インフィニティ国際学院にお邪魔した話
こんにちは!yoralyです。
今回は、いい意味で教育界の異端児とも呼べるであろう、インフィニティ国際学院さん(以降インフィニティor学院)にお邪魔させていただいた時のことを振り返ります。(訪問日時:2022年7月、情報は当時のものです)
まずはインフィニティ国際学院を超簡単にご紹介
(正確な記述を心がけましたが間違っていたらご指摘ください)
学費はかなりお高いけれど、全寮制で他の生徒やチューターと寝食を共にし互いへの理解を深めながら国内、国外をおよそ4週間単位で飛び回り、現場だからこそできる人との交流、仕事体験、研修等を行うことで、生徒が自分なりの生き方を学ぶことを目指す。
生徒の自主性と自由度を引き上げるため、先生という、「正解を教える存在」を置かず、代わりにチューターと呼ばれる数名が、生徒の伴走者として彼らの気持ちに寄り添いながら成長を見守る。
おらなりに言語化するなら、人と関わる力、多様性への理解、逆境への耐性、自発的に課題を乗り越える力など、言うなればどこに行っても通用する「人間力」を養えることがインフェニティの魅力である。
参考までに、訪問時点(2022年7月)でキャンパスにいたのは高等部生が6名、中等部生が1名でした。別の町や別の国でインターンをしており、キャンパスにはいない子も2名いました。
https://infinity-gakuin.org/
(学院高等部のホームページです。中等部も新しく開校しております)
訪問したきっかけ
ことの発端は2022年3月、ツイッターで学院がインターン生を募集されているのをみて応募したのがきっかけでした。
夏、日本に帰ってる間ずっとインターンする気で応募したはいいが、実は他にも旅行したり課外活動したりしたいというジレンマを抱えながら挑んだオンライン面接。チューターさんに事情を全て話したところ、今年はキャンパスの下見をして、生徒と関わってみてまた来年以降インターン等の関わり方を検討しようという話にまとまったわけであります。
そんなこんなでインフィニティ訪問が決定しました。
しばらく時間が空いて日程が決まり、7月頭に一泊二日で訪問させていただけるとのこと。しかし驚くべきはそのキャンパスの場所なのであります。
なんと、、、
北海道旭川の近く!そこは世界自然自然遺産の中に!
そんなバカな。。。なんてところに学び舎があるんだ。。。
緑が豊富すぎる!
というわけで行く前からその常識破りっぷりに驚かされつつも7月に入り、飛行機で東京から北海道までひとっ飛び。チューターさんに旭川までお迎えに来ていただいてたどり着きました学院キャンパス!!
崖の反りたち具合が半端ではありません。大自然の一歩手前とさえ思わされる。それほど緑の存在に気圧されました。
さてキャンパスはと言いますと、結構大きな建物を学院の用途に合わせてリフォームなさってました。自習スペースがあったり、かと思えばフリースペースもあり、各生徒の部屋があったり、食堂があったり。現地の趣深い建物をリフォームしたことにより伝統と革新が共存しておりました。趣とモダンが合わさった感じ。
入り口で他のチューターさんが出迎えてくださり、簡単な自己紹介をしたのちにいよいよ特別な二日間がスタートしました。
(今回迎えていただいた感謝の印としてイギリス土産のティーバッグとスイスチョコをわずかながらお裾分けしました。)
1日目:まずはお昼ご飯
旭川を出たのは朝の9時ごろでしたがキャンパスに着く頃にはお昼前になっておりましたので、到着してまずはお昼ご飯をいただきました。
食事のシステムとしては毎日3食用意されており、決められた時間内(1時間から1時間半くらい)で自分の好きなタイミングで食堂に来て、食事をとるスタイルです。ご飯やお茶はおかわりし放題で、お腹もいっぱいになります。チューターと生徒の食事時間は同じで、全員同じ食卓を囲んで食べるので(2者間が元々良好な関係を築いていることもあり)自然と全員が輪になって会話が生まれます。この昼食においては、新参者のおらでもぎこちないながらも生徒たちと自己紹介などをしながら初めての交流ができました。ご飯という共通の話題があるので話が生まれやすいです。
(生徒さんについて思ったことはまとめて後述します)
ここで驚き情報。
料理は市販ではなく、なんと担当の料理人さんがお一人でチューター&生徒全員分の朝昼晩ご飯を作っておられました。北海道産の食材を使ったり、味付けが濃くないようにしたり、栄養バランスがとてもよくインフィニティメンバーの健康にとても気を遣っているのが大変よく伝わってきました。私は自炊では味付けを濃くしがちなのですが、滞在中にいただいた3食はどれもほのかな味付けと食材の美味しさが優しく合わさっていて、微笑みが溢れるくらいに美味でした。料理人さん、大変ごちそうさまでした。たくさんの年を重ねてもなお優しさが常に表情に表れていた素敵な紳士でした。
唯一にして最大の使命
さてお腹も膨れてきたところで、唯一にしておらの最大の仕事がやってまいりました。その仕事というのも、現地にいる全チューター&生徒に向けて1時間プレゼン&ワークショップをすること!
