企業は"ラジオへのスポンサー"というマーケティング施策を机に上げるべき。
ラジオ業界は終わりに向かっているか?
ラジオ業界はどうやら終わりに向かっているらしい。広告・スポンサーはなかなかつかなくなってしまったと聞くし、投資家に「FUSSYは今はラジオ業界中心にサービスを使ってもらっています」というとウケが悪かった。ウケが悪いのは、本当にウケます。担当者がラジオを普段から聴いているか、で反応は全く違うものになることもおもしろいが…
確かに"ラジオ"自体が昔からあるもので、斜陽産業であるという見え方があるのかもしれない、いや実際売り上げも下がっているのだから斜陽産業なのかもしれない。しかし、ラジオ業界に関わり出して私の目にはこれからV字回復していく未来しか見えない。
その理由として2点ある。1点目は音声コンテンツ市場の高まりとマネタイズ手段の多様化だ。
そしてもう1つが今回のメインメッセージである「スポンサー、広告としてのコスパ良くないか」ということである。この記事では、「カラタチの最果てのセンセイ!」のスポンサーをした弊社が、いったいラジオのスポンサーとはどういうものなのか、何が起こったのかを数字も公開しながら、ラジオを注視せよと伝えていきたい。
願わくば、IT系を中心に多くの業界で"ラジオのスポンサーになる"ことがマーケティング施策の一つとしてテーブルに乗れば嬉しい。実際乗せるべきだとおもっているし、相談があれば最適なラジオを紹介したい、たぶんできる気がする。
まずは前座的に音声コンテンツ市場の高まりについて話していきたい。
理由①:音声コンテンツ市場の高まりによる"これから"のマネタイズ手段
音声コンテンツのリスナーはファンとして優良。
まず音声コンテンツがどんどん増えている。Podcastの広まり、Voicyやstand.fmなどの音声配信サービスの増加、懐かしいClubhouse(今はなんか違うサービスに変わっている様子。この前見てびっくりしました。)など音声コンテンツ自体が人気だ。Podcastの広がりはアメリカでしょ?と思われるかもしれないがそんなことはない。日本でも毎日Podcastの番組が生まれている。
一方、マネタイズやエコシステムの構築まではどこも"これから"の印象だ。音声コンテンツをどうビジネス価値に変えていくのか、は大きな課題である。しかし、これについても私はポジティブな見方をしている。
何が私をそんなにポジティブにさせるのかというと、ひとえにリスナーの熱が異常に高いからだ。体感的には、芸人Aがいた時に、Aのラジオを聴いているリスナーはファンの中でも熱心なファンと言えると感じている。加えて、属性としても"お客さん"というより"参加者"となっている。いわゆるファンマーケティングには欠かせない存在だ。(確固たる想いで動くリスナーたちをマーケティング手段として捉えることには抵抗があるが、あえてビジネス側として立つなら)
今の時代、ブランドもIPも優良なファンの存在なくして成長しないと言っても過言ではない。つまり、優秀なファンの存在価値は時代を追うごとに上がっている。結果的に、ラジオ業界がこれまで作り上げてきたファン群の価値も上がっている。
ラジオリスナーがYoutubeの視聴者やテレビの視聴者より数が少なくても、ファンの集団としての価値は高いと信じたい。信じている。
多様化するマネタイズの手段
ラジオがまだラジオだった頃と比べて、マネタイズの手段はデジタルのおかげでかなり広がった。グッズの販売、デジタルコンテンツの販売、メンバーシップ、ファンクラブ、イベントの実施など様々なマネタイズ手段で成功例が出ている。
確かにラジオ業界は数々あるエンタメの盛り上がりにより、相対的に衰退していたかもしれない。しかし、ラジオ業界もこのマネタイズ手段の多様化によってふたたび盛り上がるだろう。(地上波の制約はあるが…)
構図としては、これまではリスナーの熱をビジネス価値に変える手段が少なかった。しかし、その手段が増えた。リスナーの熱の総量が高まり続けていく中で、様々な手段を適切に取り込んでいけば、V字回復はそう遠くない未来に訪れる。
理由②:スポンサー効果の高さ
さて、いよいよ本題に入った。マネタイズ手段が多様化しているとはいえ、スポンサーやCMはラジオ業界の収益の大きな柱であるし、確かな価値を提供できる部分だ。実際に私たちは2024年の1月25日からTBS Podcastの"カラタチの最果てのセンセイ!"にスポンサーをさせていただいた。
実はこれも、リスナーにスポンサーすることをおすすめされたことがきっかけだった。リスナーの熱の高さがわかるエピソードかと思います。時にリスナーは優秀なセールスマンにもなりえる。本当に素晴らしい機会をありがとうございます。
前提として私たちがどんなサービスを提供しているかを簡単に書かせていただく。
▼サービスページ
https://www.fussy.fun/
▼企業向けページ
https://fussy-inc.com/loyalty-program
FUSSYでのスポンサー効果の公開
下記ツイートはスポンサー初日。「どんな事態になるのだろう、そっぽ向かれたらどうしよう、叩かれたらどうしよう」と不安で仕方なかった。結果的にこの日だけで90人近くがユーザーになってサービスを使ってくれ「ラジオやばい、最果てのセンセイやばい」とチームで喜んだ。
