漫画原作「ファーマシスト」第一話シナリオ
第一話
あらすじ
大手製薬企業によって引き起こされた世界大薬戦争によって多くの人命が失われた。戦争終結後
、日本を含む多くの国々が荒廃したが、巷では”超人化薬”という特殊薬の密売や使用による略奪、横行が常態化した。主人公・高峰錠吉はファーマシストとして腐敗した街で投薬を行う。人々は少なくあるファーマシストを有り難がった。そこに不穏な輩が出現する。超人薬を使った蛮行を防ぐべく、錠吉は自らが調合した超人薬で悪人をなぎ倒し、街を救うのだ。
人物紹介
高峰錠吉
物語の主人公。25歳。ファーマシスト。正義感が強く、弱者を救うのには自分の身を犠牲にできる。父はファーマシストであり、大手製薬企業バイオウェルネス社で超人薬の研究を行っていた。母は先の大戦で死去。大戦の原因は父にあると考え、父を憎み、母を愛してる。超人薬による暴力と使用を規制することを推進しており、街を救いながら流浪。治療薬を無償で提供もする。
第一話「超人薬」
錠吉は荒廃した街中を歩いている。街は錆びて今にも崩れそうな金属の建物と破壊し尽くされたアスファルト。
譲吉は薄れた緑色で黒の縞模様の入った米俵ほどの大きさの風呂敷を背中に背負って歩いている。頭には藁で作った日焼け帽子をかぶっていて、正面からでは目元はよく見えない。
錠吉「ここの街は今までのところよりはるかにひどいな」
きゃーと悲鳴。
錠吉が走って悲鳴の方へ向かうと若めと女性とおじいさん、小さな女の子2人が3人の黒ずくめの長身男に絡まれている。
黒ずくめA「おい!ジジイ引っ込んだろ!」
おじいさんは男にドンっと押されて3メートルほど吹っ飛ばされる。
女の子「おじちゃん!」
若い女「あ、あなたたちなんなの!お金ならありませんし、食料もあなた達分はないわ!」
黒ずくめB「おじょーさん、あんた何か勘違いしてますわ。俺らが欲しいのはそこのガキ2人。金も飯もないねーのよ」
ガンッ!と古びてる電柱を足蹴り。
若い女「や、やめて!妹だけはやめてください!私ならなんでもしますから!」
黒ずくめC「生憎、俺らが欲しいのは若造だけなんだよ!」
黒ずくめが少女を抱き抱える。
若い女「マグ!エン!(2人の少女の名前)」
マグ・エン「おねーちゃん!」
顔は崩れて泣き出している2人。
錠吉が逃げる黒ずくめの1人に足をかけて転ばす。
黒ずくめA「な、なんだ!てめぇは!!」
錠吉「最近、この辺で幼い子を何人も誘拐してるはおまえらか?」
錠吉は帽子の縁を指で押さえながら、チラッと目線を黒ずくめにうつす。
黒ずくめB「誰だが知らねえが邪魔するなら殺すぞ!」
腰につけていた鎌のようなものを取り出す。
錠吉「やれやれ」
帽子をばっと投げ外し、風呂敷を素早く開くと錠剤が入ったPTPを一枚取り出し、さらにそこから2錠粒を勢いよく空中に投げ出す。
鎌で襲いかかってきた黒ずくめが切り掛かる直前に錠吉の口に錠剤が戻る。
錠吉「ゾランダール、、、一回二錠!!!」
エフェクトで錠吉が少し光る。緑の光。
鎌を右二の腕で抑え受け、そのまま左手で黒ずくめの顔面をぶつ。
黒ずくめB「ぐぁぁああ!!」
Bが他黒ずくめの立つ真ん中の位置に投げ出される。
黒ずくめC「な、なんだてめええええ!!」
右手短刀で錠吉の左胸を刺す。
短刀の歯が折れて天を舞う。
黒ずくめC「が、、な、、」
錠吉の右ストレートがCの顔面を砕く。
Cはそこに倒れる。
黒ずくめAは冷や汗をかきながら右足を後方に後退りし、
黒ずくめ「ま、まさか、、お前ファーマシストか、、、!」
錠吉「だったらどうする?」
黒ずくめA「くぅっ!」
黒ずくめA走り出す。
錠吉「待て!」
走る黒ずくめを追う錠吉。
角まで追い詰めてるも黒ずくめの姿を見失う。
錠吉「取り逃したか、、、」
錠吉は街人が襲われていた場所まで戻ると若い女が話しかける。
若い女「た、助けてください!おじいちゃんが、、」
錠吉は突き飛ばされて頭部に怪我をおったおじいさんをよく視診する。
錠吉「こいつはまずい。すぐに治療薬を飲ませないと。」
そういうと風呂敷をだだっ広げた。
夥しい数の錠剤や軟膏。
周りは驚きの顔。
錠吉「おじいさん、頭失礼するよ」
そういうとおじいさんの頭に軟膏を塗る。
すると、凄まじいスピードで擦り傷が回復する。
若い女「すごい、、、!」
錠吉「それからあなた達もこれ飲みなさい。栄養不足だ」