です。事前に担当チューターさんと打ち合わせした時に、どんなプレゼン内容でも、Yukuさんの生き方が表れていて生徒たちの刺激になるはずだから、と内容はおらに一任してくださいました。その期待になんとか答えるべく旭川からの車中でも内容の確認をし、万全とは言えずともそれなりの準備をしてまいりました。人前でのパフォーマンスを得意とするおらの独壇場の1時間です。
いざ!1時間プレゼン!
時折英語も交えつつお話したのは「自分の半生のおさらい」でした。自分が話せることの中で一番生徒さんの刺激になる話題は何か考えた挙句、自分の哲学的思考を一番幅広く伝えることができる自伝プレゼンだった訳です。
内容をざっくり言うと
・小学5年で異性を敬わなければという念にかられそれまで名前で呼び捨てしていた同学年女性陣をいきなり苗字にさん付けで呼び始めたこと
・中学校に入って、朝教室入ったら友達には挨拶するのに他のクラスメートは素通りすることに違和感を覚え毎日クラスメイト40人(おら除いて39人)一人一人に挨拶し始めたこと(高校卒業まで)
・高校留学の経験、海外大学進学の思考の軌跡
で、ひたすら自分の過去についてを話しまくりました。
(生徒の中で一部生徒をうとうとさせてしまっていたのが悔しかった)
これはこの日の夜にわかることですが、高校生2人にプレゼンの何処か削った方が良かったところあったかなとフィードバックを聞いたところ、「どの部分も面白かったから削る部分はトピックの主軸によって変わってくるのでは」と言ってもらえたことがとても嬉しかったです。
プレゼンの後半、半生の振り返りを終えて今度は生徒に一つ問いを投げかけました。ズバリ、自分の人生の中心を担う哲学はなんだろう、です。プライバシーの観点からここには書きません(そして失礼ながらおらの記憶もあやふや)が、生徒一人一人がそれぞれ違うカテゴリー(食べ物とか幸福感とか)に重きを置いていてそこそこに盛り上がったと思いますし、少しだけ新しい思考のきっかけになったかなと思います。
それから、実はこのプレゼン中に本旅館に思いもよらぬ出会いがありました。大人の方で知らない人はまずいないであろうとある有名高級ホテル会社のトップと邂逅したのです。ちょうどこの日、その御一行様がたまたま仕事でキャンパス周辺を訪れており、その人が外を歩いていた際におらのプレゼンを窓越しに見かけて興味を持ち、学院に足を踏み入れたそうです
まあなんて偶然でしょう。おらも少しだけ某ビジネスマンの方と言葉を交わし、御一行様とチューターさん数名は急遽インフィニティ内覧ツアーに向かわれました。実力のある著名な方と関わるのは本当に初めてで勝手に気圧されてしまい、持ち前の会話力がその人を前に掻き消えてしまったのがかなり悔しい思い出です。次会えることがあれば人生哲学など実り多い会話をさせていただきたいものです。
そんなスペシャルゲストを迎えインフィニティ全体が騒然としていた中、無事に1時間という貴重なみなさんの時間を使い全力でプレゼンを終えました。生徒に限らずチューターにとっても刺激いっぱいである内容だったことを願うばかりです。
ちなみに1時間一人で0から内容を作って人に届けるのは大変と感じる方もいるかもしれませんが、おらは話題を関連させたり話を膨らませるのがかなり得意かつ話したがり屋なこともあったので、1時間では少し足りないくらいでした。
あとはゆったりエピローグ
メインイベントの発表を終えてからは翌日昼に学院を去るまで早かったです。
