就職活動オンライン化の功罪
2020年年始に端を期した新型コロナウィルスの影響により,人々の生活様式が変化した.大学生の就職活動もその1つで,以前まで対面で行っていた説明会や選考が続々とオンラインになり,早期選考で就職先が決まっている人以外はオンラインで説明会・選考を受けることで就職先を決めることを余儀なくされた.私もそのような1人で,就職活動時に感じていたことなど踏まえ,学生側からオンライン化について考えてみたいと思う.これから就職活動を始める方に参考になればと思うのと同時に,何か感じることがあればコメントしていただければ幸いである.
論点としてメリット・デメリットの観点で見ていきたいと思う.
メリット
1.時間の制約がなくなる
インターネットのまとめ記事などに,は後述する3のメリットがよく書かれることが多いと思うが,私はむしろこちらの方が大きいのではないかと考える.時間の制約とは,本来であれば企業に出向いて1時間の説明会や30分の面接を受けることになるが,オンライン化することにより,各会社の説明会や選考を1日の中ではしごすることが可能になる.私自身20社以上受けていたので,3月初めの頃は本格化したらどうしても受けられない企業があると想定していた.しかしコロナウィルスが流行し,オンライン化になったことにより,各企業の選考はほぼ全て受けることができた.これは学生側からしたらかなりのメリットではないだろうか.職業選択の自由が保障された日本において,「自らの受けたい企業を受ける」,これが達成できるのは素晴らしいと思う.加えてスケジュールの管理も容易になり,かなり負担は少ない.
2.身体的負担の少なさ
説明会や面接に出向くということがなくなれば,言ってしまえば朝起きて身嗜みを整えて,パソコンを起動したら就活ができるということである.となるとここに移動というものがなくなるので,移動に伴う疲れが大きく軽減できる.私もインターンシップが多く入っていた時は1ヶ月の間に2回とか大阪ー東京を往復したり,ちょっとしたインターンシップを受けるために大阪市内に行くなど疲れることは多かった.
3.交通費の費用負担がほぼなくなる
一番インターネットで取り上げられるのはこの点ではないだろうか.地方学生にとって東京への飛行機代・新幹線代は馬鹿にならない.交通費を支給してもらえる企業はあるが,支給しない企業も多いと聞く.そのような交通費の負担に起因して,受けたい選考を受けられない,交通費を節約するために高速バスのような身体的負担の大きい移動手段を選択する,1度に多くの企業を回るためにスケジュールを調整するなど負担が大きくなる.
4.企業のスタンスをみることができる
このコロナ禍の中企業側の働き方も大きく変わったはずである.基本在宅勤務なのか,出社させているのか様々なスタンスがあると思う.面接においても社員が会社にいるのかそれとも自宅から行っているのかで,大きく異なると私は考えている.社員が会社にいる場合,(確かに強制なのか好きで出社しているかどうかはわからないが)会社にいることが求められる会社なのだろうと推測される.これに関しては職務上必要であるのか(会社に行かなければできない仕事など),単に会社にいることを求められるのかは見極めが必要である.一方で自宅からの場合は,その会社は在宅でも仕事が可能であり,入社後も在宅等のフレキシブルな働き方ができると期待できる.
デメリット
1.お互い(学生・会社)の様子が分かりにくい,分かりにくいが故にお互い決定打に欠ける恐れがある
これが一番のデメリットであると考えられる.説明会や面接が全てオンラインであるため,学生にとっては会社や社員の雰囲気が掴みにくいところがある.逆に会社側からしても,学生の話す内容はわかるが,雰囲気などは把握しにくいところがあるのではないか.本来であれば,対面で説明会・面接を行うことでお互いに非言語情報を把握し,企業選び・学生選びができ,学生側からしたら,複数内定時の選択の要素になり得るはずである.私も最後の内定先の企業選びにおいては,非常に苦労した記憶がある.どの企業もオンラインで面接を行ったため,あまりにも雰囲気が分からず,決め手に欠けた.そのため人事の方に申し出をし,現場の社員の方と面談する機会を設けて頂き,最終的に1社に内定を決めることができた.
2.情報を得る手段が限られる
オンライン説明会ではこれが一番大きいのではないだろうか.合同説明会や企業の説明会では,終了後や休憩中に聞きたいことがあれば聞きに人事の方や現場の方に聞きに行くことができる.一方でオンライン説明会では映像を見るだけであったり,説明のライブ配信をみつつ,質問があればチャットを行うだけであったりすると思う.映像だけ見るであればもちろん質問することは不可能である.一方でチャットで質問を受け付ける説明会は良心的であると思われる一方で,チャットという非対面コミュニケーションツールであるがために逆に質問がしやすく,質問が乱発し,選ばれる確率が低くなる弊害がある.企業によってはオンラインで座談会等を設けているところもあり(自分は参加したことがないのでその点はよく分からない),企業側も情報発信について努力しているのだなと感じた.
また以前までであればOB・OG訪問ができたが,このコロナウィルス禍の中ではそれは難しく,私も基本メールもしくは親切な方であれば電話で行っていた.実際に会わない分,メリットで書いたような交通費などの金銭的負担や身体的負担は少なくなるものの,情報量が不足している感じは否めなかった.このような流れを受けて,今後はZoomなどのツールでのオンラインOB・OG訪問が主流になるのではないだろうか.
3.今までの就活の王道が使えなくなる
こちらに関しては不確かな情報で申し訳ないということだけは断っておく.というのは筆者自身あまりやったことがないことであるからだ.就活の王道というと,主に文系就活生にあるかと思うが,説明会などの質疑応答で積極的に質問を行ったり,終了後に質問を行ったりすることで,人事の方に覚えてもらうことや,座談会で積極的に質問を行い,社員の方に覚えてもらうこと,OBOG訪問を数多く行うことなどである.最後のOBOG訪問は知り合いがいれば電話やZoomなどで行えると思うが前2つは対面でないと厳しいものではないだろうか.学生側からもいかにその企業に覚えてもらうかということは大事であり,そのための場が説明会や座談会であったりする.それらがオンライン化することでなくなってしまうことが懸念される.今後はどうなるのか筆者自身も想像はつかない.
まとめ
以上のようなメリット・デメリットを挙げさせていただいた.私自身は本選考の最初の方はメリットの方が大きく感じられたが,終盤になるに従い,デメリットを強く感じるようになった.首都圏だけではなく地方学生なども含めたすべての学生にとってはオンライン化が望まれるのだと感じる.またデメリットの方を強く感じる学生に対しては従来通り対面で面接を行うなどのフレキシブルな対応が求められるのではないだろうか.
一方で企業側からすれば,オンライン化で学生が交通費や時間などを気にせず受験できることにより,就活の主流が学生課の掲示板からナビサイトに転換した時と同じようにより多くの学生を見なければならない弊害や対面での面接とオンラインでの面接の評価をいかに差をなくすかという点も考えなければならない点ではある.
このコロナ禍をきっかけに学生・企業共々今まで当たり前だった就職活動・採用活動に関して今一度何が大事なのか考え,行動して,両者ともに満足のいく就職活動・採用活動になれば良いのではないかと思う(ふわっとしたまとめ方で申し訳ない).
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