僕の"Threads”(スレッズ)の捉え方- Web3とか分散型SNSとかに絡めて
普段はクラウド/Salesforce業界中心にITや経営コンサルティングのお仕事をしています。
Meta社の"Threads"(スレッズ)が盛り上がってます。
テーマに対して、わいわい会話し、まだ自分でも消化しきれてないことを、小難しいまま持論として述べて居酒屋で盛り上がるノリが好きなので思いつきで筆をとりました。
(居酒屋ノリの持論しか書きませんので間違ってるとか気持ち悪いとかメッセージ送らないでくださいね)
Threads(スレッズ)について
"Threads"(スレッズ)はMeta社が7/6にリリースしたばかりの
Twitterに似たテキスト型SNSサービスです。
開始7時間で、1000万人の登録者だったそうです。
かくいう佐伯も昨日7/6の午後に登録して1571万番台でした。
Threadsは、MAU10億以上を誇るInstagramのアカウントを使ってSign Upする形になっています。
Instaを普段から使ってる人にとっては、Sign Upというよりは新機能にアクセスする感覚でログインした感じではないでしょうか。
こんな反応を見かけました。
あなたは当てはまりますか?
"Threads"の捉え方が浅いかもしれません。
(煽ってないです。それが悪い訳ではないので・・・)
せっかく興味持って、"とりあえずはじめてみた"までいったなら、何か一つでも、一歩でも多く踏み込んで意見を持ち帰れた方が有意義ですよね。
と、「何事も浅く広く、とはいえなるべく深く」を心がけている僕は普段からよく思うので、一段上の"にわか"目指して一緒に考えてみましょう。
公式ブログからも読み取れる狙いや呼吸、コンセプトのようなものがあります。
公式のブログによる説明
冒頭のテイクアウェイだけを翻訳したのがこちら
MAU10億超えるInstagramのチームが敢えて独立した形で作った新しいアプリです。Twitter等既存のSNSとの"機能的な違い"はシンプルにあげられています。
が、同時に
"未来を形作る可能性"への挑戦である、と書かれています。
既存のパブリックSNSと使い分けどうするとか、UI機能的なところを比較する、という捉え方だと
現時点では、大手がつくった集客力の強い、2番煎じの劣化品、という評価になるかもしれません。
Threadsの新しさ(分散型SNSとの共存)
この辺から小難しくなっていきます。
先ほどの"未来を形作る可能性"が指す示すキーワードとして、
>オープンで相互運用可能なソーシャル ネットワーク
との互換性を作っていくことについて言及がありました。
かなり唐突でわかりにくいです。
現代のテクノロジーとユースケースの背景から捉えると、唐突感はなくなると思うので考えてみます。
Web3の潮流で考える
バズワードは個人的にはあまり口にするのが好きではないのですが
Web3と言われる
いわゆる"ネットにおける今の時代(フェーズ)"の一つの捉え方として
中央集権から分散(分権、個人や各コミュニティの尊重)という流れがあります。
プラットフォーマーによる支配や権限/利権の集中、全体最適の弊害、大きすぎる集合体でのコミュニケーションの問題、などへの力関係への課題感と是正のパワーが原動力です。
それを支えるのはP2Pそしてブロックチェーンのような基盤技術。
技術との相性もあって、社会との関係性課題を解決する
DAO、NFT、オンラインサロン、暗号通貨・・・
のようなユースケースが多く生み出されました。
既存のSNSの課題
SNSにおいてもその課題間は例外じゃありません。
プラットフォーマーに握られるプライバシーデータ、集合が大きく公共性が強すぎることによるコミュニケーションの弊害、発信/表現の不自由、などメディアとしての課題感の他、一般の個人にとっても課題があります。
例えば、
自分自身、仕事柄もありTwitter、Facebookをメインに、他にも細々といくつかのSNSを使っていますが
自分の興味や関心のあるテーマは常に変わらなくても、
Twitterにしか住んでいない人、Facebookにしか住んでいない人がいて、
より多くの人と日常的に有意義に繋がるには、それぞれのSNSに入りこんでいく必要があります。
そして、今回のThreads同様、
新しいSNSに入ったら、例えばTwitterで構築したソーシャルグラフ(関係性や繋がり方、相関図のイメージ)、Facebookで構築したソーシャルグラフはゼロリセットです。
APIで投稿を連携して複数の場所で同じ情報を配信したり、
元いたSNSで告知して新しいSNSでも旧友と繋がる努力をしたり、
ということにチャレンジしますが、
言い表し難いビミョウさがありました。
(仕事目的のモチベーションであれば徹底してやりますが、自分ごとをあっちでもこっちでもやるとか、同じ人に2回同じ情報を喋ってしまう心地悪さってありますよね)
他にもあると思いますが、中央集権の良い部分もありつつも、構造上の課題感はある訳です。
分散型SNSの登場
さて、対局側に位置する
"分散型SNS"、という概念やサービスをご存知でしょうか?
