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不動産を持っている者が、住所・氏名等が変わった時は登記しなければ、過料に処せられる

所有者不明土地の解消策として、不動産登記法等の改正が行われた。

今回は、不動産の所有者の、住所・氏名等の変更があったときの話。

不動産の所有者は、住所・氏名等の変更があったときは、その変更があった日から、2年以内にその旨の変更登記をしなければならない。

これを怠ると、5万円以下の過料に処せられる。

ここで気をつけなければならないのは、これから住所等を変更する人だけでなく、すでに住所等を変更してしまっている人にも、この規定が適用されることだ。

不動産登記法
第七十六条の五 所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から二年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。

まあ、なんてことない既定だと思う人もいるかもしれない。
しかし、これが大きな問題になっているのです。
実に、所有者不明土地の約3分の1が、この住所等の変更をしていないことに起因しているのです。

成人に達してからずっと同じところに住んでいる人にはピンと来ないかもしれないが、転勤を繰り返すような人にとっては、転勤するたびに、変更登記をするという人は、稀だと思う。

面倒だし、費用もかかる。
それに、例えば単身赴任で転勤しても、いつか住宅の地元に帰ってくるつもりなら、わざわざ変更登記などしないでおこうという気持ちもわかる。

余談だが、これに似たようなことが、海外に行った人に起こる。外国の人と結婚したりして、海外に住むようになると、住所をその海外の地にする。
ところが、その地で住所を変えたときに、そのことを本国である日本に通知しない。
通知しなければならないとも思っていないかもしれない。
そうすると、どうなるかというと、いざ相続とかになると、連絡が取れない。そもそも、戸籍制度がない国の方が多い。
生きているのかどうかもわからない。
お手上げ状態になって、相続や売買ができないということになる。
まあ、財産管理人等を選任してやるという方法はあるのだが、それこそ費用と時間がかかる。

そこで、今回の法改正で、住所等の変更については、義務化したわけだ。

それと同時に、登記しやすいように、登録免許税は課さないこととした。そう、今までは、住所等の変更登記をするには、不動産1個につき、1000円かかっていたのだ。


外国に居住する所有者は、国内連絡先も登記事項することになった。

上に書いた通り、外国に住むと連絡が取れなくなるケースが多発していたので、この規定が設けられたのだ。

外国の居住するものだから、外国人はもちろん、日本人でも海外の住むものは、これに該当する。

登記事項となるのだから、必ず登記するときに、記載しないと登記は却下される。つまり登記できない。
具体的には、国内の連絡先となるものの、住所・氏名を登記することになる。

個人でも法人でもいい。
もちろん、司法書士に連絡先になってもらうよう頼んでもいい。(ちゃんと連絡が取れるようにしておいてね)

とここまでが、登記の義務化の話。
今回の改正では、所有者不明土地等の問題が発生しないように、他の施策も盛り込まれた。

それが職権登記。
法務局が、住基情報から住所・氏名のほか、生年月日等の「検索情報」を検索キーとして、定期的に住基ネットに照会して、所有者の住所等の変更の有無を確認する。

変更があった場合、本人に住所等の変更登記をするか、確認をして「了解」を得たときは、登記官が職権で、変更登記をすることができ、この職権登記がなされると、登記義務は履行されたとみなされる、ことになった。

なぜ、「了解」が必要かというと、D V等で住所等を明らかにしたくない場合があるからだ。

この問題がない、法人の場合は、了解なしで職権で変更登記されることになる。

じゃあ、職権で登記されるのだ、放っておいてもいいじゃないと思ってはいけない。これは、あくまでも、登記官が職権で登記できるという規定で、個人の登記義務は存在するので、ちゃんと自分で変更登記申請はしなければならない。

今回の法改正は、施行日が異なっている(決まっていないものもある)ので注意。

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