兄貴が見舞いに来てくれた

30年近く顧問をして頂いていた税理士さんが、お見舞いに来られた。

親族でないと面会できないと言うので、兄だと記帳してきた。と飄々と言われる。
弟と書かないところが、なんとも。

この税理士さん、若い時に輸血によってC型肝炎に罹患されて、それ以来ずっと闘病生活を送って来られた。
そのことは、ご本人から聞いて知っていた。

肝炎というのは、辛いらしい。
体の倦怠感が強く、40度近くの熱が出ている状態を思い起こせばいいと言われた。そして、なおかつ実際は発熱していないのだと。

そりゃ、何もやる気なんか起きるとは思えない。しかし、聞いた私は、ああそうなんですかで終わってた。

なぜなら、いつお会いしても元気一杯。
飛ぶように歩き回られておられたし、見た目だけじゃく、何か質問して即答できないときは、すぐ調べて一両日中には、ソースと共に見解をFaxで送ってくださっていた。

とても病気で苦しんでいるという雰囲気ではなかった。
私だったら、嫌だ嫌だ動きたくない!
と愚痴を撒き散らし、寝ている。

そのことを言うと、そんな萎れた姿をして、仕事はできんし、大体お客さんがついて来ないわい!と言われた。

そんな彼にインターフェロンの新薬ができ、半分くらいの確率でC型肝炎に効果があると言うので、その治療を受けられた。

そして、完治された。
その時の状態は、20年間の風がスッキリ治ったと同じ感じだと表現された。

よかったなと思った。
でも、20年間肝炎だったのだから、肝臓がんになる可能性が高いんだと言われた。

そして、去年、肝臓癌になったと言われた。
しかし、私は、またああそうですか、だった。

なぜ?
元気一杯、気力充実、マイナス思考無し、全てプラス思考。
病気を想像できない。

その方が、見舞いに来てくだされた。
ひと当たり、状況の説明を聞いた後言われた。

「お前、覚悟はついたか」
「この手の話は大丈夫か」
と真新しい本を差し出された。

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