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選択肢を発信する原動力:ヨリミチでみつけた多様な価値観 ~メンバー紹介➀~

2024年3月に始動したヨリミチ。そんなヨリミチも、もうすぐ立ち上げから11ヶ月経ち、先月には団体初となる年間活動報告会&ワークショップを開催いたしました。

今回の記事は、そのヨリミチのメンバーの一人であるゆうさんにお話を伺いました。

私たちヨリミチは「様々な選択肢があること」を発信するために、フリースクールや居場所支援活動に取り組まれている方々に、取材を行いnoteの記事として想いを発信しています。

ゆうさんがどんな想いで記事を書き、発信しているのか。
記事を通して知っていただけたら幸いです。

ゆうさんは社会学のゼミに所属する大学4年生。マイノリティの視点から、社会を捉えることに着目し、卒業論文では、起立性調節障害の方々にインタビューを実施し、実際の経験や体験を社会学の観点からまとめている。

ゆうさん(大学4年生)

卒業論文のテーマをここに焦点を当てた理由は何なのか。ゆうさんはゆっくりと、そして丁寧に答えてくれた。

「目に見える障がいや病というのもあると思うんですけど、目に見えなくてわかりづらい症状や病も世の中にはあって、見えにくいが故の困難や、当事者の方たちに焦点が当てられていない状況があるなと思っていました。」

「その中の一つである起立性調節障害もなかなかわかりづらかったりするんじゃないかなっていう問いから実際に当事者の方からお話を伺いたいと思い、卒業論文で取り組むことにしました。」

起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation:OD)は、立ち上がった時に頭痛、めまい、倦怠感などの症状がでる病気で、血圧や心拍数など循環器系の自律神経の調節に不調をきたすことが原因になります。思春期に発症しやすく、午前に症状が強いため、学校生活に支障をきたすことがあります。重症例では不登校やひきこもりになってしまい、その後の社会復帰にも大きな支障をきたすことがあります。

一般社団法人 小児心身医学会 | 起立性調節障害(2024/12/27閲覧)


「インタビューや、ゼミの活動を通して感じるのは、こういう病気だからこうだろうみたいな、偏見を持ってしまっていたなと思って。」

「でも、やっぱり実際にお話を聞いてみないとわからない部分がたくさんありました。少しでも何かに寄り添ったりするには、まずはその人のお話を聞くことが大事だとすごく感じています。」

「ひとつの病気においても、その病気の人が全員全く同じ症状になるではなく、その病気の中にもグラデーションがあったり、多様な部分があるっていうのをすごく感じているので、一人一人の話を聞くことも大事だなって思います。」

グラデーション という表現に私は胸を打たれた。私自身、グラデーションという言葉は、目にみえる物事に対しての状態を表現する際に用いることはあったが、概念に対しての表現として用いたことはなかった。

印象的な本と積読

ゆうさんは研究の過程で、起立性調節障害をテーマとしたインターンに参加し、そこでヨリミチメンバーのわさびさんと出会うことになる。インターンに参加する前とした後で、何か自身や自己の周りで変わったことはあったのだろうか。

「そうですね。 参加する前は、私は当事者ではないし、当事者じゃない人が何かできることはあるのかなみたいな思いもすこしありました。」

「その迷いを通して、何かを人にしようとする前に自分はどういうことをされたときにどういう気持ちになるのかとか。自分のことに置き換えて考えてみることが大事なのかなって思いました。」

「もう一つが、思い切って別の場所に足を踏み入れると、新しい出会いや考えを知ることができたので、少しでも関心があるなって思ったら飛び込んでみようという、自分の中の新たな選択肢ができました。」

インターンが終わった後、ゆうさんはわさびさんに誘われ、そしてゆきのさんという仲間と三人でヨリミチを立ち上げた。

わさびさんに誘われたときのことをゆうさんはこう振り返る。

「私自身あまりフリースクールとか教育のことを全然知らなかったんですけど、わさびさんがすごくキラキラした顔で説明をされてて(笑)
まだなにもわからないけど、ちょっと面白そうだなっていうふうに感じて。『詳しくお話聞きたいです』って答えました。」

そして、2024年3月から活動が始まった。
今までの活動で感じたやりがいや苦労を聞いてみる。

「やっぱり取材させていただいたスタッフの方からフィードバックや、反応をいただけるのはすごくやりがいになっています。難しいことは、記事を作ることですかね…。記事を書くことに関しては初心者なので、コツコツ地道に頑張っています。」

