子どもを野生児にしたい
今日呟いた内容がまあまあ反響あったので、あれこれ書いておこうと思います。
これです。この呟きにいたる背景について書こうと思います。ちなみに、↑の呟きをしたあとに、「女の子は女の子で痴漢被害とかもあるので女の子だって腕っぷしが強い方が良いですよー」みたいな意見を頂いて「おー、確かに」と思ったので、男にしかわからない男の子の話、女にしかわからない女の子の話ってやっぱりあるなぁと思った次第です。僕は男なので女の子が受ける被害の話とかはピンと来ないところもあるからなぁ。
ともあれ、子どもが生まれてから、同じように子育て中のパパ友なんかと「子どもをどう育てるか」みたいな話になることがあって、「子どもなんてアンコントローラブルなものだし、親の思う通りに子どもが育つわけがない」という大前提はありつつも、親が子どもの成育に干渉出来る余地が少しはあるはずなので、我が家でも一応教育方針を決めている。それが、
野生児にする
というものであります。この「野生児」にはふたつの意味が込められていて、ひとつ目が「肉体的野生児」で、例えばゲームのストリートファイターには「飛行機事故でアマゾンの奥地に落下した赤ちゃんがそのまま現地で育った」という設定の「ブランカ」というキャラクターがいます。
「ジャングルで育ったとしてもそうはならんやろ」という外見ではあるけど、僕が求める野生児というのは究極的にはこういうことである。
サバンナに行ってはトラを手刀の一撃で斬殺し、「とうちゃん!今日の晩メシだよ!」と言いながら塊肉をゴロンって転がしてきたりすると最高である。
要するに「肉体的野生児」とは「無人島に放置してもなんだかんだ生き延びそう」みたいな事であり、「生命としての強さ」「個体としての強さ」を示す言葉であります。
なんで僕がこの「個体としての強さ」を重要視するのか、という事についてひとつ思い出話をしたい。
あれは僕が小学校4年生とか5年生とかそのくらいの頃の話です。当時、僕の親父は僕を医者にしようと画策しており、私立中学を受験をさせるために僕を進学塾に通わせはじめた。大阪玉造にかつてあった阪神受験研究会という塾である。
僕が変な時期に入ったからなのか、既にクラスの中ではコミュニティみたいなのが出来ていて、新参者の僕は何故か知らんけどけっこうイジられたのである。初めて行った日に水色のTシャツを着ていたので「おい、水色~~」みたいな、ちょっと嫌な感じで他の男子から呼ばれた事を覚えている。わかります?「おーい!みぃ~ずぅ~いぃぃろぉぉお~!キャッキャッキャ!」みたいな、嫌な感じのやつ。それが2週間くらい続いてたのかな。
そんなある日、授業がはじまる前に黒板のほうを向いて座っていると、後ろからクラスの中ではボスっぽいというかガラの悪い感じの太ったジャイアン系男子にまた「おい水色~。こっち向けや~~」みたいな感じで声をかけられ、何を言われたのかまではあんまり覚えてないのだけど、その雑な感じにもいい加減ウンザリしていたので「お前うるさいねん。黙っとけボケ」くらいに言い返し、また前を向いたら突然、後頭部に衝撃が走ったのだ。
結論から言うとその、ボスっぽい太った男子にメリケンサックで後ろから殴られたのであります。
今でも「小学生がそんなことする!?」と思うのだけど、殴られた僕としてはまさかそんなもので殴られたとは思ってないので、普通に反撃して相手に馬乗りになってぶん殴ったのだけど、殴ってる最中に周囲から「うわーーー!!!」「血やーーー!」みたいな声がするので「なにごと!?」と思ってたら頭部から大量出血してたっていう。
当然そこら中から悲鳴があがるし、慌ててかけつけてきた先生に引き離され僕は病院送りに。殴った方の男子は両親を伴って謝罪に来るという事件がありました。
今でも名前も憶えているその子はその塾はじまって以来の退塾処分という事で塾を追い出され、僕は翌日から包帯を巻いて登塾、という感じになったのだけど、当然ながら大騒動になっており、その日以来僕を水色呼ばわりする人はいなくなった、という寸法です。当時この塾に通ってた人がいたら本件について耳にした人もいるかもしれない。
そしてもうひとつ。6年生になったくらいで、どういう理由だか忘れたけど阪神受験研究会を辞め、今度は上本町にある浜学園という進学塾に行きはじめたのだけど、クラスの、これまたガラの悪いジャイアン系男子に目をつけられ、塾の帰り道で「なんやお前、やんのか?」みたいな感じで絡まれましてね。なんでしょうね。僕目つきが悪いんですかね。
