1/1000の純情な感情
このタイトルで、あるバンドを想像した方は同世代ですね。(笑)
そんな話ではなくて、私が仕事としてやっているRPA導入の真面目なお話です。
年間2万時間削減の達成
RPAの実績で年間2万時間というと、みなさんどんなイメージをお持ちですか?
大手銀行や、証券会社、生命保険会社など従来業務に紙を多く使っていて更には、多くの支店や営業所を持っている会社に、年間100万時間など桁違いの削減効果が、RPAが登場した当時によく目にした数字だと思います。
この数字を見て当時はすげぇなぁと私も思っていました。でもこの数字は、やはり紙の定型業務が多く山積している業界的な特色が後押ししています。
私が担当のお客様は、商社業務に近くて多種多様な業務の中に定型業務があり、一つの業務を自動化してもせいぜい年間数百時間、よくいっても1,000時間程度が限界でした。これで年間2万時間は中々骨の折れる作業でした...
当時、勝手にベンチマークしていた某大手総合商社も、プロジェクト規模も、体制も、使っているツールもほぼ同じで、年間の削減時間も同じであった事から相対的に見てもこの数字は悪い数字ではなかったと思っています。
1/1000の純情な感情
そんな自慢話をしたい訳ではないんです。
いったい、この2万時間が企業にどのくらいのインパクトを与えたんでしょうか?
私が担当していたお客様は、グループ全体で約1万人の従業員がいます。
1万人が働く労働時間は1日8時間、年間の営業日が240営業日とすると、
8時間/日×1万人×240営業日/年=19,200,000時間/年
となります。
20,000時間÷19,200,000時間=0.00104...
となりまして、率にすると0.1% にしかなりません!!
薄々わかっていたこの数字を、計算して正直がっかりしましたけど・・・・
目標の2万時間を純粋に追っかけて、改めて計算したこの感情・・・ww
まぁ、2万時間を人数に換算すると11人位だから1万人からするとそりゃそうですよねぇ・・・( ; ; )
RPAの効果って?
全体の0.1%だと、経営者によってはやる意味があるのかを問うのではないでしょうか?11人分の労働時間を削減するという観点だけで考えると、リストラ策の方が正直手っ取り早いと考える経営判断もあるのではないかと思います。
しかし、RPAの効果を解雇を伴うリストラ策とは横並びでは考えられません。
なんてったって、「労働力を減らさずに労働時間を削減」はRPAの特長的な効果の一つです。これからの労働生産人口が減る日本ではこの効果は、大きなポイントだと思います。また、私の担当したお客様では年間コストも1億円ほどのコスト圧縮を行えています。労働時間を減らして、空いた労働時間で別の業務を行う事を考えると実質的な効果は、1億円を超えるコストメリットがあると考えて良いと思います。また、よく言われるRPAを検討する上での副次的効果も大きいのではないかと思います。私もRPAを検討する際には、必ず業務プロセスの見直しも行います。
この業務プロセスの見直し過程で、業務フローが明確になり無駄が見え業務プロセスを見直したり、実は不要な業務であることがわかり、業務をやめた・・・等。
こういった数字に出てこない効果は、実は年間削減時間という数字以上に効果があるのではないかとも思っています。
RPAに取り組む意義とは?
RPAに取り組む意義ってなんなんだろう?と思いますか?
前述した様な効果は確かにありますが、一過性で終わる事も考えられます。(そういえば、BPRも1990年代にブームで終わったと言われていた様な・・・)
数年同じお客様でRPAの導入を行っていると、現場の方々のちょっとした変化に気がつく事がありました。それは、現場の皆様の生産性向上への意識の変化です。RPAを始めた当初より、話の内容や、意識が違ってきていたんです。なるほど!RPAをやる意味ってこれか!!と思いニヤニヤした事を覚えています。
日本は、欧米に比べてオフィスの生産性が悪いと言われています。そんな中、人口の減少、経済のグローバル化と競争も激しくなり、製造現場だけでなくオフィスの生産性も今後待ったなしで上げていく必要があります。そんな中RPAは、従業員の方の意識改革を行う良いきっかけとなってくれる事を願っています。
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