ANGERSWING#8
天の配剤はやはりあると思う。
わたし自身の中で勝手に、強烈に意識している人と新宿ですれ違った。
ここ最近、その人とニアミスすることが急に多くなって、その度にジェラシーを感じたり、「やってやる」みたいな気持ちにさせられたりしていた。
向こうはわたしのことなんて知らないし、話したことすらない。同じ空間にいたことはあるけど、面識はゼロだ。
それでもここまでわたしの心に根を張っているのは。なんだ。同族みを感じているのか。
新宿という昼夜問わず人の行き交う街で、すれ違った瞬間に「あ」と思うのはよっぽどなことだろうと思う。
もちろんその人のことを考えてすらいなかったのにだ。視覚から脳みそに向かって神経が一瞬で繋がった。
わたしは事あるごとに「アルケミスト」という本を読む。
その中に“しるし”という言葉が数多く出てくるのだが、その人とのここ最近の積み重ねは何かの“しるし”にしか思えない。
この出会いが一体何を意味するのかは分からない。
近々交わることになるのかもしれないし、一生交わることはないのかもしれない。
でも一つ言えるのは今置かれているそれぞれの立場の違い。
この立場の違いをひっくり返すにずっと至っていない。その悔しさはどこまでも続いている。
他者と比較してもしょうがない。とか、自分の人生を生きる。とか、精神衛生を保つ上で語られる言葉はたくさんある。時にはわたしもその言葉に縋るし、助けられることもある。
でも他者と比較してしまう瞬間は、少なくともわたしには度々訪れるし、それならばその瞬間を無理やり否定して前に進もうとするのではなく、受け入れながら前に進みたいなと思ってしまう。
これは確実に他者との比較の話だ。他者とわたしを比較している話だ。
一つ一つの事象に対して真摯に、実直に取り組んでいくしかない。
きっと、その人も実直なんだと思う。前に進み続けているのだと思う。
ただここで意識すべきは、その人と比較して頑張るとかじゃなくていい。
自分がやるべきことを一つ一つ積み上げていくということ。
その人を目的にした瞬間に色々なことがずれる。
相手はそこにはいない。目の前をよく見る。
次どこで出会うのか。わたしはわたしのペースで前に進むヨ。
<日本劇団協議会主催>
日本の演劇人を育てるプロジェクト
新進劇団育成公演
劇団Q+
『ANGERSWING /
アンガーズウイング・アンガースウィング』
ー家族の庭、その香りは秘密をささやくー
脚本=弓月玲 原案・演出=柳本順也
◎日程
2024年7月3日(水)〜 7月7日(日)
◎劇場
下北沢 駅前劇場
⋱チケット発売⋰
2024 年 5月 1日(水)開始
https://www.gekidan-q.com/
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