「養老乃瀧で日本酒を楽しむ会」2023年も好評開催中!
いらっしゃいませ!
日本各地の名だたる酒造メーカーさんをお招きし、おいしさへのこだわりをお聞きしつつ、自慢の銘柄を養老乃瀧のお料理とペアリングして楽しんでいただく「養老乃瀧で日本酒を楽しむ会」。
2023年はこの4月からスタートしています。今回は、ここまでの3回の模様をレポートします。
■4月12日 小澤酒造(東京都)
4月にお招きしたのは名酒「澤乃井」で知られる小澤酒造さん。東京都青梅市にある、300年以上の歴史を誇る蔵元さんです。
今回は23代目当主・小澤幹夫さん(中央)、そして営業部の関口正人さん(右)がお越しくださりました。
まずは「純米吟醸 蒼天(そうてん)」で乾杯。蒼天はフルーティーで甘みもあり、バランスのよさが特徴のお酒です。
ここから、小澤さんのお話をうかがっていきます。
小澤「私どもの創業は1702年。江戸時代の元禄15年です。歴史の教科書を見ると、当時はちょうど忠臣蔵のころ。その時から約320年、東京の奥多摩でお酒造りを続けています。
『東京の酒蔵です』と言うと、特に地方では驚かれます。全国で酒蔵は約1200ほどありますが、そのうち10軒ほどが東京都内にあります。ほとんどが立川から西のエリアに集中しており、その中でも小澤酒造は最も西の山奥にあります。非常に水が豊かで、『奥多摩わさび』が獲れることで知られていることからも、本当に水のきれいな地域であることをご理解いただけると思います」
小澤酒造さんは硬水と軟水の2つの井戸を持つ、非常に珍しい酒蔵です。多摩川を挟み、両岸から硬水と軟水の両方をくみ上げています。このような酒蔵は全国的に見ても、ほとんどありません。
小澤「硬水はミネラルやカルシウムを多く含み、それらが酵母のエサになり発酵がよく進みます。それにより、濃くて重たい味のお酒ができます。伝統的な生酛(きもと)造りのように、人が手を加える部分を最小限にとどめ、酵母の発酵力を生かしてお酒を造る時は、硬水を使うことが多いです。
それに対して、軟水で造ったお酒は透明感があり、飲み口が優しく、少し芯のある仕上がりになります。今のお酒は軟水で仕込むことが圧倒的に多いですね。ちなみに今回お持ちした5銘柄は、すべて軟水で造りました。
どんなお酒を造るかを企画する時、水選びから考えることができる。これは大きな強みだと思っております。そして、自社ブランドである澤乃井が人と人をつなぐ潤滑油になればうれしいですね」
■小澤酒造さんに持参いただいた「澤乃井」の5銘柄と、ペアリングしたおつまみをご紹介。
①純米吟醸 蒼天(そうてん)
②純米 大辛口(だいからくち)
③本醸造 無濾過生原酒
④吟醸 中汲み
⑤熟成酒 藏守(2013年 純米)
小澤酒造さんについて、詳しくはこちらをごらんください。
今回の会の模様は「日本酒チャンネル by養老乃瀧」にもアップされています。
■5月10日 吉川醸造(神奈川県)
5月は、神奈川県伊勢原市の吉川醸造さんをお招きしました。
神奈川県の丹沢・大山。晴れた日にも山頂が霧や霞で覆われることが多く、昔から「雨降山(あふりやま)」と呼ばれていました。大山の樹々に降りしきる雨のしずくが地中にしみ込み、長い年月をかけてふもとまで流れていきます。
吉川醸造さんはそんな良質な地下伏流水を使っています。こちらの水は、日本では希少な硬度150~160の硬水。マグネシウムやカルシウムなどのミネラルを豊富に含んでいます。硬水は酵母の発酵を促し、低温下でも醸すことができるため、すっきりとした味に仕上がります。
そしてもう一つの特徴が「精米歩合」。日本酒を造る時、通常は酒米を多く削ります。玄米を外側から削り、残った割合を%で示したのが精米歩合。吟醸酒は60%、大吟醸は50%以下でなければなりません。これは、玄米の外殻にアミノ酸やタンパク質など、雑味を生じさせやすい成分がたくさん含まれているから。そのため「精米歩合が低いほど高級なお酒」という考え方も確かにあります。
でも吉川醸造では、精米部合90%の「削らないお酒」造りに挑戦しています。それは、お米のすべての要素を引き出すことで味わい深さを追求したい、という思いから。時間も手間も通常の倍ほどかかるそうですが、お米のすべての要素を再構築した味わいは、他にはないものです。
