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モジュール型からインテグラル型への進化:自転車市場の変化とメーカーの事業戦略の妄想
僕は単純に自転車が好きなオジサンですが、頭の体操的に業界全体を見渡して今後のことを妄想するのが好きです。
ここ数年で起こりうることを妄想してみました。
こんなことがおこりそう↓
・Canyonがオリジナルホイールを展開する。
・ALL中華ブランド機材によるUCIワールドチームのツール参戦
・ピナレロとプリンストンカーボン資本提携(あるいはM&A)
・カンパニーロ社への中華資本投下
・SRAMがフレームメーカーを買収
妄想の背景(考察)
コンポーネントブランド・ホイールブランド・フレームメーカーのそれぞれの独立性
かつての自転車市場は、パーツの選択がPCの自作に似た自由度を持っており、コンポーネントブランドとホイールブランド、あるいはフレームメーカーそれぞれが独立して存在していました。ユーザーはフレーム、ホイール、コンポーネントを自由に選び、好みに合わせたカスタマイズを楽しむことができたのです。
例えば、シマノやカンパニョーロ(カンパ)は、独自のハブ、リム、完成ホイールを提供しており、それぞれが得意分野を活かした製品展開をしていました。シマノは精密さと技術の高さ、カンパは独自性と高級感で、それぞれに競争優位性を確立。ユーザーはシマノ、カンパ、さらにはホイール専業メーカーを組み合わせ、個々の特徴を生かしたバイクを組む楽しみがありました。つまりはPC同様にモジュール型ですね。
過去のカンパニョーロの戦略的展開
カンパニョーロは、シマノや他社コンポーネントにも対応するホイールを展開することで、ホイールブランドとしての独立性を確立しつつ、多様な市場ニーズに対応する戦略を打ち出しました。この戦略により、同社はシマノやSRAMといった他社コンポーネントと組み合わせて利用されることが増え、ホイール単体でもブランド価値を高めることに成功しました。一方でギアセットとしての存在感が低下していますね。加えてホイールについてもディスクブレーキが主流になってきて存在感が段階的に低下している状況はあります。
柔軟な対応、あるいは生存戦略として実施したことが、カンパのホイールブランドとしての地位を確立するだけでなく、ホイール業界における独自のポジションを築く要因となりました。ユーザーはカンパのホイールが持つ独特の滑らかな回転感や耐久性、そして高いデザイン性を魅力に感じ、多くのライダーに愛用されています。しかし本丸の存在感定価を招いたという言い方なのか、ホイールブランドとして確立したことが生存維持につながっているのか、どちらともとれそう。
空力の重要性とフレームメーカーの影響力
現代の自転車市場において、空力性能はバイクパフォーマンスの重要な要素となっており、フレーム、ハンドル、ホイール、タイヤなどすべてのパーツが統合的に設計されることで、空気抵抗を最小化するアプローチが求められています。この流れの中で、フレームメーカーは、自社ブランドの純正ホイールを開発することで空力を最大限に引き出す取り組みを進め、各社のホイール一体化のトレンドが強まっています。
この統合的な設計により、各フレームブランドは独自の空力性能を活かした「一体型パッケージ」を提供できるようになり、ユーザーにも統一感ある走行性能が提供されています。特にエアロロードバイク分野では、フレームとホイール、さらにはハンドルバーやシートポストまで一体化され、トータルでの空力最適化が図られています。つまりはインテグラル型へシフトしているという感じですね。PCでいえばAppleのMACのような状態ですよね。
市場の変化と事例:SRAMとMAVIC
市場の変化に対応するため、各ブランドは異なる戦略を選択しているようにみえます。SRAMはホイールブランドのZippを買収し、シマノとの競争に対応しようとしています。サイクルコンピューターについても同様に取り込んでいる。これにより、SRAMはコンポーネント全体でのパフォーマンス向上を図り、ユーザーに一貫した高品質の走行体験を提供していますね。