具体的なスポンサー金額はTBSラジオさんの範疇なので伏せますが、主な結果として、ユーザー獲得単価は約625円だった。だいたいXの広告と比較すると、4倍くらいのコストパフォーマンスの高さになった。その後もきちんと継続的に使っていただているユーザーの方が20%ほどである。これについては高いか低いか比較材料がないのでわかりづらいのだが十分高いと言っていいのではないだろうか。
もちろん、番組と連動した企画をサービス内で実施しているのでCPAも安くなるのかもしれない。というかそこがラジオにスポンサーを出す強みでもある。コーナーと連動することでより没入感のある広告を作ることができる。
ラジオ内での広告は認知率が以上に高い。飛ばせないものだし、コンテンツと調和が取れているのでストレスに感じないのも特徴だ。また、スポンサーすることによってリスナーから"仲間"として認定してもらえる。結果、サービスの利用や購買に繋がりやすい。広告出して嫌われずに受け入れてもらえるなんて広告の常識をひっくり返している。
最初は「なんかよくわからないし、自分が必要なのかもわからないけど、スポンサーしてくれた企業だから応援するし商品も見てみる」人が多い。だがそれでいい。というかそれを獲得するために企業はどれだけ大変か…マーケティングを担当している人ならお分かりいただけるだろう…
実際、概算ベースだと番組を聴いているラジオリスナーの10%から20%がコンバージョンしてくれたイメージだ。例えば5000人のリスナーなら500人から1000人くらいが実際にサービスを使ったり、商品を購入してくれる計算になる。これはもちろん商品やサービスによる。
が、通常広告を出してクリック率が数%、そこからのコンバージョン平均が1%ほどであることを考えればめちゃめちゃいい数字なのではないだろうか。
また、波及してX上のインプレッション効果も非常に高い。なぜならラジオはだいたいX上でハッシュタグを用いて感想などを呟く。だからSNSでアクティブなリスナーが多く彼らが積極的にシェアしてくれる。上記のツイートも、当時リリースして2ヶ月足らずの雑魚サービスが7.5万のインプレッションを獲得した。
ラジオの熱量を一部借りているような感覚があって、その借り物を本物にできるかはサービスや商品次第となる。
金属バットの社会の窓で起きていること
金属バットの社会の窓のリスナーにはファンアートを書いてもらえた。これも広告の波及効果として考えていいだろう。(まじでありがとうございます!)
ちなみに「金属バットの社会の窓」ではヘアケアブラシのタングルティーザーさんがスポンサーについた時には70万以上のインプレッションが起こり、Xのタイムラインでは「購入しました」報告が相次いだ。弊社の社員も自分用と犬用にタングルティーザーを購入していた。
どんな企業がスポンサーするのにオススメか。
基本的にラジオリスナーにはさまざまな人がいる。番組ごとにリスナーの属性が違うのでターゲットをしっかり選定すれば良い。強いていうならtoB企業よりもtoC企業の方が効果は出やすいでしょう….と思ったが最近は社長などの意思決定者も効率的な情報収集の方法としてラジオやPodcastを活用しているのでそうとも言えないか…?
特におすすめしたいのは、ラジオリスナーの熱量の高さをうまく活かせる商品カテゴリの企業たちだ。いわゆるロイヤリティやエンゲージメントが大事な商品だとより効果が見込めるのではないかと仮説を持っている。
つまり、耐久財(自動車、家電製品、家具)、高関与サービス(旅行、金融サービス(保険、投資)、教育)、消費財(化粧品、高級食材、ブランド衣料)、テクノロジー製品(スマートフォン、パソコン、ソフトウェア)、健康およびウェルネス製品(栄養補助食品、フィットネスプログラム、医療サービス)、ホスピタリティおよびレジャー(ホテル、レストラン、エンターテイメント施設)、ITサービスやアプリなどが適当なのではないだろうか。
※中には地上波ラジオで考査的にNGのものもあるかもしれません。
ラジオ業界のことを知らないと、ラジオのスポンサーをすることは効果測定不能、効果も曖昧だと感じていた人も多いかもしれない。だが、間違いなくお勧めできるマーケティング手段であり、ブランディングの手段だと感じている。これを読んだ方はぜひ検討してみていただけると嬉しいです。FUSSYでもマーケティング予算をもう少し潤沢に集めることができたらまた実施したいと思っている。
FUSSYがスポンサーに対してできること
曲がりなりにも、ラジオ業界のDX化やビジネス価値の向上をさせてもらっている身としてFUSSYでは、番組のスポンサーをした時によりビジネス価値を番組がスポンサーに対して提供できる手段を提供していきたいと思っている。
例えば、弊社のFUSSYで「スポンサーしてくれたXXのクイズに回答してクーポンを手に入れよう」のようなクエストを出してより購買に繋げるような動きをしていきたい。
リスナーも楽しい、番組も健全に続く、スポンサーには効果絶大。そんなような状況を目指していきたい。
ラジオにスポンサーしたいよという方、FUSSYが気になるよという方はご気軽にXでご連絡ください。https://x.com/yooya1939