デッドラインヒーローズ/イカロスの蜂

さてさてさて。遥唯折さん作、スーさんGMのデッドラインヒーローズ「イカロスの蜂」の感想ですよ。

(日経ヒーロー20xx年11月号より抜粋)

ーー6週間に渡ってお届けしてきた特別企画、「零等星ヒーロー列伝」。最終回は「イカロスの蜂」事件について、Mr.6Millionにお話を聞いていこうと思います。Mr.6Millionは4年前のあの事件で、不死身のヴィランと恐れられたホワイトファイアを見事撃退されたのですよね?

ああ、いえ。それはわたしだけの力で為し得たことではありません。

ーーというと?

当時G6に所属していた多くのヒーローの力、とりわけブレイド・ビーとDancing Flag、二人のヒーローの力があってこそ、ホワイトファイアを倒すことができたのです。

ーーそうですか。ブレイド・ビーといえば、三等星ヒーローでありながら、ホワイトファイアに単身立ち向かい、あえなく返り討ちになったヒーローですね。その行動は当時大変に疑問視されたと聞いていますが?

はい。我々G6を含む当時の人々には、彼がなぜそのような行動に出たのか、理解できていなかったのです。マスコミやSNS、そしてG6内部からも「無謀な挑戦」「自暴自棄」「売名行為」などといった非難や誹謗中傷、嘲笑の言葉が相次ぎ、一時はG6の作戦管理への批判にまで発展しました。
しかし、みなさんも既にご存じのように、ブレイド・ビーはそのような利己的な理由でホワイトファイアに挑んだのではありませんでした。彼は元来優秀なヒーローでした。零等星のように前線で華々しい戦闘を繰り広げることこそありませんでしたが、後方、あるいは兵站、情報管理といった分野で、他のヒーローの活動をサポートする、実に冷静で視野の広いヒーローだったのです。
G6の機密に触れる部分もあり詳しいことはお話しできませんが、彼の活躍があったからこそ、わたしたちはホワイトファイアを倒すことができた、そう考えています。

ーー「わたしたち」ということは、Mr.6Million、他にも事件解決の立役者がいた、ということですか?

もちろんそうです。みなさんもご存じのDancing Flag、彼の力がなければ、事態はもっと困難になり、事件の解決は遅れていたでしょう。

ーー当時のDancing Flagはまだ二等星で、Mr.6Million、あなたの弟子のような立場だったと伺っていますが?

それは少し違います。確かに、立場上、彼はわたしの部下ではありましたし、一時は彼を後継者に育てたあとわたしはヒーローを引退するつもりでした。
しかし、「イカロスの蜂」事件に先立つ「明けない夜は」事件を経て、彼とわたしの関係は大きく変わりました。以来一貫して、Dancing Flagはわたしの最も信頼できる相棒、そう、バディなのです。

ーーなるほど、年の離れた部下ではあるが、信頼できるバディである、ということですね。では「イカロスの蜂」事件でDancing Flagの活躍を一つあげるとしたら、何になりますか?

一つ、ですか……。難しい質問ですね。
強いてあげるなら、そう、彼はあの戦いで二度、視界を完全に封じられた状態で、まっすぐ全力で前進しました。わたしの言葉に全幅の信頼を寄せて、なんの躊躇いもなく、みなさんご存じのあのスピードで、敵に突撃したのです。
それが、わたしが「彼がバディでよかった」と思う、その所以かもしれません。

ーーありがとうございます。そのDancing Flagですが、今期の「現役ヒーロー好感度調査」で堂々の二位になったそうです。Mr.6Millionからみてその辺はいかがです?

やっと世間の見る目が追いついてきたなと思います。当時の彼はまだ……そう、やんちゃなところが多分にあり、それが周囲との軋轢を招いていた面もあったでしょう。ですが彼は最初から一貫してヒーローでした。それを世間がやっと理解してくれた。それをうれしく誇りに思います。

ーーではインタビューの最後に一言お願いします。

「イカロスの蜂」事件以降、G6は零等星ヒーロー以外のヒーローの活動をみなさんにお知らせすべく、広報活動に力を注いできました。それもあり、ブレイド・ビーにたいする誤解は解け、名誉が回復できたと思っています。
そして、世界には多くのヒーローがいて、彼らはそれぞれが持てる力を奮い、身の回りの平和を守っています。
どうか、みなさんにはヒーローを温かく見守っていただきたい。そして、できることなら、みなさん自身も、自身の内のヒーローを大事にしていただきたい。そう思います。

ーーそれではMr.6Million、本日はありがとうございました。今後のご活躍に期待しています。
(引用終)

「おや、相棒。今日は非番かね?」
「おい、じいさん。人が口出しできないと思って、言いたい放題やってくれたじゃねーか」
「おや?嘘はついていないつもりだが?なにか気に障ったことでもあったかね?」
「……そうじゃねーよ。ああ、ああ、過分なお言葉ありがとうございました!ですよ!…褒めすぎなんだよ」
「まあいいじゃないか、本当のことだ」
「(ちっ)ところでじいさん、このあとは時間あるか?」
「?ああ、今日はこれで終業だが?」
「じゃあ飯食いにいくぞ。じいさん、来月から育成学校の校長だろ?前祝いだ。さっき、零等星の初ギャラが出たんだ。奢ってやるよ」
「ほお?それはありがたい。ごちそうになろう。ちょうどきみが好きそうなスコッチを出す店を見つけたんだ、そこでどうかね」
「ス、スコッチ?ああ、ウィスキーか。いいね、じゃあ紹介してくれよ」
「いいとも。では早速いこうか、相棒」

全然書き切れてないけど、こんな感じです。
スーさん、すださん、ありがとうございました。4夜、楽しかった!

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