宇治、ひとり旅。 - 散策編 -
宇治でひとり、まったり旅。
朝には坐禅体験をし、そのあとはお茶室でお抹茶とお菓子をおいしくいただいた。
▼ 坐禅体験
▼ お茶室
ちょうどお昼どきになり、お腹も程よく空いてきた。
宇治の名物といえば「茶そば」らしい。
飲食店の前を通りすぎるたびに「茶そば」の文字を見かけた。
しかし、どこもそれなりに人が並んでいる。
「どうしようかな……」と平等院エリアを散策してみることに。
裏手の路地に入ると、居心地よさそうな旅館を見つけた。一階部分はお食事処になっている。
他のお店と比べて、比較的空いているようだった。「空いている」というのもまた悩みどころである。
観光客には馴染みのないお店なのか、はたまた……
他も当たってはみたが、やはりどこもそれりに混雑していた。
「えいっ!」
勇気をだしてそのお店へ再び足を運んだ。
店内は、お昼どきが過ぎたからかお客は一人もいなかった。
もう後戻りはできない。
「お好きな席へどうぞ」
そう言われて、窓際の4人席に腰掛けた。
飲食店やカフェで、「わたし的にここ!」という席に座れたときの喜びは絶大である。
席ひとつで気分がこんなにも変わるだなんて。
特等席にて「茶そば」を注文した。
するとひとりの男性がやってきた。
推定は75歳くらいだろうか。
その男性は、店員さんと仲良さそうに声をかけた。
厨房にいるスタッフさんにも挨拶をすると、瓶ビールを注文した。
しばらくして瓶ビールを運んできた店員さん。
するとお互いの家族の近況を話しはじめたではないか。
なるほど、近所の方なのか。
どうやらこのお店は、地元のひとにも愛されているらしい。
入店前から気になっていた、入り口近くの歩道に腰掛けてそばを啜る、犬の散歩途中のおじさんも、どうやらここのお蕎麦を食べていたようだった。
そんな様子を見ていると、いまこうしてこのお店の茶そばを待っていることに喜びが込み上がる。
肝心の茶そばは、初めてだったからなにかと比較することはできないけれど、ほのかにお茶の香りがして、座禅とお抹茶のあとにいただくにはうってつけだった。
サクッと平らげてお会計を済ませると「美味しかったです」とひと言伝えた。
すると店員さんが「ありがとうございます!」と笑顔で返してくれて、心はさらにハッピー。
気持ちのよいコミュニケーションがとれたことに、嬉しさでいっぱいになった。
平等院エリアはさほど広くはない。
宇治の見どころも割りかし1日くらいで満喫できるだろう。
わたしはそんな宇治の街が好きだ。
平等院があり、おいしいお茶のお店が連なり、美しい川が流れ、緑しげる山々が心地よい。
観光客は京都の中心部と比べたらさほど多くはなく、だからこそゆったりと歩いて楽しむことができる。
わたしにとって、近いようで遠いこの場所。
だからこそ、こんなにも特別なじかんを過ごせたのかもしれない。
誰かといく旅はもちろん楽しいが、じぶんのペースでじぶんの心と対話しながら過ごすひとり旅も、これまた格別なじかんだった。
(完)
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