1日目の夜は生徒とたくさん関わりました。共用スペースで話をしたり、ボードゲームで遊んだり、少し離れたコンビニまでお菓子を買いに行ったり。出会ったばかりなので踏み込んだ話とかはできないかなーと予想していたものの、意外にも心を開いて悩みを話してくれる生徒もいて、嬉しさと共に真剣な心持ちで生徒たちの気持ちに触れて向き合った夜でした。荷物置き及び就寝時は1生活部屋を丸々使わせていただきました。豪華すぎる。。。
2日目:幕引き
2日目は生徒も忙しく、オンライン英会話をしたり、町に職場体験に出かけたりして交流のためのまとまった時間は取れず。おらはおらで学院が連携を模索している植物園の下見に同伴させていただき(心安らぐ緑豊かな園でした)、殻に閉じ籠もらずに積極的に外との交流、連携を図り学びに組み込む学院の信条を垣間見たりしてました。生徒もチューターもおらも、全員の用事が落ち着いたのはお昼ご飯の時間で、そのお昼ご飯が学院のみんなと過ごす最後のひと時となりました。
別れの際に生徒やチューターが集まってくださり、全員で写真撮影をしておらの学院訪問が幕を閉じました。今でもたまに思い返してその写真を眺めます。元気にしてるかな。
そのあとは行きと同じチューターの方が学院から旭川まで車で送ってくださりまして(心からありがとうございました)、去っていく車を見送ったところで本当にインフィニティ訪問が終了しました。静かな町の中で一人寂しさを覚えていたのをいまだに覚えています。
余談ですが夜は滞在ホステルの地元のスタッフさんにお薦めしていただいたジンギスカンを食べに行ったところ新鮮な野菜がとても美味しく、お肉は言わずもがなで大変舌も胃袋も喜ぶ夕ご飯となりました。スタッフさんおすすめありがとうございました。
日記風の訪問レポートはここまでで、ここからは訪問を通しての印象、思考をまとめていきます。
生徒さんと関わって
学院の情報や方針を見ているとインフィニティに集まる学生は「たくさんの世界に触れなおも挫けず進んでいく、少数の精鋭」というかっちりしたイメージを抱きがちですが、実際に私が関わった限りで感じたものは少し違いました。どの生徒も自分なりの悩みや課題を抱えながらも自分のペースでそれらと向き合い、仲間と向き合い、世界と向き合っている。なんだか肩肘張らずに、見栄を張ることもなく等身大で素直に生きている印象を受けました。一つ共通していたことはどの生徒も"open minded"であるということです。
学生の段階から日本社会に敷かれた一般的人生のレールを認知し、それに沿って生きていくことに疑問を覚えた視座の高い生徒が集まっていました。かのような生徒であれば、いやだからこそ、学びの一環で普通の学生が経験することは愚か想像すらしない新しい環境での異なる人々との交流、協力を為し得るのでしょう。そしてそこで逞しく柔軟に人と共に生きていく力を養うことができるのだと思います。
実際見ず知らずの大学生であるおらに対してもopen-mindednessは発揮されていて、個人差はあれど、学生の多くが歩み寄ってくれました。フリー時間である夜にカードゲームで遊んだり英語の悩みを相談してくれたり。関われた時間こそ短かったですが、彼らの「未知に対して身構えすぎずにとっついてみる」みたいなスタンスを感じ取るには十分な2日間でした。おらも個人的に大切にしていきたい心構えです。
学院の自主性:チューターの塩梅
そしてインフィニティの生徒の自主性は、見守る側(チューター)の細やかなメンタリングかつ絶妙な学生への介入具合と、それから周りに何も諭されない、むしろ自由がありすぎて不安になる中でも「やりたい、こうしたい」というビジョンと活力が自発的に溢れてくる学生、これらがあってこそ実現されているのだと感じました。それゆえに生徒の数が少ないのも納得ができます。一般的な学校よりも生徒数を増やす(適当な学生を見つけその人数に見合うチューターやサポートを拡充する)のが大変なのでしょう。
