K-POPを調べてみた① 〜歴史と発展〜



1. はじめに

本レポートはK-POPに関する自己学習のために作成しました。
K-POPの成り立ちや背景を知ることで、コンテンツビジネスに活かせるエッセンスを発見するために調査・作成しています。間違っている点があった場合、ご指摘いただけると大変嬉しいです。
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2. 歴史と成り立ち

K-POPのはじまり(1980〜1990年代)

1980年代の韓国の音楽文化は、音楽業界や放送局が絶対的な権威であり、音楽が一般市民に対してトップダウンの形で提供される傾向がありました。
日本でいうところの「紅白」への出場が最高のステータスであり、テレビ局、広告代理店、レコード会社など業界全体がその目標に向けて協力して動いていた、という構図が韓国でも見られました。

そんな業界の中で、K-POPの原型は1980年代後半から1990年代にかけて形成されました。日本のジャニーズなどのアイドル文化、アメリカン・ポップ、そしてヒップホップやラップの影響を受けながら独自の進化を遂げました。

しかし、その業界構造は2000年代から急速に変わってきました。
その大きな要因は、1997年に起きたアジア通貨危機とMP3ファイルの登場の影響をダイレクトに受けてオフラインの音楽市場が崩壊状態になり、CDが売れなくなってしまいました。
その結果、国内市場ではなく、海外市場に集中して活路を見出したことで、今の成功につながっています。

K-POPの誕生は、グローバルな音楽トレンドと地域の文化を融合させた革新的なアプローチの成功例といえます。日本はこの時期からグローバルに目を向けなかったことのツケが回ってきているように思われます。

日本と協力で拡張する(1998年頃〜)

SMエンターテインメントは、Boaをホリプロと協力し育成したり、日本法人をエイベックスと吉本の合弁会社で立ち上げるなど、日本の音楽産業との協力でこの時代を駆け抜けました。Boaや東方神起などのアーティストが、この協力関係から生まれました。
また、BoAをK-POPではなく、あくまでJ-POPとして売り出していた、と考える人もいるようです。あくまで韓国出身の方が日本でJ-POP的なアーティスト活動をしていたという説。
難しい点ですが、現代までのK-POP史において重要な役割を果たしたことは間違いないので、引き続き調べたいと思っています。

国際的なパートナーシップを通じて市場を拡大する戦略は、K-POPの成功の鍵となりました。特に、日本という大きな市場へのアプローチ方法は、他の文化産業にも応用可能な貴重な事例です。

3. 音楽だけでない韓流ブーム

第一次韓流ブーム(2003年頃〜2010年頃)から第四次韓流ブーム(2019年頃〜)まで、K-POPは音楽だけでなく、ドラマ、ファッション、美容など多岐にわたる分野で影響力を拡大してきました。
K-POPは単なる音楽ジャンルを超えて、総合的な文化輸出産業へと発展しました。この多角的なアプローチは、ブランド価値の向上と市場の多様化に大きく貢献し、持続可能なビジネスモデルの構築に成功しています。

第一次韓流ブーム(2003〜2010年頃)

2003年に放送されたドラマ「冬のソナタ」が大ヒットして始まりました。 2005年には「宮廷女官チャングムの誓い」がNHK総合で放送され、これまで中年女性がメインであった視聴者層が中年男性にも広がっていきました。
ネクソンが運営するゲーム「メイプルストーリー」が流行ったのもこの時期です。
また、1996年ごろから中国で韓国の音楽やドラマ「愛が何だって」が流行し始めていたという話もあります。このときから日本よりも先に「韓流」という言葉も使われだしたようです。
最初からグローバルマーケットを意識していたことがよくわかります。

第二次韓流ブーム(2010〜2012年頃)

2010年頃からの韓流ブームは音楽(K-POP)がメインです。 特に韓国人アイドルが人気を博し、2011年度の紅白歌合戦(NHK総合)に東方神起、少女時代、KARAが出場しました。
2012年には、SPY「江南スタイル」も大きなブームとなりました。

姿を消した??期間(2010年代半ば)

2012年、李明博大統領が竹島に上陸したことで日韓関係が悪化し、マスメディアではしばらくの間、K-POPを含む韓流が影を潜めました。
実際、東方神起や少女時代が2011年に紅白歌合戦に出場してからTWICEが出場する2017年までの間、他のメディアでもK-POPの存在感は薄れていきました。
しかし、『NIKKEI STYLE』によると、2013年には東方神起が89万人を動員し2位に、2014年にはBIGBANGが92万人を動員して3位に、2015年には2PMが45万人で11位、そして2016年にはBIGBANGが185万人で1位を獲得するなど、K-POPは次第に日韓関係の枠を超えた存在として復活していきました。

