ANGERSWING#53
「ああ、いつかマキューシオリベンジしたいなあ」なんてふと思うことがある。ロミオとジュリエットの登場人物であるマキューシオ。
ロミオとベンヴォーリオとマキューシオのトリオで仮面舞踏会に参加して、ロミオとジュリエットの出会いのきっかけを創出してしまうみたいなことなのだけど。
マキューシオという人物は本当によく分からない長台詞を言う。
多分、舞台を観に行って、彼の想いのこもったその言葉たちを全て汲み取ることのできる人はいないのではないだろうか。
わたしがマキューシオを演じた時、彼の自由さをどうすれば表現できるのだろうというところで分厚い壁にめり込んだ。
今思えば、何かをすることではないよな、表現をすればするほど彼の自由さは閉じていくなって思うのだけども。とは言え、やれと言われたら表現しなければならないので、そのバランスがとても難しい。
今でも覚えている。
新国立劇場小劇場の奈落から舞台面に繋がる蓋を開けると真っ暗な世界が広がっていて、大きな照明変化もなく、その中で、まさしく宇宙の中で【マブの女王】の台詞を言わされていた。うん、言わされていた。自分の力で言うに至っていなかった。だからすごく怖かった。
正解がどこにあるのかも分からず、たくさん台詞の分析はしたけどそれでも漠然とふわふわした言葉たちで、バチっとはまった記憶は全く残っていない。
漠然と、ふわふわとしていていいなと今なら思うけど。当時の自分はどうしたって正解を出さなければいけないという切迫感の中で台詞を言っていた。
マブの女王の台詞に正解なんてない。正解があるようなそんな息苦しい台詞ではない。
またあんな宇宙のような空間で宇宙をさらに広げるような言葉たちを口にしたい、体現したいとふと思う。
けど気づけば、マキューシオを演じるには少し年齢を重ねてしまったらしい。諦めるなんて選択をする気もさらさらないけど、自分の容姿・年齢に合った役を演じるというのはやっぱり普通に説得力を持つ。正攻法だなと思う。
意図的に容姿・年齢に合わない役をやることももちろんあると思う。それはそれでとても良い。
ただやっぱりロミオ、ベンヴォーリオ、マキューシオの若さというのは『ロミオとジュリエット』という作品にとっても重要なファクターになっているような気がするし、素晴らしい作品を立ち上げるためにわたしも今のわたし自身をマキューシオに配役するということはできない気がする。
きっとそういう役が増えていくのと同時に当時のわたしでは演じることのできなかった役も増えていくのだろうなと思う。それを楽しむというのもとても大事。
だけどやっぱりいつか、マキューシオリベンジはやりたい。
タイムリミットは過ぎているかもしれないけど、彼の中に広がる無限の宇宙になんとか触れたい。無欲なところで、そこにいたい。
役との出会いも一期一会。
今この瞬間を大切にしたいヨ。
<日本劇団協議会主催>
日本の演劇人を育てるプロジェクト
新進劇団育成公演
劇団Q+
『ANGERSWING /
アンガーズウイング・アンガースウィング』
ー家族の庭、その香りは秘密をささやくー
脚本=弓月玲 原案・演出=柳本順也
◎日程
2024年7月3日(水)〜 7月7日(日)
【公演スケジュール】
7/3(水)W 19時~
7/4(木)S 19時~
7/5(金)W 14時~/S 19時~
7/6(土)S 13時~/W 18時~
7/7(日)W 12時30分~/S 16時30分~
【チケット】
前売一般 = 4,500円
当日一般 = 5,000円
U22= 3,000円
◎劇場
下北沢 駅前劇場
⋱チケット発売⋰
2024 年 5月 1日(水)予約受付開始!
●ご予約URL
https://act-pit.com/events/view/?eid=0kDlB28a