
手術後のリアル 「痛み止め、あります(使えるとは言ってない)」
手術後は絶対に痛い。そんなの、わかってた。
だから、事前に先生に確認しておいた。
「痛み止めって、ちゃんともらえますよね?」
先生の答えは、めちゃくちゃ頼もしかった。
「もちろん! 痛みは我慢する必要ないから、どんどん言ってね」
よし、これで安心。
痛かったら、遠慮なく痛み止めをもらえばいい。
──の、はずだった。
ところがどっこい、術後の私は血圧がめちゃくちゃ低かった。
その結果、まさかの
「痛み止め、使えません」
え?????
「血圧が低すぎるので、投与できません」
嘘でしょ。あの先生の『どんどん言ってね』は何だったの!?
痛み止め、あるのに使えない。
詰んだ。
さらに熱も出てきて、全身ぐったり。
それでも先生たちには、「翌日からしゃべれてるし、元気なほうですね」と言われる。
元気なほうでこれか……。
そしてもうひとつ、大問題が発生。
眠れない。
もともと寝つきが悪いタイプなのに、ICUでは 2時間ごとに血圧測定&瞳孔チェック。
夜中でもライトを当てられる。
ようやく眠れたと思ったら、すぐ次の検査で起こされる。
たまらず言った。
「せめて眠剤を……」
返ってきた答えは、
「脈が弱いので飲めません」
痛み止めもダメ、眠剤もダメ。
詰んだ。(2回目)
「じゃあ、せめて食事を!」 と普通食にトライするも、まったく食欲がない。
「食べなくてもいけるっしょ!」と甘く見ていたら、
お腹が空きすぎて気持ち悪くなる という地獄が待っていた。
頑張って食べても、胃が受け付けず、車酔い・船酔いのような感覚。
頭は痛いし、お腹はムカムカするし、腕は点滴だらけで自由に動けない。
たまらずお願いする。
「せめてお粥を……」
結果、3口食べるのが限界。
ウトウト寝ても目が覚める。
時計を見る。
「え、5分しか経ってない……?」
時間が進まない。
「ううー、痛いー」 声に出してしまう自分に驚きつつ、
体中が痛くて、しんどくて、どうしようもない。
頭ではわかっていた。
手術後は誰だって痛い。
みんな耐えている。
それなのに、自分はこんなことにも耐えられないのか。
情けなくて、悔しくて、泣きたくなる。
そんなとき、そばにいた看護師さんが言った。
「十分頑張っていますよ」
……本当に?
でも、その一言に少しだけ救われた気がした。
「私、頑張れてるのかな」
痛みは相変わらず続いている。
でも、「耐えられない自分」から、「耐えている自分」へ。
ほんの少しだけ、気持ちが変わった。
とはいえ、しんどいものはしんどい。
──普通の生活に戻れるのか?
そして、退院後の生活は──?
次回、「一般病棟に移動! でも楽になるわけじゃなかった」。