第三次韓流ブーム(2017年頃〜)

近年の韓流ブームも引き続き、BTS、TWICEなどのK-POPが人気ですが、ファッション、美容・メイク、食に関しても韓流ブームが生じています。比較的10代から20代の若者でブームが起こっていました。

第四次韓流ブーム(2019年頃〜)

2019年代に実施された、吉本興業、TBSテレビ、CJ ENMによる日本の公開オーディション番組である『PRODUCE 101 JAPAN』(プロデュース ワンオーワン ジャパン)は、韓国版を本家とした日本版です。
サバ番とも呼ばれており、現在のK-POPにおけるタレント発掘の有力な選択肢であり、強いコンテンツとなっています。

2020年頃には、美容・コスメやドラマ産業が急激に成長します。
この頃に公開された「梨泰院クラス」や「愛の不時着」は、2003年の「冬のソナタ」に次ぐ、日本での大ヒットドラマになったのではないでしょうか。

これらの成長はコロナによる巣ごもり需要とされています。
ご興味ある方は調べてみてください。

時を同じくして、日テレでも放送された、グローバルオーディション「虹プロジェクト」から誕生した9人組ガールズグループ「NiziU(ニジュー)」も大ヒットしました。
「虹プロジェクト」は、TWICEや2PMなどを輩出しているJYPエンターテインメントの創業者であるJ.Y.Parkことパク・ジニョン氏が総指揮を務め、ソニーミュージックと共同で企画したオーディション番組です。

4. 世代別アーティストの解説

第1世代(1996年〜2004年)

男性アーティスト
ソテジワアイドゥル、H.O.T.、Sechs Kies(ジェクスキス)、神話、godなど

女性アーティスト
S.E.S.(エスイーエス)、Fin.K.L、Baby V.O.X、BoAなど

第1世代 主要アーティスト

韓国でソロ歌手やバンドが人気を集めていた時代に、アイドルの原型を作った伝説的グループ”ソテジワアイドゥル”の解散後、ボーイズグループH.O.T.(エイチオーティー)がSMエンターテイメントからデビューしたことをきっかけに第1世代が始まったとされています。
後に4大事務所となる、YGエンターテインメントを創設したのは、ソテジワアイドゥルのメンバーだったヤン・ヒョンソクで、グループ解散後に音楽プロデューサーへと転向しています。

第2世代(2005年〜2013年)

男性アーティスト
東方神起、BIGBANG、SUPER JUNIOR、SHINee、2PM など

女性アーティスト
少女時代、KARA、2NE1、Wonder Girls、SISTAR、Apink など

第2世代 主要アーティスト

SM、YG、JYPという三大事務所の台頭と、東方神起(SM)、少女時代(SM)、BIGBANG(YG)、2PM(JYP)などのレジェンドグループの誕生が特徴です。
この時期から日本での活動も増えてきてテレビでもよく見かけるようになりました。

第3世代(2013年〜2018年)

男性アーティスト
EXO、GOT7、WINNER、BTS、SEVENTEEN、NCTなど

女性アーティスト
MAMAMOO、Red Velvet、GFRIEND、OH MY GIRL、TWICE、BLACKPINKなど

第3世代 主要アーティスト

第3世代の始まりはEXO(エクソ)の「Growl」が大ヒットした2013年頃だとされています。
韓中同時デビューをしたEXOを筆頭に多国籍なメンバー構成であることで海外での活動もスムーズに行えるようになり、メンバーの出身国でも関心が高まりことが世界的なファンダム形成の要因となりました。

YouTubeを含むSNSの普及により、デジタルメディアを活用することで、海外のファンもリアルタイムでさまざまなコンテンツを楽しめるようになりました。この頃からアジアだけでなく世界規模でコンテンツの勢いが強くなっていきます。
EXOだけでなく、BTS(ビーティーエス)は早くからTwitterなどのSNSを積極的に活用し、韓国国内だけでなく海外のファンも獲得していきました。

世界最大のファンダムを持つBLACKPINK(ブラックピンク)も、音源だけでなくYouTubeのMVなどを通して欧米での人気を獲得していました。

第3世代はサバイバルオーディション番組から誕生したグループも大きな人気を集めました。TWICE(トゥワイス)も2015年にJYPが主催したサバイバルオーディション番組「SIXTEEN」から誕生したグループです。
とくに2016年以降の「プロデュース101シリーズ」の成功により、成長型アイドルの流行が始まったのもこの頃です。