自主性といえば、学生だけでなくチューターにも当てはまっているようです。チューターはそれぞれ自分の強み、やりたいことを活かせる役回りを見つけて担っていました。ある方は対外交渉が得意で好きなため、外に赴き外部の団体との連携を積極的に画策していますし(2日目に植物園に同行させていただいた方です)、また別の方は生徒と向き合うことに注力しており、生徒といる時間をたくさんとることで絆を深め、悩みがあれば相談できるようないわば生徒の心の拠り所となろうとしているようでした。自ら適材適所を実現するという点において、チューターはオープンマインドで個性豊かな学生とどう関わるか以前に自己理解と行動力が肝要になると感じました。
インフィニティ国際学院には、生徒の十人十色の学びを実現するために既存の学びの形、教育者の形にとらわれずに柔軟に環境を整え改善していく信念があります。この記事で触れてきた多くの自主性、一般校とは比較にならないほどのカリキュラムの自由度はその信念があるからこそ存在しうるのでしょう。今はまだ稀有だけれども今後の学育には欠かせない信念とコンテンツを持ち合わせるのがおらが思うインフィニティ国際学院です。
今後の展望や課題などあるとは思いますが、順風満帆な学院の発展を切に願っております。応援しています。
蛇足
今回の訪問では、画面上で想像していた学院の魅力を(全てではなくとも)肌で実感しました。その興奮をできるだけ共有すべく書いているこの記事ですが、訪問させていただいた身として「インフィニティはいいところだった!」で終わるのは貢献が足りない気がしたので、この場で敢えておら個人が抱いた学院への提案のような思考を連ねます。今ある良さだけでなく先にも目を向けて。(学院への理解不足で前提を取り違えていたり、すでに取り組んでいるものが含まれていたらすみません。)
・目新しくない社会を知る
新しい世界での刺激的な交流、経験は素晴らしく大きな学びの種となる一方で、それを社会の特別な側面であると気づかずに過ごすと社会や世界の普遍的、一般的な側面を見落とす可能性があります(無自覚な世間とのずれとでも言いましょうか)。そのずれが強みでもありますが、それが行きすぎてしまう場合は世間や社会を見直すのも一手かと思います。
一般的な学校に通う生徒との交流や、馴染み深い日本の街を改めて探究する機会を設け、自らと世間を比較し自分の立ち位置を客観視することで、学院生は学院での経験の特異さや、世間とのずれを頭だけでなくより肌で実感できるのかもしれないなと、そう思った次第です。以上蛇足でした。
最後にお礼を
ささやかではありますが、この場をお借りして訪問に関わってくださったチューターさん、料理人さん、学生さん、全員に深くお礼申し上げます。かけがえの無い体験と思い出と学びの機会をどうもありがとうございました。正直感謝してもし足りません。訪問の二日間での思い出やいただいた言葉はまだ心に残り続けていますし、今後の自らの行動に繋げて参ります。
おらがロンドンにいる間であれば冗談抜きでロンドンでの滞在および学びの企画、準備や進行に関わらせていただきたいです。そうでなくとも何か力になれることがありましたらご一報ください。
過去最長のブログとなりました学院訪問ブログもここでおしまいとなります。
ここまで読んでくださった方、そしてインフィニティ国際学院の皆様方、どうもありがとうございました。
どうぞ今後もご自愛ください。