【道の子】オルタナティブスクールで育む「自分を生きていく力」
大学3年生。
やりたいこと、なりたい自分への手がかりを少しずつ集めながら、
就職活動をしています。
自分次第でどんな生き方も選べる今。
大人になって、ようやく「自分の軸」を持つことの大切さを実感しています。
今回の記事は、「オルタナティブスクール」について。
まだあまり馴染みのない言葉ですが、子どもたちの自分らしさを育てたいと考える方を中心に、徐々に広まってきている教育の選択肢です。
オルタナティブスクールスクールがどのような場所なのか、
学校の教育との違いについて。
大阪府高槻市にある「道の子」の上村さんにお伺いしました。
大学卒業後は、公立の小学校で先生をしていた上村さん。
オルタナティブスクール「道の子」を開校した経緯について聞いてみる。
「どこから話したらいいか、難しいですね。」
「中学の頃から教育には関心があって、自分はそういう道に進みたいとぼんやり考えていました」
「そのときは教育と言っても、学校の先生とかサッカーのコーチしか知らなかったので、学校の先生になりたいと思っていて」
大学生の頃には、徳島にあるスクールに出会い、代表の方と関わる機会があったそう。公立小学校だけじゃない教育の世界があること、そしてオルタナティブスクールという存在を知りました。
「公立小学校しか知らなかった自分にとって、すごく刺激的で。
それまで、自分は学校教育に対して疑問を抱いたことがなかったんですけど」
こうして視野を広げていくなかで、子どもの成長に本当に必要なことはなにかを考えるようになる。
「僕にとって、その答えの一つがそのスクールの理念だったんです。自由や主体性を育んでいくことが、子どもの人生の豊かさをつくるというメッセージにすごく共感して。」
「学校教育は、子どもたちを『指導する』という考え方が基本なんですけど、そうではなく、子どもたちを『支援する』という考え方にビビッときました。」
そんな出会いがあったんですね。
上村さんが、小学校の先生になる道を選んだのはどうしてでしょうか。
「そうですね。当時、オルタナティブスクールは教育熱心で、経済的に余裕のあるご家庭に限定されるものだと捉えていて」
「そうじゃなくて、お金や教育への関心に関わらず、すべての子どもたちを受け入れる公教育の方が自分の考えに近いと思いました」
しかし、公立小学校では時間や授業の制約がある。
「もっとちゃんと話を聞けたらな」「今はこれをやるべきなんじゃないか」という思いがあっても、それができない。
「なんか、だんだん割り切れなくなってくるんですよね。これを定年まで続けるのが、自分の人生の過ごし方として正しいのかと考えるようになって。そんなときも、オルタナティブスクールの存在が頭の中にずっとありました」
その後、大学時代にお世話になった方とのご縁があり、オルタナティブスクールを開校する運びとなった。
「オルタナティブ」は「もうひとつの」という意味。
公教育と私立の小学校以外の教育はすべて「オルタナティブな(もうひとつの)教育」に含まれるそう。
なので、最近増えてきている「フリースクール」もオルタナティブスクールの枠組みに入ることがあるが、それぞれの場所が持つ役割は少しずつ異なっている。
「フリースクールは、主に不登校の子どもたちを対象としていると思います。教育が目的というより、学校に行きにくい、行けない子どもたちの居場所としての側面が強いかな。」
「一方、オルタナティブスクールは民間の私立学校のようなイメージ。学校ごとに教育理念や目指す子どもの像があって、それに賛同する保護者や子どもたちが集まる場かなと思います。」
「ただ、学校もフリースクールもオルタナティブスクールも、子どもたちにとっての居場所であることは間違いないですね」
今は「オルタナティブスクール」という言葉に馴染みのない人がほとんどかもしれないが、教育の選択肢として広めるために、「道の子」では発信に力を入れている。
「チラシやホームページを作り、イベントを通じていろいろな方と触れ合う機会を増やしています。以前は知り合い経由で知ってくださる方が多かったのですが、最近はホームページからお問い合わせをいただくことも増えてきました」
「ただ、オルタナティブスクールが本当の意味での『当たり前の選択肢』になるとこは、現実的なことを言うと、すごく難しいですよね」
本当の意味での、当たり前。
「やっぱり、公教育が『当たり前』だと思うんです。とは言っても、オルタナティブスクール自体を当たり前にしたい訳ではなくて」
「僕は公教育で教えるよりも大切なことがあるんじゃないかと思って、オルタナティブスクールを始めました。
なので、道の子で行っている教育が広がることで学校の教育そのものが変わっていくなら、それでいいと思っています」
「そのために発信を続けていきたい、という気持ちがあります」
オルタナティブスクールには、みなさんどんなタイミングで入学されるんですか?
「長い歴史があるところでは、小学校の入学と同じタイミングで入る方が多いですね。定員が埋まり、途中入学の枠があまりないケースが多かったりするので」
「道の子については、この4月に開校したばかりで、まだ定員に達していないので途中入学がほとんどです」
オルタナティブスクールは、それぞれが独自の理念をもっているため、合う・合わないも人それぞれ。
だからこそ、よく知り、実際に足を運んでみることが大切だそう。
道の子は、どんな場所ですか?
「道の子では、子どもを選ばない教育をしていると思っています」
子どもを選ばない教育。
「道の子は自然のなかでの教育を大切にしています。自然と触れ合うことや手を動かすこと、体を動かすことはすべての子どもたちにとって欠かせないことだと思うんです」
「だから、『自然が好きな子におすすめ』とか『この子には合わない』という線引きはしていなくて。たとえば虫が嫌いな子でも、私たちは大歓迎です」
道の子には、現在12人の子どもたちが通っている。
「こんな子になってほしい」というような思いはありますか?
「そうですね、何人か戻ってきてスタッフになってくれたら嬉しいです(笑)。」
道の子の考え方や価値観を理解してくれている人が、次世代の運営に携わってくれたら。
「…ぼんやりと、全体的に言うと『強い子』に育てたいんです。僕は、今のこの社会を決して甘いものだと思っていないし、社会にいる人がみんないい人ではないかもしれない。」
「困難なことがあった時に、自分の人生に言い訳せずに踏ん張れるような強さ。人に手を差し伸べられる勇気であったり、自分の人生を『どうやって生きていこうか』と主体的に捉えられる力。」
「そんな強さを持つことができたら、どんな環境でも大丈夫だと思います。」
自分の人生を主体的に捉えること。
たとえば、やりたいことを見つけるのって、大人になっても結構難しい。
上村さんは、子供たちが自分の人生に主体性を持つために、どんなことが大切だと思いますか。
「『こうしなさい』というような指示があまりにも多すぎると、子どもたちも『こうしておけばいいんでしょ』って、自分の気持ちに関係なく周りに合わせていくようになるんです。それだと、自分の人生に責任が持てなくなってしまうなと思っていて」
「世間とか、周りの価値観に合わせなくてはいけない環境でなく、自分がどうしたいのかという気持ちを育む環境が大事だと思います」
(2024/11/29 取材 ヨリミチ ゆきの)
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オルタナティブスクール 道の子
在籍
12名(2025年1月現在)
募集対象
小学1年生から小学6年生
時間
平日9:30~15:30
*祝日、夏期・冬期・春期の長期休みあり
定員
20名程度
学費
月額30,000円 *入学金10,000円
場所
集合場所:大阪府高槻市原989
活動場所:道の子ファームとその周辺
現在、今年度と次年度の体験・入学を受け付けております。
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