madoka / seven faces (1998)
(またしても)情報が非常に乏しいアーティスト、madokaによるデビューアルバム。元々「カナリアン・ウィード」という女性2人組の片割れだったらしく、こちらは実質ソロデビューのアルバムにあたるようだ。
内容は余り統一感がないのだが、その背景を考えると、やはり98年という時代性だろうかと思わされる。安室奈美恵を筆頭とする小室一派が幅を利かせる中で、宇多田ヒカルMISIA、DOUBLE等が続々とデビューしてR&Bブームの萌芽が見え始め、更に椎名林檎のような新しい文学的なロックも盛り上がる。女性ミュージシャンは大きなトレンド変化に呑まれつつ、群雄割拠である。そんな中で、安室的なボーカルスタイルに、ジャジーな要素を含むサウンド、メロディーはロック的、とアイデンティティがブレまくり三分割されたのがこのmadokaである。
しかし全編に亘ってホーン・セクションが程よく配されており、単なるガールポップでは終わらない、ややゴージャスでオブスキュアな印象を残している。日本経済のバブルはとうに終わっているが、まだ音楽業界はギリギリ潤っていた時代。その最末期の輝きとも言えるだろう。因みに、そのアレンジを担うのは向井寛なる人物であるが、ちょっと探しても殆ど情報がない。
madokaはその後、ポケモンの主題歌やNHK「みんなのうた」等に採用されており、地味ながらも順調なキャリアを歩んでいるが、2010年代後半からは消息不明である。
①Emotion
②病は恋から
③本気ならもっと悲しい
④きついKiss
⑤Pure
⑥milesの風
⑦好きだよ
(日本クラウン / CRCP-20193)
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