■吉川醸造さんに持参いただいた5銘柄と、ペアリングしたおつまみをご紹介。
①雨降 純米大吟醸 雄町
きれいな吟醸香と、雄町特有の厚みのある味わい。バランスのよさが魅力。ペアリングしたのは「海老の塩焼き」
②雨降 山廃仕込み 純米 山田錦
「Kura Master2022」金賞受賞。精米歩合90%の山田錦を超低温で仕込み、まろやかでみずみずしい旨味と、?歩合40%の豊かな香りが特徴。ペアリングしたのは「ヤンニョムチキン」
③雨降 桃色純米かすみさけ
しぼりたての果汁のようなジューシーで重厚感のある味わい。甘みと酸味のバランスが絶妙。ペアリングしたのは「アイスブリュレ」
④菊勇 しぼりたて純米生原酒
凛とした味わいの中にふんわりと優しい飲み口の純米酒。女性に人気あり。ペアリングしたのは「あさりの酒蒸し」
⑤菊勇 吟仕込の雨降 大山純米酒
熱水のシャワーで瓶を加熱する「パストライザー」で火入れを1回のみ行い、生酒のようなフレッシュさと芳醇な味わい、そして豊かな香りを実現。ペアリングしたのは「さばの塩焼き」
吉川醸造さんについて、詳しくはこちらをごらんください。
会の模様はこちらをぜひごらんください。
■6月14日 紫波酒造店(岩手)
紫波(しわ)酒造店さんは、「南部杜氏発祥の地」として知られる岩手県紫波郡紫波町にある小さな酒蔵さんです。
現在は南部杜氏初の女性杜氏・小野裕美さんが日々、お酒造りに励んでおり、「廣喜(ひろき)」と「紫宙(しそら)」という二つのブランドを展開しています。
今回お招きした株式会社紫波酒造店 営業部 部長の山崎司さんはこう語ります。
「私どもは1903年の創業で今年120年になります。廣喜は江戸時代から伝わる伝統的な製法で造る、きもと系のお酒。どっしり、しっかりした味わいが特徴です。それに対し紫宙は甘口で飲みやすいのが特徴で、昨年新たに立ち上げたブランドになります。二つの味わいを並べることで、お客様に好みに応じた選択をしていただきたいと考えました」
今回は定員いっぱいの方が来てくださり満席。大きな理由が「紫宙人気」。地元・岩手県内でもなかなか手に入らない貴重なお酒を好きなだけ楽しめる珍しい機会ということで、特に女性の参加者が多くいらっしゃいました。
山崎「ありがたい限りです。紫宙はすべて、純米大吟醸の無濾過生原酒ですが、アルコール度数を15度に抑え、飲みやすい甘口でキレのある味に仕上げています。多くの方から支持をいただいています」
紫波酒造さんはもともと広田酒店という小さな酒蔵で、昔は需要のほぼすべてを岩手県内でまかなっていたそうです。昨年10月の法人化を機に、いくつもあったブランドの統廃合。古くからある廣喜と、新ブランドの紫宙にまとめていった、とのこと。
山崎「特に紫宙は日本酒初級者の方でも飲みやすいお酒。日本酒ビギナーにしっかり受け入れてもらえるよう、優しい味の造りにしています。もちろん女性ばかりではなく、男性のファンも多いです。
今は国内だけでなく韓国、中国、台湾、マレーシア、オーストラリアなどに輸出しており、欧米からのオファーもあります。多くの国からぜひ、とお声がけをいただいていますが、生産量に限界があり、今のところお断りせざるを得ない状況。ここまで人気が出るのは想定外でした。
紫宙をきっかけに徐々に本格的な日本酒の味を覚え、生酛の廣喜も楽しんでもらえたらうれしいですね」
■紫波酒造さんに持参いただいた5銘柄と、ペアリングしたおつまみをご紹介。
①廣喜 スパークリング
②廣喜 純米大吟醸原酒「喜平治」
③廣喜 純米吟醸 磨き五割五分
④廣喜 特別純米 磨き六割
⑤紫宙 純米吟醸無濾過原酒 秋田酒こまち
紫波酒造店について、詳しくはこちらをごらんください。
会の模様はこちらにアップされています。
■『養老乃瀧で日本酒を楽しむ会』今後の予定
養老乃瀧ではさまざまな酒造メーカーさんをお招きし、日本酒のおいしさの秘密に迫るイベント『養老乃瀧で日本酒を楽しむ会』を定期開催しています。
7月以降の開催予定は以下の通り。ただし変更の可能性ありますので、ご注意ください。
皆様、ふるってご参加下さい!
「日本酒チャンネル by 養老乃瀧」では、日本酒にまつわる最新コンテンツを配信しております。ぜひ、チャンネル登録をよろしくお願いいたします。
では、また!
(終わり)