあげるよとは主人公の孫悟空ではなく、一緒に冒険をするブルマに焦点を当てたEDです。元気いっぱいのOP、本編に比べて少ししっとりとした曲調に橋本潮さんのストレートでいてどこか儚さを感じさせるボーカルが印象的です。
本題
さぁ、本題に入りますがいきなり山場です!
上記のイラスト、懐かしいですね。ロマンティックあげるよといったらこの画面!という方も多いんじゃないでしょうか。
テンテンテレンテン♪というイントロとともにこの画面が映し出されます。実はこの1枚、前提を整理するだけで驚くほどの情報を含んでいたことがわかります。
まず、状況。外のその印象的な山々から状況は冒険の最中で夜になり雨が降ってきたからポイポイカプセルで家を出して朝を待っていることがわかります。そして、前提の整理の段階では話しませんでしたがブルマは実は(ほとんど)紅一点で冒険を続けていました。そして、観ての通りイヤホンをさし、頬に手を当て文字通り真一文字に口を閉じて外を眺めています。
まとめると、「紅一点で気が合う相手もいない、夢を叶えるための命がけの摩訶不思議な冒険の最中、少しでも気が休まる瞬間のおセンチな女の子」を描いているわけです。あの元気いっぱいのドラゴンボールの中で!そりゃあ心奪われますよねって話ですよ。
また、反射したガラスの中にいるブルマは真っ直ぐにこちら側を観ているようにも感じれられ視聴者はドキッとさせられます。
歌詞
歌詞に着目してみよう!
歌詞の中に「不思議したくて 冒険したくて」という一節があります。
ブルマはここでドラゴンボールの在りかを示すドラゴンレーダーを確認して、自分たちの冒険の行く末をじっと見つめています。画面からわかる通り髪が大きくなびくほどの風が吹いていますが、眉が吊り上がるほど見開いた眼は瞬き一つせず、口にはしわができるほどギュッと力を入れられています。その逞しさに歌詞も相まってブルマの冒険への覚悟が伺えます。
次に以下の4場面がテンポよく映し出されます
先程の決意の表情のあとにこれらの場面が音ハメされて映し出されます。先ほどの覚悟の表情、曲調が明るくなる瞬間にテンポよく手袋をつける、ゴーグルを被る、マガジンを入れる、レバーを引くという準備をしていることからこれから冒険のシーンが来ることを示しています。先程のブルマの心境を考えると短いシーンですがここも飛ばし見できません。
その次には私が着目しているのはブルマが女の子であるというところです。放送当時の空気感はわかりませんが私が小学生のころでもまだ「男の子はガキでバカで、女の子は大人で沈着」そんなイメージがありました。歌詞の中に「大人のフリしてあきらめちゃ 奇跡の謎など解けないよ」という一節があります。ブルマに視点を置くと「女の子だからという理由で」と付け加えることができますね。そしてその瞬間に画面に出てたブルマがこれなんです。
男の衣装をバッチリ着こなしています。
自分が女であるを理由にしない強い生き方をしていたのですね。
このEDの中のブルマはますらおぶりとたおやめぶりが共存しています。その二面性が我々の中のブルマ像を奥深く広げているのです。
中盤!
ここからは曲も盛り上がり楽しそうな冒険の様子が映し出されます。
そしてEDも終盤を迎えます
ED中盤は音楽がサビだったこともあってたのしそうな冒険の様子が目立ちましたがここに来てもう一度少し感傷的なブルマが映し出されます。それを象徴するかのように外の景色も壁の内側も暗いですね。
また、このスラっと伸びた脚に私たちはドキッとしてしまい、その刹那に罪悪感に見舞われます。ブルマは冒険の中でおセンチになってしまっているのに、と。この気まずさ、罪悪感は私たちに「ブルマ」という存在そのものを強く印象付けています。
その後に雨が上がり、真一文字だったブルマの口からは白い歯が見え、頬杖もついていません。雨が上がった外を眺めていることから明日からの冒険への期待が高まっている様子がうかがえます。
そんなブルマを応援するかのように幸運の象徴である流れ星が流れる、そんな微笑んだ夜空が映し出されてEDは幕を閉じます。
毎週流れるED、毎週流れるED(大事なので2回)の最終カットでこれからの冒険を暗喩するような流れ星、そして明かりの点いていて煙の上がっているポイポイカプセルで終わることで、そこには悟空ブルマが存在し、これからも摩訶不思議な冒険は続くという印象を視聴者に強く与えています。
(↑これまじ天才)
まとめ
私はこのEDが「ドラゴンボールのED」であるから強く心惹かれました。
ただの元気いっぱいの摩訶不思議冒険アニメ一辺倒ではなく、ここまでおセンチさを入れてくれることよって我々の心の中にこの冒険譚は深く刻まれ、ドラゴンボールというアニメは我々にとっての特別になりました。
なんだかまた見たくなっちまったなぁ!
おわり