6curryと私。自分にやりたいことがなくてもいい、デザインとコミュニティと、2020年までの記録。
6curryを会社化してから1年が経った。
私が6curryに関わってからはもうすぐ3年になろうとしている。
年始めにブランドデザイナーになるまでの苦悩をnoteに書いたが、ここではなんとなく6curryに対する自分の気持ちや考えはすっ飛ばしていた。「なぜやっているか、これからどうしていきたいか」をまだ自分の言葉にできず、個人の考えを表明するのが怖かったのかもしれない。
みんなですり合わせた言葉に自分の気持ちを乗せて、会社が主語の発信は個人の考えを発信するよりとても楽なことだったなと思う。
でも、「いまやっていることとその意味」は変わっていくものだ。
今日は、クリアになってきた自分のVISIONとこれまでの軌跡をありのまま記録するとともに、これを読んだ誰かが少しでも前向きになったらいいな…と思いキーボードを打つ。
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6curryに関わることになったきっかけ
6curryは「カレー×コミュニティ」として認識してくれている人が多いのではないだろうか。ところが最初はコミュニティのコの字もなかった。「カレーで革命を起こそう!」という弊社代表の高木新平がSNSで呼びかけたところから始まる。
社内のメンバーが作ったスパイスカレーが美味しくて、「これ、商品化できるんじゃない?」という発案から、SNSでカレーが好きで何か新しいことをやりたい人を集めてプロジェクトが発足した。6つの味(塩味・酸味など)のレベルを自分で好きに選べるカレーや第六感を刺激するという意味で6curry(シックスカレー)と名付けられていた。
「あ、また新平さん何か面白いことを始めようとしてるな」ちょっと他人事のような感じで横目で見ていた。私はカレー通でもカレー好きでもない。(普通に好きレベル)
だが、その後紆余曲折あり「世界において、寿司、ラーメンに並ぶ日本のソウルフードになること。女性進出時代に食べやすいフードカテゴリーの1つに」(当時のメモそのまま)と方向性が変わった。ターゲットが女性になったこともあり、新平さんに「YOPPY、カレーのデザインやって!カレーをかわいくしてほしい」と声をかけられた。
飲食のデザインは全くやったことがないし、別にカレーが好きでもなんでもない私にできるかな?…そんな不安な思いがありつつも、そもそもデザインで頼られることはとても嬉しいし、飲食のデザインはずっとやってみたかったことだった。
楽しく生きる!がモットーの私。
きっかけは、やってみたい!なんか楽しそう!
わくわくするというただそれだけの理由で始めた。
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「かわいいカレー」のデザイン、
カップカレーの誕生。
どんなデザインコンセプトにしようか考え始めたが、そもそも商品がまだ決まっていない。カレー自体をかわいくするにはどうしたらいいか?と考えなければならなかった。
まず自分がこういうカレーになったら可愛いだろう、食べたいな、と思うアイデアをまとめた。
ひと昔に流行ったジャーサラダから発想を得た「ジャーカレー」のアイデア。カレーってご飯とルゥですごいジャンキーなイメージでダイエット中は絶対食べないけど、中身を層にすれば野菜の色でカラフルにできてかわいいし、なんてったってヘルシー!カップで手持ちならコンビニで買って移動中に歩きながら食べる生活をしていた私のような、忙しい女子にピッタリでは👀?