一方で、MAVICは過去にコンポーネント市場に参入を試みましたが、ホイールブランドとしての独自性を保ちつつも単独での競争力を失い、結果的にその試みは失敗に終わりました。これは、ホイールブランドがコンポーネント全般に進出する際のリスクを示す例となりました。MAVICのように、ホイールに特化したブランドが新たな分野へ進出する際には、既存の市場競争力を保つための独自性をどこまで維持できるかが成否の分かれ目となります。
DTスイスと中華ブランドの台頭
DTスイスのようなホイール専業ブランドは、特定領域(特にハブの品質)に特化することで、OEM供給によっても競争力を維持しています。DTスイスのハブは信頼性と滑らかさで高い評価を受けており、他社の完成車に採用されることが多く、ホイール専業ブランドとしての強みを活かしています。
一方、中華ブランドの進化は著しく、コストパフォーマンスと品質を重視する市場で大きな存在感を示しています。品質や価格の両立を追求することで、エントリーレベルからミドルグレード市場まで支持を集め、特に価格に敏感なユーザー層には選ばれる選択肢となりつつあります。
今後の展開と予測
統合と専門化の二極化
フレームメーカーによる統合的なシステム提供と、専門ブランドによる高品質部品の供給という二極化が進むと私は良そうしています。特に、空力性能の最適化がさらに重要視され、フレームとホイールの一体化が進む傾向にあります。
これにより、フレームメーカーは一貫した空力性能を持つ完成車を提供しやすくなりますが、同時に専門ホイールブランドが持つ空力最適化の技術にも限界が出てきます。フレームメーカーによる統合デザインの重要性が増し、単独製品としてのホイールの価値も次第に二極化していくでしょう。
Enveのケース
Amer Sports がPV3という投資企業へEnve売却しましたね。純粋にコンポーネントブランドとしての事業スケールに限界があるからだと思われます。ちなみにAmer Sportsは国企業のAnta Sportsが株の過半数をもっているという意味では資本ベースでは中華系でありますね。Enveは素晴らしいホイールを展開しながらも、単独での事業成長の限界があるのでしょう。良いものが無限に成長するとは限りませんね。結局市場規模が小さいということですね。多くの自転車関連メーカーが非上場企業であるという現実。シマノが例外的。
話がそれましたがPV3は投資企業ながらEnveのもっているカルチャーを維持する方針(それが最も価値が高いと判断したのでしょう)なので安心でsが、はやり事業スケールには限界がありそう。一方でフレームへの展開に力をいれているようにみえますね。空力や軽量化のニーズに対応し、ホイール以外の製品展開にも挑戦することで、総合ブランドとしての地位を確立する戦略をとっている可能性があります。つまりは統合化の流れに対応した打ち手ですね。応援したいです。
技術革新の要素:軽量化、剛性、カーボン成型技術
空力以外にも、軽量化や剛性の向上といった技術革新が進んでいます。カーボン成型のノウハウや研究開発力は競争力の要となり、これがフレーム、ホイール、ハンドルなどの分野に共通しているため、技術転用の幅が広がっています。こうした共通技術によって、ブランドの一体化が進む可能性が高く、さらなる統合が進むでしょう。ここの点でEnveにはわんちゃんありそう。MAVICはここにチャレンジする資本が存在しないという違いがありそう。
電動化による技術ハードルの低下
コンポーネントの電動化は技術的ハードルを下げ、大手フレームメーカーがハイエンド領域において自社の電動コンポーネントを展開する可能性が高まっています。これは、電動化によってシステムの一貫性を高め、ライダーの使用感を統一することができるためです。かつて空力の文脈でリムブレーキなどフレーム専用に展開したメーカー(TREK等)もありましたね。
以上が考察となります。その結果として妄想したのが以下の通りです。(あらためて)
・Canyonがオリジナルホイールを展開する。
・ALL中華ブランド機材によるUCIワールドチームのツール参戦
・ピナレロとプリンストンカーボン資本提携(あるいはM&A)
・カンパニーロ社への中華資本投下
・SRAMがフレームメーカーを買収
あたるかな?(笑)
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