教員からベンチャーへ!書籍『ライフピボット』から学んだことと私の転職ストーリー
転職を考え始めたけれど、特別なスキルがある訳じゃないし何ができるかわからない…
趣味を仕事にするのは違う気がするし。自分が本当にやりたいことってなんだろう…
この記事を読んでくださっている方の中には、もしかすると、そのような思いを抱えている方がいらっしゃるかもしれません。
2024年4月に小学校教員からベンチャー教育機関である「ゼロ高等学院」へ初めての転職を経験した私ですが、まさにそのようなことに悩まされていました。
そんな私が最終的に着地できたのは、今回の記事で紹介する『ライフピボット』という書籍の考え方に触れたおかげ。
著者の黒田悠介さんによる「人生100年時代における転身術」を自分の経験をもとにお伝えできれば、誰かのためになるかもしれない。そんな思いで記事にまとめてみることにしました。
仕事が嫌で今すぐにでも転職したいという訳ではないけれど、これからの自分のキャリアに漠然とした不安を抱えている方などに読んでいただけると嬉しいです。
白紙の中で「先生辞めます」
私が本格的に転職を考え始めたのは、1年前の夏休み。
数年前から「定年までずっと教員を続けるというキャリアが想像できない」という理由を出発点に、転職自体は頭の片隅にあったのですが、
・より自分の可能性を切り拓くキャリアを探究したい
・30歳を目前にして転職するとしたらこのタイミングかもしれない
・妻がお互いの地元である九州にそろそろ帰りたいと言っていた
・そんなタイミングで夏休み前の祖父が亡くなり、お互いの家族について考えるきっかけとなった
などの理由が重なったことで、転職を決意しました。
当時勤務していた小学校では、10月が来年度の人事に関する意向調書の時期。
4月からのことが何も決まっていないにも関わらず、「先生を辞めて九州に帰ります。」と校長に伝えました。
何度も何度も頭の中でシュミレーションをして伝えたその一言。
関東で先生をしていた私が「九州に帰る」というワードを使えば、「仕方ない」と思ってくれるだろうと考えていたのだと思います…
辞める雰囲気なんて1ミリも醸し出していなかったであろう私からの言葉に、校長は驚いた様子でしたが、最終的にはその決断を応援してくれました。
当たり前のように「向こうの教員採用試験は受けてるんだよね?」と言われましたが…笑
さて、辞表を提出したはいいものの、転職先については全く白紙からのスタート。
いわゆる就活を経験していない私にとっては、転職活動が驚くほどハードルの高いもののように感じていたのも事実です。
とりあえず情報を集めるべく、「教員 転職」というキーワードを手当たり次第調べたり、転職サイトや転職エージェントに登録したりというころから始めたわけですが、ここでぶつかったのが「私は何ができるんだ…」「本当にやりたいことってなんだ…」という壁でした。
私の転職を支えた「ライフピボット」の考え方
「ライフピボット」の概要
「ライフピボット」という言葉を初めて聞く方も多いと思いますので、簡単に説明しますね。
「ピボット」という言葉から、バスケットボールの「ピボット」を連想する人もいるかもしれません。バスケでボールを持っている人が片方の軸足を固定し、もう片方の足を自由に動かせる動作のことですね。(たぶん…笑)
基本的には、キャリアにおけるそのようなイメージを持っていただければ大丈夫かと思います。
黒田さんが「ライフピボット」を提唱した背景には、人生100年時代と言われるほど長くなっている一方で、ライフスタイルが短期間で変わることが挙げられます。
変化が激しい時代には、いくつものライフスタイルを転換(ピボット)しながら生きることが当たり前になりつつあるということです。
書籍では、以下の「3つの蓄積」、「3つの行動原理」、「6つのアクション」を意識しながら、時には偶然を味方につけて、どんな年齢でも自分のキャリアを切り拓くことを提案しています。
「6つのアクション」については、このあと詳しく取り上げますね。
私自身、これらの考え方に触れたことがきっかけで、新しいキャリアへの一歩を踏み出す勇気をもらいました。
「ハニカムマップ」とは?
ハニカムマップとは、六角形のマスで埋め尽くされた盤面に描く、自分自身のキャリアの可能性のこと。キャリアの可能性を面で捉えることで、その後のキャリアがイメージしやすくなると書かれています。
以下はマーケターの場合のハニカムマップのイメージ。
図で見ると、キャリアをピボットするというイメージを掴んでいただけるのではないでしょうか。
実際に「ハニカムマップ」をつくってみた
小学校教員をしていた私の場合で考えてみると、以下のようなハニカムマップを作成することができました。(当時はここまでしっかりと作成していなくて、この記事を書くために作成し直したことを白状しておきます…)
「教員ってこれといったスキルがあるわけではないし…」と考えていましたが、毎日のように子どもたちや保護者と関わることを通して、コーチングやファシリテーションといった対人スキルは少なからず磨かれていると思うことができました。
そのように考えると、公立以外の「先生」へピボットする可能性や「コーチ」としてコーチングスキルを専門としていく可能性、教員経験を通してより強い問題意識をもった「学校の働き方」などに対して外部から伴走する可能性などが見えてきました。
ピボットの可能性を広げる「6つのアクション」
できれば少し立ち止まって考えてみてほしいのですが、皆さんはピボット先をどれくらい思い浮かびそうですか?