「あと、どうしてもnoteだと読者の方の反応を得られにくいというところもあるので、読者の視点から言葉を伝えられているのかどうかはいつも不安です。」

ゆうさんの言う通り、記事には発信側と受け取り側が存在する。発信者側としてどんなことに気をつけているのだろう。

「そうですね。まず伝えたい人を決めて、しっかりとその方に伝わるかどうかを考えるようにしています。フリースクールの方とお話ししていると、だんだん用語について自分自身が詳しくなってくるんですけど、ただこの言葉って全く知らない人には伝わるのかなとか。」

「そういうのは常にメンバーとも話し合って、どんな方でも読みやすいような記事になるように心がけています。」

まず伝えたい人を決める。ゆうさんはどんな方に記事を届けたいですか?

「まずは、フリースクールとか何か新しい学ぶ場所を探している保護者の方や、実際に通われるお子さんにはやっぱり届いてほしいなと思ってます。あとは、選択肢や道を知ることって大事だなって思っているので、フリースクールにあまり関心がない方にも届けたいです。」

週に一度のミーティングではそれぞれがメンバーの記事に対して意見を出し合う。
出身もばらばらなメンバーで構成されたヨリミチだが、ゆうさんからみてメンバーの共通点はあるのだろうか。

「私とゆきのさんは、”知らない世界を知る”というか、”自分にない価値観とか新しい考え方を知る”ことにお互いに関心がありました。そこが似ていると思ったし、フリースクールとか教育という全く知らない世界でも関心を持って活動に取り組めるんじゃないかと思いました。」

先月末にはゆうさんが主体となってヨリミチ初のイベントを開催した

ヨリミチの目的はいろんな選択肢があることを世の中に発信すること。
ゆうさん自身が今まで選択に悩み、葛藤した出来事はありますか。

「葛藤とまでは言えないかもしれないんですけど、選択に悩んだのは一番最近だと就職活動かなと思ってます。なかなか自分がやりたいこととか、関心があることを見つけられなくて。自分の目指す方向性が定まらないのが悩みというか。」

卒業が近づくにつれて、誰しも自身の進路について考えるようになる。
自身と向き合い、悩む人も少なくない。
ゆうさんは、どうやってそれを乗り越えたんですか。

「こういう仕事内容だったらこの職業しかないかも、と最初から自分の中で決めつけちゃっている部分があったんですけど、一旦視野を広げて、1 から考え直していくことで、新しい選択肢を見つけられました。」

同じように進路に悩んでいる方にメッセージをいただきたいです。

「自分のこの選択が果たして合っていたかっていうのはなかなかわからない部分ではあるんですけど、自分の中にある違和感に正直になることが大事かなと思っています。」

「自分の気持ちを見つめるのはちょっと辛いけど、見つめることで、自分が納得のいく選択をすることができました。」

「私自身いろんな選択肢を知りたいという欲が今すごくあって。いろんな選択肢があって、自分の選択が合っているのか不安になることもあると思います。けど、どれも間違いではないと思っています。」

大学ではマンドリン部に所属している

これからもメンバーの一員として活動を続けていくゆうさん。今後ヨリミチをどのような団体にしていきたいのか。

「身近な目標は、もっとたくさん記事を書くことです。まずいろんな選択肢があるんだよっていうのを記事を通して伝えたいです。」

「大きな目標ですと、今は 4 人で活動してるんですけど、もっともっとメンバーが増えたり、メンバー以外にもいろんな経験を持った人が集まれる場所を団体として作ってみたいです。」

たくさんのお話を聞かせていただきました。
最後にゆうさん個人としての今後の展望は。

「これから就く職業とかヨリミチの活動に共通してるのが選択肢を発信することなので、それが私の今の原動力なのかなと思っています。理由とかは言語化ができてないんですけど、今後はその選択肢を他の方に伝えられるようにしていきたいなと思っています。」

「そのために、まずは自分がいろんな選択肢を知ることを頑張っていきたいです。」


ゆうさん、ありがとうございました!


(2024/11/10 取材 ヨリミチ ゆうみ)

最後までご覧いただきありがとうございました!
今後も皆さんにいろんな選択肢を知っていただけるように、精進してまいります。


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