アベル78
はくちょう座の方向約5,000光年の位置にあるこの星雲の名前は、Abell 78という惑星状星雲。
惑星状星雲だが、ちょっと変わっている。
惑星状星雲は、赤色巨星化した恒星の大気が、徐々に恒星から離れて広がっていき、遠くから見ると惑星に見えるような姿になるというものだ。
この星雲は、中心の星から、取り囲んでいるリング状のチリ(イオン化して輝いている)までの間の空間にガスとかがない。
はて、これはどうしたことか。
こうなるメカニズムは、次のようなものだろうと考えられている。
まず、惑星状星雲になる。
この惑星状に広がったガスは、中心の恒星から強力な紫外線を受け、電離しイオン状態になる。
このイオンは、本来徐々にこの恒星から遠ざかるのだが、一定の条件下では、中心の白色矮星の表面に重力によって引き戻される。
こうして、白色矮星の表面に降り積もった水素が、一定量になると猛烈な核融合反応を起こし、表面や白色矮星近傍のガスを吹き飛ばす。
この吹き飛ばされた高速のガスが、以前赤色巨星段階で、白色矮星から徐々に離れていっていた恒星の大気に追いつき、これを一気に吹き飛ばす。
そこで、中心の白色矮星とこの高速のガスが到達している場所との間には、何もない空間ができることになる。
なおかつ、この高速のガスと衝突しているところでは、ガスが電離して発光するようになっている。
と、まあ、こんな感じのようです。
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