「お?やるんか?やってみろや!?」ってしつこく煽られたので、いい加減腹が立って思いっきりぶん殴ったら相手が泣きだしたという。これまたその日以来、クラスの誰にも雑に絡まれようなことがなくなって、平穏な日々を送るようになるわけです。
※余談ですが高校に進学したら、この時に殴った子がまさかの同級生という事で再会しましてね。その子は柔道やってるとかでスポーツ推薦のクラスに入っており、死ぬほどゴツくたくましく成長していたので「あの時の事を思い出されたら、殺される……!」とブルブル震えておりました。結局バレなかったけど。O君元気かね。
このふたつの事件なんですけど、暴力的な手段とは言え僕が反撃せずにヘラヘラやり過ごしていたらイジメのターゲットになっていた可能性がかなりあるな、と思っています。更に言えばメリケンサックで殴られた時なんて反撃せずにやられっぱなしになってたら後遺症が残るレベルの大怪我をしてたかもしれない。
阪神受験研究会も浜学園も東京で言うたらSAPIXみたいなもんで、医者の息子とかも多かったしいわゆる「ええとこの子」がたくさん来てるような塾ですらそうだったんですよ。
まあさすがにこの例が極端すぎることは理解してるし、昔と今では時代が違うし、今の子ども達はみんな良い子だし、特に東京みたいな都心はそういう事態になることってだいぶ減ってるんだろうな、とは思うんですけど、子どもって基本的には本能で生きる生物ですし、「こいつ弱いな」って周りから思われたら学校生活がしんどくなるんじゃないかな、と思っています。実際、小学生くらいの子どもがいるパパ友やママ友に話を聞いたら今の学校でも普通にケンカだのなんだのはあるみたいだし。それにゆくゆくはサマースクール的な留学なんかもさせたいなと思ってて、行く先が日本みたいに治安がよくお行儀の良い子が多い国とは限らないし、日本の学校に外国育ちの子が通ったりするケースだって今後はどんどん増えるでしょう。日本人の価値観がそのまま通用しないケースだって増えるはず。
なので「周りはみんないい子だし」とか「いい子だけを選って遊ばせれば良いのだ」みたいな前提で子どもの社会を捉えるのはけっこうリスクあるなと思っております。
それに、総合格闘技を長年続けているドランクドラゴンの鈴木さんが「嫌なやつが居ても『こいつ、いつでも殺せるしな』と思ったらなんとも思わなくなる」みたいな事をおっしゃっていて、「身体的な強さ」って精神的な強さにもけっこう直結するんじゃないかとも思っております。特に子供のうちは。なのでまずは一個の生命とひて強い「肉体的野生児」にしたいと思っている次第です。
そしてもうひとつの「野生児」は「社会的野生児」です。
僕はフリーランスとして色んな人と仕事をするわけですけど、「あ、この人は何やってても一生食いっぱぐれないだろうな」と思える人がちょくちょく居ます。そういう人が「社会的野生児」です。アマゾンを生き抜く力が「肉体的野生児」なら、現代社会を生き抜くサバイバル能力を持った人が「社会的野生児」っていう。
社会的な野生児性を持つ人に共通するのは肉体的な強さと精神的な強さ、そしてコミュニケーション能力の高さや周囲を巻き込む力、らへんかなぁと思っているのですが、僕が「一生食いっぱぐれないだろうな」と思ってるモデルケースのうちのひとりが友達の親父なんですね。
その友達の親父はドイツ人にも関わらず、世界中を飛び回っていて各国に家があり、いまではアフリカで暮らしているそうで、国と国とのはざまで法律や制度のスキマを突いてビジネスを展開するのがめちゃめちゃ上手いそうです。
友達はそのアフリカに居る親父から突然書類をあれこれ送られてきて、「こことここにサインして送りかえせ」と親父に言われ、言われた通りにサインして送り返したら親父から「ドイツの国籍取っておいたからな」などと言われたそうです。
友達はもちろん日本国籍を持ってるので「日本は二重国籍ダメなんじゃないの?」って言ったら「ダメでも罰則規定がないから無視してOK。ただしこれこれこういう手続きをすると国にバレる可能性があるからその手続きはするな。それ以外は今のところ大丈夫」みたいな説明を受け、「EUの国籍は持っておいて損はないから」と言われたそうです。詳しくは知らんけど制度の抜け穴的なルートで国籍を取ったらしい。親父すげー。
