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ANGERSWING#55
見透かされているような気分だ。
一山越えようとしていたら、実はその先にまた山があるような。そしてその山はわたしにとってすごく魅力的な山で、でも縦走するには体力とかよりも気力が必要で、ただ心を折るにも充分すぎる高さを誇っていて。
今日もこの文章を書くのをやめようと思った。
けどお風呂場にスマホを持ち込むのであれば、書こうと思って書いている。
脳みそを言葉の山が覆い尽くしていて、逆にその言葉一つ一つが見えてこない。ゆっくり誠実に向き合わないと脳裏に浮かんでこない。
今この文章を書いているときも脳みそから言葉たちが主張だけはしてくるけど、そちらに集中できていないので全くもって表出することはできない。
世の中、本当に甘くない。
いや、むしろ甘いくらいなのかもしれない。
生きていく上で、苦労を買う必要はないとか自分から苦しさを享受するなとか、楽をする方向に促す社会になってきている気がするけど、やっぱり楽しいだけじゃダメなんだよ、と今のわたしは思うし、今のわたしは言われている気がする。
楽をして、そんなところに行けるわけがない。
別の道もあるだと?ないよ、そんな道。
何と向き合っているかを言うつもりはないけど、山は高い。でもきっと普通なのだ。
楽をしすぎた自分がそれを高いと思い込んでいるのだ。
演劇はぬるくない。
いいよ、すごくいい。やれることをやる。
きっとずっと苦しい。そうだった。演劇の楽しさなんてそんなところにはない。
一個ずつ一個ずつ積み重ねて、その日を迎えるだけ。
苦しさを感じて、新しく買ったノートを開くことを避けてしまう自分ももちろんいる。
そりゃ苦しいよ。逃げたくなるよ。
でも確実に前に進んでいると思える実感もある。
そして何年かぶりに触れた台詞は、ものすごくシンプルな言葉たちになっていた。昔と比べればね。
戦っていることを表明することがダサいと思いながら表明している私だけど、これは明確に戦っている。
人間、追い詰められてる方が輝くとは思う。
そう思った直後に「え?もう追い詰められてんの?」という声が聞こえてきた。久しぶりにその声が聞こえてきた。すごいな、こんなにはっきりと声が聞こえてくるのはあなた一人のような気がする。ええ、追い詰められてますよ。だからやりますよ。
「追い詰められてないです」って言う自分の姿も容易に想像がつく。
ええ、追い詰められてないです。
お風呂場から出たら新しいノートを開く。そして時間を忘れて没頭して寝る。
寝ながら脳みそを整理する。そして朝起きて、ノートを開く。
これくらいを普通にしていこうヨ。
<日本劇団協議会主催>
日本の演劇人を育てるプロジェクト
新進劇団育成公演
劇団Q+
『ANGERSWING /
アンガーズウイング・アンガースウィング』
ー家族の庭、その香りは秘密をささやくー
脚本=弓月玲 原案・演出=柳本順也
◎日程
2024年7月3日(水)〜 7月7日(日)
【公演スケジュール】
7/3(水)W 19時~
7/4(木)S 19時~
7/5(金)W 14時~/S 19時~
7/6(土)S 13時~/W 18時~
7/7(日)W 12時30分~/S 16時30分~
【チケット】
前売一般 = 4,500円
当日一般 = 5,000円
U22= 3,000円
◎劇場
下北沢 駅前劇場
⋱チケット発売⋰
2024 年 5月 1日(水)予約受付開始!
●ご予約URL
https://act-pit.com/events/view/?eid=0kDlB28a