イメージをラフ絵に書き、スタバのフラペチーノやパフェみたいな存在になれるのではないか?と提案した。
この時点ではもう既に普通の形のお皿で売る想定で進んでいてそもそもの形から方向転換することになるが、チームは快諾してくれた。
早速商品開発に取りかかる。これが後の「カップカレー」だ。
「かわいいカレー」を依頼されてはいたが、もともとのビジョンは「カレー革命」だ。革命を起こすためには、一定の強さがなければならない。(それに新平さんはシンプルでボールドなデザインが好きなんです)だから、グラフィックデザインは、かわいいと言っても、かわいいもの好きの女の子が求めるラブリ〜♡なかわいさではなく、新しいもの好きな男女ともに欲しいと思えるトーン&マナーと、新参者としてのインパクトをつくるべく、6をドーンと大きく、シャープなロゴにした。
ロゴはフォントではなく1からつくった。気の遠くなるような作業。
※このときはロゴが赤くなる想定だった。
世の中にあふれるカレーのパッケージを見るとキーカラーとして使われる色は赤やオレンジ、イエローがほとんどだったが、私たちは普通のカレーのイメージのアンチテーゼとなるべく、飲食ではタブーとされている青(水色)でいくことにした。
結果、店舗を持たずにUberEatsだけで販売する「ゴーストレストラン」として、また同年12月に流行語大賞を獲った「インスタ映え」するカレーとして話題を呼び、たくさんメディアから取材を受けることとなった。私達のカップカレーを真似してカップカレーを出す飲食店もかなり増えたw
今思えば、私が「特にカレー好きではなかった」から良かったのかもしれない。
カレー好きは別にかわいくなくてもカレーを食べるだろう。カレー好きじゃない私でも食べたくなるようなカレーができたことで、6curryとして話題をつくれたのは1つの成功体験となった。
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コミュニティ形成期、余白のあるデザイン
ちょっと話は飛ぶが、コミュニティをつくることになった時、カレーをきっかけに世界を混ぜ合わせたい、みんなが混ざり合う場所をつくりたい、混ざるって楽しい!…と「混ざる」がキーワードになっていた。
しかし、もともとの水色のデザインはシンプルでストイックな印象で、決して楽しいや混ざるデザインとは言えない。なんとなく好きじゃなかった。(自分で作ったのにね)
そこでもう一度目指したいデザインを自分なりに言語化し「混ざる・楽しい」デザインへと2ヶ月近くかけてリデザインした。1度作ってから、こんな短期間でリデザインすることになるとは思ってなかった。
ロゴの検証。ロゴの文字間隔を広げてゆとりをもたせたり、色を黒に限りないブラウンにしたり(カレーだから!)
柄にもなるマークを作ったり。(柄は死ぬほどボツ案がある…)
ほかのコトモノと混ざり合えるようカラーを1色に決めず6色にしたり、(この色にした理由はこちら)でもカラフルすぎないよう2色の組み合わせでバイカラーで使うようにしたり。
続いて、コミュニティキッチン。
恵比寿にできたKITCHENは、カーブしたカウンターと厨房が中心にあるだけ。6curryのグラフィックもあえて取り入れず、主張しない空間にした。それは、ガチガチに作り込まれた世界観のある空間ではなく、親しみやすくてコミュニティに集ったメンバーさん達と「一緒に」世界観をつくっていくため。(今見ると密っ密だね!w)
6curryでは「共創」を大事にしているが、一緒につくっていくためには、デザインだけでなく、制度、空気など全て、最初に作り込みすぎず、何かが入る余地のある「余白のあるデザイン」が重要だったんだと思う。
_φ(・_・
あえて余白を残すことについて、Mr. CHEESECAKEのデザインをしてる友人のタカヤ・オオタくんの記事があるので読んでみてください。
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なぜカレーなのか、なぜ共創なのか?
