イカのはなし
数年前、アオリイカが大量に釣れた年がありました。
アオリイカはスーパーでも、確か1匹1000円くらいする、高級魚(イカ)です。
その年、職場の釣り好きなおじさんに声をかけていただき、何度か釣りに行きました。
このイカはルアーを使って釣ります。
エギとかいうルアーは羽をとじた鳥のような形をしていて、イカは何と間違えてこれに飛びつくのか見当もつきませんが、たぶんネコが理性にかかわらずヒモに飛びついてしまうように、イカはエギにしがみつくようです。
すると、かわいそうなことにこのルアーにはハリがたくさんついていて、イカはなすすべなくずるずると陸に引き上げられてしまうのです。
私もはじめは、雑巾か何かをひっかけてしまったと思ったら、イカでびっくりしたことを覚えています。
その年は本当にたくさんつれました。1時間ほどルアーを投げていると、ベテランのおじさんは10匹くらい。素人の私でも2匹くらい釣れました。
イカのさばき方も覚え、刺身にしたり、イカスミスパゲティにしたりしました。
でも、翌年おじさんは転勤してしまいます。
前年の大漁に味をしめた私は、翌年も一人でイカ釣りに行きますが、もう全く釣れません。
やっぱり、そんなにうまい話はないなと、思いした。
でも、仕事帰りに軽く竿をふるって、酒のつまみを持って帰る、というのは幸せでした。
夕焼けの海に向かって竿を振るというのも、気持ちの切り替えになってよかったのですが、釣れない、とわかるともう行く気はなくなってしまいました。