第4世代(2019年〜)

男性アーティスト
TOMORROW X TOGETHER、ENHYPEN、Stray Kids、TREASURE、ATEEZ など

女性アーティスト
(G)I-DLE、ITZY、aespa、IVE、LE SSERAFIM、NewJeansなど

第4世代 主要アーティスト

第4世代のK-POPシーンでは、従来の三大事務所に加え、BTSを世に送り出したHYBEが台頭し、4大芸能事務所の時代が幕を開けました。JYPが手がけるITZYやHYBEが育成したTOMORROW X TOGETHERなど、第3世代の後継として登場した新グループたちは、デビュー以前から注目を集めています。

また、メンバー自身が作詞・作曲やプロデュースを担当する自主制作型アイドルの評価も高まっています。例えば、Stray Kidsはグループ内にプロデュースチームを持ち、(G)I-DLEではリーダーのソヨンが天才プロデューサーとして知られ、それぞれ楽曲制作で名を馳せています。

2018年に登場したATEEZは、中小事務所出身ながら、韓国よりも先にアメリカで人気を博したユニークな例です。第4世代でも、サバイバルオーディション番組は依然として人気を博しており、ENHYPEN、Stray Kids、TREASUREなどもこうした番組から誕生しました。

2022年は特にガールズグループの躍進が顕著でした。「ガールズグループ戦国時代」と称されるほど、個性豊かな新人ガールズグループが続々とデビューしました。IVE、Kep1er、LE SSERAFIM、NewJeansなどは、デビューから1ヶ月も経たずに地上波音楽番組で1位を獲得し、第4世代ガールズグループの黄金期を象徴しています。

第5世代(最新動向)

女性アーティスト
ILLIT、BABYMONSTER など

第5世代 主要アーティスト

そして、2024年のK-POP界に、二つの新たなガールズグループが強烈な印象を残してデビューを果たしました。
まず注目を集めたのは、BTSを輩出したHYBEレーベルから3月25日にデビューしたILLIT(アイリット)です。5人組の多国籍グループであるILLITは、HYBE主催のサバイバル番組『R U Next?』から誕生し、韓国人メンバー3人と日本人メンバー2人という構成が特徴的です。

ILLITのデビュー曲「Magnetic」は、国際的な音楽市場で驚異的な成功を収めました。米ビルボードの「グローバル200」で63位、「グローバル(米国を除く)」で33位にランクインする快挙を達成。さらに注目すべきは、Spotifyでの記録です。「Magnetic」はデビュー当日に「デイリートップソンググローバル」にチャートインし、最高14位を記録しました。これはK-POPガールズグループのデビュー曲として歴代最高順位という輝かしい成果となりました。

一方、4月1日には、BLACKPINKの後継者として期待を集めるBABYMONSTER(ベイビーモンスター)は、7人メンバーで1stミニアルバムをリリースしてデビューを果たしました。
韓国人3人、日本人2人、タイ人2人という多様な国籍構成は、YGエンターテインメントのグローバル戦略を象徴しています。

BABYMONSTERのタイトル曲「SHEESH」は、YouTube視聴数で1位を獲得するなど、デビュー直後から高い人気を示しています。さらに驚くべきは、デジタルデビューからわずか半年ほどで、日本での大規模なファンミーティングの開催を発表したことです。『BABYMONSTER PRESENTS : SEE YOU THERE』と題されたこのイベントは、5月11日と12日の2日間、東京の有明アリーナで行われる予定です。デビュー間もないグループがこのような大規模な会場でイベントを開催することは異例であり、BABYMONSTERへの期待の大きさを如実に物語っています。


参考文献など

BTSがアメリカでブレイクした理由とは? 「K-POP 新感覚のメディア」著者、金成玟さんが語る
K-POPの源流をたどったら、韓国の民主化運動に行き着いた
K-popを語るなら「日韓合作」から始まった歴史を踏まえないと浅薄。もてはやすだけだと学ぶこともできないよ。
【授業配信】K-POPを研究するために 〜BTSはなぜ人気なのか?〜
wikipedia:SMエンタテインメント
wikipedia:PRODUCE_101_JAPAN
Peak of Korean Boom in Japan
NiziU(ニジュー) メンバー&グループ情報を総まとめ!
K-POP世代別解説
第5世代K-POPアイドルの台頭


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