「なんでカレーなの?」
もう100回以上聞かれた気がする。
最初にカレーで始まった理由は上記の通りだが、最近ようやくしっくりくる答えが見つかった。それは、食は誰にとっても身近で参加しやすいものだから。中にはカレーが嫌いな人もいるかもしれないが、子供の時に家庭でカレーが出たら嬉しかった人も多いだろう。林間学校やキャンプでみんなで作るカレーは美味しいし、みんなで一緒に作ることで仲良くなれる。
だから6curryではカレーをフックにしているのだ。(ドヤ顔
次に共創について。
6curryでの共創=共に創るの「つくる」は、幅広い意味で使われる。
「つくる」という言葉は、一見何かモノをつくったり「クリエイター」という肩書で専門職で特殊なことができてハードルが高そうに思われがちだが、6curryでは、参加することが6curryというコミュニティをつくることになる。カレーをきっかけに集まって、喋ったことのない人と話したり、友達ができたり、仲間を見つけたり、応援したいこと・人に出会えたり、みんなで予測不能なセレンディピティをつくってる。6curryのメンバーさんたちのおかげで、コミュニティができている。
自分がつくることに関わることで、自分ごと化される。
そう考えると、誰でもつくることに参加できるし、何かしらに関わっているみんなも自分の人生をつくってる。
💭💭💭
自分の人生をつくるために、
自分のやりたいことがなくてもいい。
SNSで起業したり自分のやりたいことを実現している人を見て、意識高いなぁすごいなぁ、自分にやりたいことがない…やりたいことを見つけなきゃ…と焦っている人をよく見る。(私もそうだった)
あの時の自分に言いたい。
「自分のやりたいことがなくてもいいんだよ」
自分が声を挙げなくても、誰かのやりたいことに乗っかってみるのでもいい。ただし重要なのは、その中で言われたとおりやるのではなく、間違っててもいいから「自分なりに」やることなのだ。
それを積み重ねると、自ずとやりたいことがクリアになってくる。
私も、人と比較して自分にはやりたいことがない…😭!と長年コンプレックス感じていたけど、クライアントワークでも今のブランドデザインでも、「誰かの夢を自分のデザインで叶えること」「わくわくすること」に喜びを感じていて、それがやりたいことなんだって気付いた時、やりたいことって大きい夢なんかじゃなくて全然身近なことでいいんだ、と拍子抜けした覚えがある。
「 自分も、みんなも、ひとりでも多くの人が楽しく・わくわく生きる世界をつくりたい!」これが今のVISIONだ。
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小さい成功体験を積み重ねて
そうは言っても、身近にやりたいことがない〜って人も多いかもしれない。SNSでとにかく広く繋がって、誰かの人生や価値観を覗けても、自分の人生でやりがいや存在意義を感じるのは難しい。人と比べて自分はダメだと烙印を押して、知らないうちに自己肯定感を自分で下げて負のループになっているのではないだろうか。
私も自分の存在意義を見失い、やりたいこともなく、アートディレクターとして有名になることを諦めたからよくわかる。でも、いいデザイナーとしての評価は、必ずしも賞を獲ったり有名な仕事を手掛けることだけではないと私は思う。
私の場合、6curryでブランドデザイナーをしていること、コミュニティをつくることは別にやりたかったことではないけれど、普段の仕事の中で、かねてからやりたいことであったパッケージデザイン(レトルトカレー・スパイスキット)をしたり、自分の好きなファッションブランドLEBECCA boutiqueとコラボをしてワンピースのデザインをしたりと、今自分がしていることと元々やりたかったことの掛け合わせで実現することができた。
6curryという小さい社会で、6curryの仲間と、そして6curryと手を組んで仲間になってくれる人たちがいることで、1つずつ成功体験を積み重ねているのだ。
だから大事なことはこの2つ、
① チャンスの糸口を見つけること。
② 自分ひとりで完結させようとしないこと。
身の回りには気づかないくらい小さいチャンスがたくさん転がっていると思うけど、今周りにチャンスがないという人は、一回自分の生活から一歩だけ踏み出してみることが必要かもしれない。家庭や職場ではない「サードコミュニティ」が必要とされているのは、身の回りにある当たり前の日常から飛び出して新しい刺激や役割を得るためなのかなぁと思ったり。
実際6curryでもそういうチャンスがたくさん生まれている。全く知らない人から友達になったり、仕事に繋がったり、好きなことが見つかったり、誰かのサポーターになれたり、カップルが生まれたり…!(事実)
自分ひとりでやりたいことを見つけて、1人でそれを叶えるのはハードシングスすぎる。だから、仲間や応援してくれる人を見つけて、みんなでつくろう。
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最後に
この3年間、なぜ私は6curryにいるのだろう…と存在意義が見えなくなる時もあった。
でも、6curryで私が自分のやりたいことを実現したことが成功体験となり、誰かのやりたいことを後押しすることができる。そしてそれを私がデザインすることで6curryで参加したことをセレブレーションすることができたり、デザインをきっかけに人が集まる。
ブランドデザイナーとして、
まだまだやりたいこと、やれることはたくさんある。
6月6日、自分たちで勝手に決めた「6curryの日」に寄せて。
YOPPY