この辺ってどういう教育をしたらそんな人間に育つのか僕自身もよくわかってないので、「とりあえず英語は教えておこう」と思っています。
もちろん英語が出来たくらいのことでそんなレベルには達しないんだろうけど、日本の行く末に対して、僕自身があんまり明るい未来を見ていないので、子どもが将来何かに困っても、いざとなったら「ま、日本じゃない国に行けばいいか」って軽く思えるようにしたいし、そのためのハードルを下げるためにとりあえず英語は大事かなぁと思っております。
そんなわけで、「肉体的野生児」「社会的野生児」を達成するため、我が家でやってる具体的な行動がこの辺です。
〇雑に育てる
子どもが生まれる前に読んでいた本に、「赤ちゃんは決まった場所、決まった体勢でミルクをあげると安心します」みたいな事が書いてあって、それを読んだ僕は、「それだと逆に、決まった場所じゃないと不安になるんじゃないの!?」と思い、真逆の方針を取る事にしました。つまり、ミルクをあげる場所も決めないし、温度も適当だし、ミルクの銘柄も毎回変えるっていう。
更に僕の出張にもばんばん連れていっており、北は北海道知床から南は沖縄まで、まだ1歳8か月の癖に泊まった事のある都道府県だけでも20都道府県を数えるまでになりました。
当然寝る場所は毎回変わるし、飛行機にも新幹線にも乗るし、環境だって全然違うんですが、おかげ様で「どこでも寝るし、どこに行っても動じない」っていう感じの子に育っております。ナイーブさが皆無!
ちょうど先日も横浜のアンパンマンミュージアムに遊びに行ったのですが、ショーの最中に眠くなったのか、ショーの爆音の中、おもむろにその辺の地面に寝転がって昼寝しようとしはじめたので「え!?そこで寝るの!?」って思わず突っ込んだレベルです。
〇人にたくさん会わせる
「雑に育てる」に近いんですけど、とにかく色んな場所に連れてって色んな人に会わせております。最近は立ってウロチョロするようになり、好奇心の向くまま、手あたり次第に手を伸ばしたり色んな所に登ろうとするので「流石に無理!」と思って居酒屋に連れて行くのは中断していますが、そこまで活発じゃない時期は友達との飲み会があるからって居酒屋に連れてったりもしておりました。最近はキッズスペースになってる居酒屋もあるのだ!もちろん17時スタートの20時解散とかだけど。
おかげ様で本当に人見知りしない子に育ちました。奥さんの友人宅に遊びに行った時も、そこの子ども達と秒で馴染んで一緒に遊んでましたし、自分の事をアイドルか何かだと思ってるのか、一緒に散歩してる最中に知らないおばあちゃんなんかが「あら~、可愛いわねえ」なんて話しかけてきたら嬉しそうにニコニコしながら寄っていって手を振ったりしております。
〇習い事
そして習い事。まずはさっき言った通り英語で、幼児向けの英会話教室に通いだしております。意味があるのかどうか今のところよくわからないけど。そんで次にやらせようと思ってるのが体操教室で、更に3歳になったら空手を習いに行こうかなと思っております。
前述の通り肉体的な強さって精神面にとっても大事だよなぁとは思ってるんですが、かと言って粗暴で暴力的な子どもにはなって欲しくないので「どうしたもんかなあ」とか思っていたところ、友達の空手経験者の人から「空手は礼儀作法とか上下関係にもうるさいし、当然暴力の怖さとかもめちゃめちゃ教えてくれるからいいですよ」って言われたので今のところ空手を考えております。もちろん本人の意思優先なのでやってみて嫌そうだったら身体を動かす別の何かを考えようと思ってるけど。
ちなみに、空手がばっちりハマって強くなったとしても、息子が強くなったせいで親父が舐められるようになったら終わりだな、とも思っているので僕自身も最近はボクシングを習っております。息子が空手道場に通える年齢になったら僕も空手に移行して一緒に習おうと思ってるけど。
僕の、息子に対する溺愛ぶりをご存知の方ならおわかりかと思うんですが、もちろん子どもに体罰する気なんてサラサラないですし、暴力ダメ絶対の精神で教育するつもりですけど、中一くらいで反抗期を迎え、「このクソ親父!」などと叫びつつ、暴力的な手段に訴えてきた時にはサラッと返り討ちにして制圧するくらいの力は持っておかないと、と思っております。親が子どもに舐められて良い事なんて無いですからね。
そんなわけで「ワシは立派な野生児に育ったぞ!」という人がいたらぜひ、どういう育てられ方をしたのかを教えてください!