そういうと粒のぎっしり詰まったカプセル剤をピロー包装で渡す。
若い女「あ、あの、ありがとうございます!あなた、ファーマシストさん?ですよね」
錠吉は若い女にきっと目線を送って少しして
錠吉「ええ、そうです。」
マグ・エン「おにいちゃん、さっきはありがとう」
2人の少女が丈吉を取り囲む。
若い女「本当にありがとうございます!あなたの薬すごい!政府が出してる常備薬であんなに治りが早いのないわ」
錠吉「この辺は近頃物騒な話をよく聞く。用心して生活してくれ」
そういうと風呂敷を背負い帽子をかぶる。
若い女「ま、まって、あの、私あなたの下で勉強したい!薬を学びたいの!」
錠吉「生憎、私は放浪の民でね。まして用事もあるので厳しいです」
錠吉歩き出す。
黒ずくめA「た、助かりましたよ、大佐〜」
大佐「元大佐だ!んで、お前が言うようにそいつ確かに錠剤を飲んだんだな?」
黒ずくめA「そうなんです!ほら、大佐もやるようにシートから取り出して」
大佐「まさか、ファーマスシスト?しかし、この地域に登録されたファーマシストにそんなやつ、、」
街の小さな薬局にて
店主「だーかーらー!そんなものは売れないって!」
錠吉「政府が発布してる常備薬よりはるかに効く。サンプルとして配るだけでもいい!」
店主「ダメだよお客さん。そもそもファーマシストって本当なのお客さん。違法薬物売ると、わたしゃ首飛んじゃうんだから」
錠吉「お宅は人の健康と命をしっかり管理したいんじゃないのか?政府が許可する、しないに関わらず大事なのは本当に有意義な効能があるかだろ」
店主「いや、まあ言ってることはわかるけどさ〜、胡散臭そうだよお客さん。ライセンスも出してくれないしさ〜。旧大宮薬剤会に問い合わせてからにしてよ〜」
錠吉は店を追い出される。ドアは古びてて、扉の蝶番は錆びている。
錠吉の呆れ顔のアップ
錠吉「この街もダメか。もう直接交渉しか、、」
ギイッと薬局のドアが開く。
店主「おー、いらっしゃい。リン子ちゃん!マグちゃんと具合どう?」
若い女(リン子)「だいぶいいです。でも、やっぱりかゆいみたいね、、、」
店主「そうか〜、もう3年以上も経つのに。やっぱあの戦争が、、、」
リン子「おじさん、その話はやめて!!」
店主「あ、ああ、ごめんよ、、ご両親気の毒だよ、、、」
リン子「、、、、」
店主「い、今いつもの薬持ってくるから!さ!」
店主は奥の部屋からツボに入った軟膏を持ってくる
店主「いつもの、”バンデアート”量はサービスしてるよ!」
リン子「おじさん、いつもありがとう!助かるわ」
店主「いいのいいの!早く治るといいね。政府お墨付きの軟膏だからなってりゃ必ずよ!」
リン子「そういえばね、さっきファーマシストの人が私たちを助けてくれて、その人が使ってた薬がすごいの!すぐ治っちゃうの」
店主「へぇーそりゃすごい!きっと政府が出した新しい薬なんだろう」
リン子「そうなのかしら、どこ行っちゃったんだろう、、緑で黒縞の風呂敷の人」
店主「え!?あいつ!?」
リン子「おじさん知ってるの!?」
店主「さっき薬売りに来たんだよ、あいつほんとにファーマシストだったのか!?政府の薬なんて売るなっていうから怪しくてさぁ、、、」
リン子「政府の、、、薬、、、」
その時ドアがバガっと勢いよく開いて
黒ずくめA「邪魔すんぜぇ!!!」
後ろには大佐もいる。
店主「こ、これはこれは旧大宮薬師会の、、、これまたどうして?」
黒ずくめA「ここにあの男は来なかったか?ん?あっ!この女!」
リン子を指さして。
黒ずくめA「大佐!こいつです!こいつなら知ってるはずです!」
大佐「元大佐だ!ほう、お嬢さんよぉ、あのファーマシストどこへやった?」
リン子「し、知らないです!」
大佐「とぼけないほうがいい。こちらは旧大宮薬師会の会長シニカだ。下手な真似はしないほうがいいぞ?」
リン子「ほ、本当に知らないんです!どこからふらふらとー」
黒ずくめAがリン子を背後から抑える。
リン子「や、やめて!」
シニカ「なぁに、ちょこっとの間眠ってもらうぜ?」
シニカがスプレーの薬をリン子に噴霧
リン子を連れてその場を去る
店主怖気付いてる→去ってすぐ店を飛び出す
店主「た、大変だぁー!!」
リン子の家
マグ「お兄ちゃん!あのお薬ありがとう!体がとっても軽くなってる!」
エン「わたちも!!」
錠吉「そりゃよかった」
