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フライパンと旅する、ツチノコ

フライパンで炒め物をしていて、何だかくっつくなーと思ってはいた。変な匂いも気になっていた。
が、気がつかないふりをして、使っていた。

しかし、ギョウザを焼いたら、それが致命傷となった。ギョウザの皮が、ボンドでくっつけられたように固まって、剥がれない。水につけても、剥がれない。

出来上がったギョウザは、底が抜けたものとなってしまった。
厳選に厳選を重ねて購入した(単に迷った)、ギョウザだったのに。
ギョウザを食べる事への熱意が、いつも以上にあった時だったので、残念感もひとしおだ。


このフライパンとは、思えば長い付き合いになる。共に何度か引っ越しをし、また、共に旅をしてきた。その日常の中では、私のつたない料理を受け止め、お腹を満たしてくれた。キャンプにも連れてゆき、夜空の下で、共に過ごした。
小さくて、軽くて、深さもあって、使いやすいフライパンであった。

同じ時期に、ドライヤーも壊れた。
絵の具を乾かす為に使っていたもので、風が弱くて気に入っていた。
それが、変な匂いと共に、プラスチックの破片が飛び出して来るようになった。

壊れるのは、突然だ。
当たり前に享受していた恩恵を、突然断ち切られ、立ちすくむ。
前々から、予感はしていた。
しかし、変な匂いや、焦げ付きを、見ないように過ごしていた。

そんな事を書いているうちに、定規もパキッと折ってしまった。
洋服の製図用の定規で、ものすごく良くしなる、便利なものだ。スリムなシェイプと赤い文字がスマートで、使いやすく、気に入っていたのに。
まあ、でも、折れたのは端の方なので、もうしばらく残った方を使うことにしよう。

使えなくなってしまった物たち。
ここからどうするか?新しいものを買う前に、考えてみたいと思う。

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