さわやかな二人
ある日、バスに乗ると、大学前のバス停から高校生がたくさん乗ってきた。
大学見学会があったようだった。
そのうち、一人の男子高校生が、女子高校生に大学見学会の感想を尋ねたのをきっかけに会話がはじまった。
二人は初対面のようだった。
今どきの高校生がナンパか、生意気な。と私を含め、多くの乗客のおじさん、おばさんは思ったに違いない。
みんなが二人の話を無関心を装いながら注視していることがよくわかった。
もちろん私もそうなのだが。
そして、二人の会話ははずんでいく。とても気があったみたいだ。やがて男子高校生が下りるバス停が近づいてきたことを話した。
きっと、ここでアドレスの交換とかするんだろうな、と思っていた。
しかし、男子高校生は春になったらまた会えたらいいね、とかなんとか、やたらとさわやなかことを言ったと思うと、そのままバスを降りてしまった。
後に残った女子高校生も、さわやなか笑顔で手を振っている。
なんだ、この妙にさわなかな二人は、と私を含め乗客のおじさん、おばさんがみんな思ったに違いない。
わかいっていいな、というより自分のおじさん魂が醜く思えて悲しかった。