劇団四季『ゴースト&レディ』にのめり込んだ話⑧

引き続き、好き勝手に感想を語り散らかしております。

さて、ジョン・ホール氏が抜き打ちの視察に訪れます。
抜き打ちの視察、というか、追い返せといったはずの女性看護団がまだ帰っておらず、それどころか軍人たちと仲良くやっているという話を聞いて、
自ら追い返しに来た、というところ。

ジョン・ホール役は野中万寿夫さんと瀧山久志さん。
もうどちらもほんっっっとに個性的で素晴らしくて。
私基本的に映画なり漫画なり、勧善懲悪には素直に従ってキャラクターを好きになるタイプなので、悪役はあまり好きにならなくて。
原作のジョンホも全然好きではなかったんですが、
このミュージカル版のジョンホは大好き。
拝見した回数としては万寿夫さんが圧倒的に多く、なかなか瀧山さんには巡り会えない日々だったのですが、
万寿夫さんは『ノートルダムの鐘』でも一番拝見したフロローだったので、原作を読んでいる時からもう万寿夫さんで想像できるくらい。悪役なおじさまが似合いすぎる。
瀧山さんは結構前にジーニーで拝見したきりだったので、あんまり悪い人なイメージがつかず…という感じでした。

お2人それぞれを拝見して、
万寿夫さんは一生懸命這い上がるために色々やってくるうちに、だんだんとそれが世間からは悪とされる方向に進んでしまっていた、というイメージ。
これしか道がなかった、というのは結局は言い訳でしかないけれど、でもどこか哀れで、もっと早くフローと出会っていればこんな風にならないで済んだのではないか、フローに救ってあげて欲しかった、とさえ思うようなジョン・ホール。
瀧山さんは、淡々としてとても冷徹な印象で、眉ひとつ動かさず、まるで小さなホコリを指で弾くかの如く酷いことをするような、本物の悪を感じました。
例えば、急患と聞いてすぐ駆けつけたいフローを制止して歌う♪これが戦争なのだ の歌詞で、
「不景気の煽りで仕事のない連中 志願してる 続々と
 彼らの代わりはいくらでもいる もういい 口出すな」という歌詞。
瀧山さんのジョンホだと、言葉通り、本当に心から人を駒としか思っていないような感じ。
万寿夫さんのジョンホは、この状況下でひとりひとりに情をもって全員を助けるなんて無理なんだ、切り捨てるしかないんだ、という、そうでないとやっていけないような過去の葛藤があるような。
もちろん私の勝手な想像ですが。

SNSの皆さまのレポを見ていると、
私とは逆で万寿夫さんのジョンホの方が冷徹だと感じている人もいるようで、観た時期によってお二人とも少しずつ変えられているのか、見る人によって受け取り方が違うのか、とても興味深く面白いですね。

それから、それぞれの好きポイント。
万寿夫さんは「ワガママは許されない」の歌詞のワガママの部分で両手を少し脇横でバタバタさせるのですが、私はこれを勝手にクリオネダンスと名付けておりまして、万寿夫さんの中のわがままのイメージ、表現めちゃくちゃかわいいな、と萌えポイント。
あとこれは勝手な想像ですが、俳優さん個人の年齢やその他個人的な条件を役に当てはめ過ぎてはいけないとは思いますが、
万寿夫さんは実年齢も少し上なこともあってか、フローの行動をおじょーちゃん、子どものわがまま〜な感じで捉えているのかなとも感じます。
瀧山さんは対等な大人として「気に食わんヤツ」として見ている感じがあるけど、万寿夫さんはハナから「正義感に燃えたガキがなんか気まぐれにちょっかい出しに来た」のを、大人の世界はそんな甘っちょろくないんだと制しているような。いつもながらの勝手な個人的推測です。

瀧山さんは、指パッチンやティーカップをスプーンで叩いたり、もはや命令を言葉にすら出さずにする性格の悪さ。
特にティーカップカンカン鳴らすのを初めて見た時は衝撃でしたね。え、こわ、性格悪!って。
なんてこの記事をちょうど編集している頃に、まさかのティーカップ割る事件が起きたらしく死ぬほど爆笑しました。うん、それなりにしっかり叩いてる結構いい音で響いてたもんね笑笑
それと瀧山さんはとにかくブレス少なく一息で歌い切るフレーズが長い!
最後も「これが戦争なーのーだーー」からグレイに刺されて「うぁあーー」まで一息。
そしてコテーンと倒れるのが妙にギャグテイスト。
どうか変なふうに頭打たないでね…と余計な心配をしてしまうこのシーン。

一方、ジョン・ホールがひとりでソロを歌い上げている間、後ろの部下たちも割と面白いことをしているのもポイントで。
ジョンホさんがイスに座ると高く足を組んで人を足置きにするんですが(ここも性悪)、
恐らくもっと下っ端の部下の仕事なんでしょうが、周りに誰もいない、でしょうがなく多分秘書的ポジのフィッツジェラルドくんが足置きに。
直後、ティーカップを回収に来た部下(絶対フィッツより下)がものすごーーーく悪い笑みをフィッツに向けて去るんですが、この「ざまぁww」な笑顔がまたすごい笑
コチラも初めてこの演出を見た時、「え、なんか見ちゃいけないもの見た…」と衝撃でした。
根に持ったフィッツ、その後でイスを片付ける時にさっき笑ってた部下くんにちょっとした仕返しをしてるのも細かい。君たち人のソロ中に面白いことして遊ぶのやめなさい?

この曲2分ほどしかないのに、面白ポイント多すぎですね。
目が足りない、濃厚すぎる一曲です。

ということで、1記事ジョンホさんで語り尽くしてしまったところで今回はこの辺で。
次に続きます。

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