おじいさん「いやぁ、ファーマシストさん、本当にありがとう」
錠吉「よかった」
錠吉の耳ドアップ 何かを聞き取り警戒態勢
店主が急足駆け込む
店主「た、たいへんだぁ!はぁはぁ」
!?一同驚嘆
おじいさん「薬局の!?どうしたんだ!」
店主「はぁはぁ、、、はぁ、、」
錠吉「リン子?あの女の名か?」
店主「!?ど、、どうしてそれを、、はぁはぁ」
錠吉「キキスロンという聴覚をよくする薬を飲んでる。あんたさっき吠えてただろ」
店主「そうなんだ!旧大宮薬師会の連中に!!」
錠吉の目の色変わる
旧大宮薬師会にて
地下の広場
リン子 縄で両腕胴体部を椅子に括り付けられる
リン子「は、離してよ!」
シニカ「ダメだ。吐くまで意識消失薬を投薬する」
リン子「え、」
ガラガラと黒ずくめが銀の台車
台車の上には意識消失薬と注射器数本
シニカ「意識が飛ばない程度に入れてく、吐かなきゃ最後まで入れて、最悪死ぬ」
リン子「は、は、、はぁあ、、は、、」
恐れ慄くリン子 わなわな
シニカ「始めてるぞ」
注射器に薬を充填するシニカ
リン子「いやああああ!たすけてぇ!!」
注射器をリン子の右腕に刺す瞬間 轟音
地下室の入口の扉木っ端微塵 煙から錠吉
黒ずくめA「き!きさまは!!!」
シニカ 錠吉に釘付け 目を細めて
「ほぅ、お前が噂のファーマシストか」
錠吉 シニカを睨む 注射器と意識消失薬を確認
「ティウォベンダール。そいつは使用禁 止の薬だ」
シニカ「さすがに詳しいな。お前この辺で薬売ってるらしいが届出はしてるのかぁ?」
錠吉 シニカ睨む
シニカ「俺の管轄で勝手なことしたらどうなるか教えてやるよ」
そういうと錠剤を右ポッケから取り出す
錠吉「!?」
シニカ「ヴァフラヴァース!一回3錠!!!」
錠剤は空中に浮かせてから口に入れる描写→エフェクトで体が光る
シニカ「筋力増強薬!10倍ダァ!」
シニカの走り込みパンチが錠吉の顔面にあたる
錠吉吹っ飛ぶ 壁に当たって壁が砕ける
黒ずくめA「、、、、」
リン子泣きながら「ファーマシストさん!!」
シニカ リン子に近づいてくる
「さぁて、続きだ」
錠吉「おい」
一同「!?」唖然して壊れた壁の方見る
錠吉 少し服が乱れる程度で傷なし
「筋力バカになっただけでいばるな」
シニカ「な、なぜだ!」
錠吉「俺は視力増強薬”サンテゾーン”を点眼してる。お前のパンチは見えてた」
シニカ「な、、」
錠吉「薬を悪用する奴は許さん」
錠吉 風呂敷が一枚PTPシート取り出す
シニカ「貴様が如きが嘯くなぁ」
シニカ 錠吉に勢いよく迫ってパンチしようとする
パンチ当たる直前
錠吉 PTPから錠剤破って3錠空中に撒く
錠吉「一回3錠!!!!」
錠吉 シニカのパンチより先にシニカを殴る
シニカ 吹き飛んで壁にあたり全身強打
黒ずくめA「、、、、!?」怖気付く
錠吉 リン子に近づいて縄を解く
リン子「あ、ありがとうございます」
錠吉 泣きながら礼を言うリン子を少し微笑む
錠吉 意識消失薬を拾い上げてポッケにしまう
錠吉「薬を悪用することは絶対に許さん。もう2度と悲しみを作らないために。」
錠吉 天を仰ぐ 目は虚 少しもの寂しげな表情
リン子の家
マグ「お姉ちゃん見て!マグのかゆいの治ってる!」
リン子「よかったわね!ファーマシストさんのおかげね!」
マグ「うん!」
椅子に座る錠吉の膝の上にマグ座ってる
ラスト
リン子の家の前 日の出時刻
リン子「こんなに朝早く、もう少し居てもいいのに!」
錠吉「生憎、私にはやることがあるもんで。次の街まで日没までには着きたいんです。」
リン子「忙しいのね、、あの、本当にありがとうございました。なんと礼をしたら、、」
錠吉「いいんですよ。マグはしばらく私のあげた軟膏だけで様子見してください。くれぐれも政府の推奨薬は使わないように。」
家のドアの前で深くお辞儀するリン子とリン子の住む古びた家をバックに帽子を被り、風呂敷を背負う歩く錠吉の姿。
第一話 完
第二話https://note.com/yordohorumu14611/n/na30fdce7c975
第三話https://note.com/yordohorumu14611/n/n24a409056ca1
#創作大賞2024 #漫画原作部門
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