仕事柄、基盤技術側に触れることが多い方や
ITサービスを手掛ける、または使うことに感度の高い方が周りは多いのですが、それでも実際にやってます、という人はまだまだ少ない印象です。
数年前からマストドン(Mastodon)のサーバー立ててるよ、
という友人や、BlueSkyの招待コードあるよ、
という人は既に触れてますね。
これらの分散型SNSは、技術的には色んな形がありますが
プラットフォーマーがサーバーやデータを集中管理するのではなく、
自分でサーバーやデータが管理できる、
とか、
他のSNSに簡単に移動できるポータビリティがある、
とか、
従来のSNSにおいて存在する中央集権ゆえの課題感を解決することを狙い
、コンセプトにした仕組みで構築/運用されています。
ざっくりというと、
"共通的な作り、仕組み"で動く別々のSNSサービスを相互接続するような形、で実現されています。
あの人も分散型SNS
前述のマストドンは、複数の独立した運営社によるサーバー(インスタンス)で構成された分散型SNSです。
ちなみに、日本でもニュースを賑わせましたが
ガーシー氏が関与し作られたSNS"GC2(ガーシーツー)"も著名なマストドンサーバの一つです。
instances.socialによるランキングでは現時点で世界13位のマストドンサーバですね。
Threadsは他SNSと共存する
マストドンをはじめ、分散型のSNSは、
共通的な仕組み/ルール(プロトコルと呼ぶ)に沿って構築されていることによって相互接続性を持ち機能しています。
Threadsはこうした相互接続性を持つサービスと同様のプロトコルに対応し、互換性のあるSNSとして発展していくと冒頭のblogでも紹介されています。
ここがThreads最大の特徴です。
中央集権SNSのトップランカーが、
今後ますます分散し立ち上がり、盛り上がっていくであろうコミュニティとも互換性を持つ新しいSNSを作った。
ということになります。
故に、現時点で、分散型SNSにニーズを持っているネット民の方以外からすると、この特徴は刺さりづらく、冒頭に書いたような反応になるのも自然なことだと思います。
機能的にも、後発的な新しくて画期的なSNS機能がまだある訳じゃありませんので、この互換性による新しい世界観や価値が広がっていくまでの間は
・新しさによるフレッシュなユーザと投稿
・インフルエンサーによる新しい実験
・炎上やネガティブコンテンツの少なさ
などが魅力となって一定の定着民を獲得していくのではと思っています。
実際、公式blogに「Tune Out the Noise」というコンセプトワードが記載されていました。
一部を抜粋し翻訳したのがこちらで、この方向性や機能はタイムラインのネガティブな空気感を軽減する上で力になりそうです。
何に注目し、楽しんでいくべきか
個人的には2つの意識で追いかけようと思います。
1.分散型のSNSやコミュニティを楽しんでみる
いわゆるSNSに限らず、各種ブログサービスでもいいですし、オンラインサロン、勉強会のプラットフォーム参加でもいいと思います。
中央集権でマス的なものの便利さや影響力などの良さはありつつ、
より濃くて小さくて自由な集まり、をオンラインで実現しているようなサービスの居心地の良さをまだ体験していないとしたら、
いくつか試してみて自分に合うものがあれば楽しんでみる。
サービスは多様化していっていますので
サービスの参加者は、複数のサービスを利用することになります。
論理的なベン図では交わっているのに、プラットフォーマーが自分のサービスの参加者を抱えこんでしまってサービス上物理的には分断されてきました。
参加者目線では、概念的に繋がってるものは、繋がってる方が便利な訳で、
サービス間が共存した方がより参加しやすく盛り上がりやすい、
としたら
おそらくいくつもの既存サービスがプロトコルへの対応によって、
相互接続による互換性を担保し始める流れが来るかもしれません。
少なくともThreadsをThreadsとして楽しむよりは、Threadsが接続していく他のサービスを利用している方が、その価値(あるのかないのか含めて)体感しやすいはずです。
2.相互接続のプロトコル、技術的な動向(ActivityPub、AT Protocol)
今回のThreadsの発表では、インターネット関連の技術標準化などを行っている団体のW3Cが規定したプロトコルである"ActivityPub"への互換対応をしていく方針が明らかになりました。
このプロトコルは、前述のMastodonの他、WordPressが対応している他、
Tumblrなど他プラットフォームも将来的に対応していく予定が共有されているとのことです。
また、先程Mastodonと並べて例示した分散型SNSのBluesky(現在は招待コードがないと参加できません)は、"AT Protocol"(アットプロトコル)を用いているとのことです。
AT Protocolの技術的な解説や、ActivityPub等との比較について以下の記事など参考にしました。
Blueskyは元々Twitter創業者のジャック・ドーシーがはじめた分散型オープンプロトコルの開発プロジェクトで、そのプロトコルを実装してつくったSNSサービス自体がBlueskyと呼ばれているようです。
AT Protocolも、複数のプロトコル、技術で構成されているのでまったくもって、捉えきれてないにわかですが、参考にさせていただいた記事を共有します。
いずれも大枠としては同じカテゴリの技術ですが、
ブラウザが複数あるように、それぞれ異なるアプローチが採用されて、それが結果的にアプリケーションやサービスの体験に影響を与えています。
技術畑の人は特にこのあたりを着目するとThreadsの動向についても興味を持ち続ける材料になるのではないでしょうか?
おわりに
勢いに任せて書いていたら5000文字超えてました。
締切の切られた原稿が2つ以上積み上がっている中だとなぜか関係ないテーマで筆が進みます・・・。
仕事に戻ります。
最後に・・・
よろしければ、Threadsで繋がってください!!
https://www.threads.net/@yonyon_saeki