私自身、1年以上前に初めて読んだときはハニカムマップがあまり思い浮かばず、作成できていませんでした。
ピボットの可能性をより広げるために必要なのは、やはり行動すること。
書籍で紹介されている「6つのアクション」では、具体的にどのように行動していくと良いのかが分かりやすくまとめられています。
ひとつずつ詳しく説明していると相当な文量になってしまうので割愛しますが、私自身の転職において大きなきっかけになったのが②発信し続けると④コミュニティに参加する/主催するの2つ。
個人的には「行動しなければ、両足が沼にはまってそのうち動けなくなる」と思うようにしていました。
私のピボット転職ストーリー
「偶然」が重なって生まれた私の転職
冒頭でもお伝えしたように、4月にベンチャー教育機関(ゼロ高等学院)のコーチへと転職した私。
最初に『ライフピボット』を読んだ時に頭の中に描いたハニカムマップの中には、もちろんそんな選択肢はありませんでした。
いま思い返すと、転職先が決まるまでには、多くの偶然が重なっていました。
少しだけそのストーリーにお付き合いください。
教員としての力不足を感じ、「このままではやばい…」と思っていた初任時代。
当時、Twitterを中心に先生アカウントをフォローし、情報収集を続けていたのですが、2年目の夏休みに参加した200人規模の教育イベントを皮切りに、さまざまなイベント、コミュニティに参加するようになりました。
「クラスをよくしたい。」「自分を成長させたい。」という思いから、手当たり次第見つけたイベントに参加していた日々。
そんな中で自分のクラスづくりのビジョンに一番と言っていいほど影響を与えたのが岩瀬直樹先生(現 軽井沢風越学園校長)でした。
そんな岩瀬先生の埼玉にある旧ご自宅を改装したワークショップ部屋で開催されたファシリテーション講座。
当時、私は教員5年目。初めての異動を経験した4月だったと記憶しています。
その時の経験が直接転職に繋がったかというと、そういうわけではないのですが、あることがきっかけで講座を通して出会った参加者と2年越しに再会することに。
当時勤務していた横浜市は開港記念日の6月1日がお休み。
「平日休みを利用して、どこか学校見学に行けたらな」と考えていたタイミングで、たまたま彼がFacebookに授業の見学者を募っている投稿を見かけたのです。
「これは呼ばれているに違いない。」という直感が働き、すぐに連絡して見学をさせてもらうことに。
久しぶりに再開したことがきっかけで、今でも2週に1度のペースでミーティングをする仲になったのですが、そんな彼から求人の紹介があったのが転職サイトやエージェントでの転職活動に疲れ始めていた11月。
たまたま代表の方と知り合いだったようで、「絶対に合うだろうと思って。」と教えてくれたのが始まりでした。
「何をするか」はもちろん、それ以上に「誰と働くか」も大切にしたいと思い始めていた当時の自分にとって、転職先の方々の人となりが分かるというのはすごく安心材料になりました。
今振り返ると、イベントやコミュニティに積極的に参加し繋がりを広げていたこと、そして「転職を考えていること」や「国際連盟認定のコーチング資格を取得しようとしていること」について、きちんと発信を通して旗を立てていたからこそ、この偶然が生まれたのだと思います。
「偶然」を引き寄せるために
「そんな偶然なんて私にはやってこない」と思われているかもしれません。
たしかに、ここまでの話はサンプル数1のただの物語に過ぎません。
ですが、私がこの記事を書いたきっかけは、「ライフピボット」の考え方をインストールしてアクションを続ければ、今は見えていないような素敵なキャリアの選択肢が目の前に広がるはずだということを伝えたいと思ったからです。
書籍の中でも触れられている「計画的偶発性理論」では、「キャリアのターニングポイントの8割は偶然の出来事が影響する」と言われていますし、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式スピーチで言ったことで有名な「connecting the dots」も、「今の選択や判断が正しいかどうかはわからないが、振り返ったときだけ点と点がつながっていることがわかる」という意味だとされます。
このように、将来のことなんてわからないけれど、とりあえず動いてみることで偶然が引き寄せられたり、振り返った時に点と点が繋がったりするのだと思います。だからこそ未来の自分に向けて、ぜひ、6つのアクションを意識して動いてみることやハニカムマップを作ってみることからおすすめしたいです。
ピボット転職のすゝめ
人生100年時代、死ぬまでその仕事を続けますか?
教員だった私は公務員という特性上、基本的には定年まで仕事を続けられる状況でした。しかし、「転職」という言葉が頭をよぎる度に、上記の問いが自分を襲ってきました。
もちろん、すべての人に転職をしましょうと言うつもりはありません。
ただ、ここまで読んでくださった皆さんの中には、以前の自分と同じようにこれからの自分のキャリアに漠然とした不安を持っている方がいらっしゃるかもしれません。
そんな方々が、少しでも一歩を踏み出してみようと思ってもらえたら、これ以上嬉しいことはありません。
やらない理由はたくさんあると思います。
私も「公務員だから副業は禁止されているし…」と、何度も自分の可能性を狭めていました。
しかし、大学時代のスタバでのバイト経験から、どうしてもコーヒーへの思いが高まり、知り合いが間借りしていたカフェで月一程度のボランティアをさせてもらっていた過去もあります。
結果的にキャリアのピボットをしないとしても、そういった経験や得られたものがいつか繋がるかもしれません。
そう信じながら、私は引き続き「ライフピボット」を意識してこれからの人生・キャリアを歩んでいきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
著者の黒田さんのnoteはこちら。
「はじめに」が全文公開されていますので、気になった方はぜひご覧ください!