会社が天引きした税金を納付してなくて俺に督促状が来た話(7)
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「いやだって俺カネないもん」
さすがの一言だ。
役所という役所を回って対策を確認し、弁護士を尋ねては必要な書類を用意して督促書類を準備して、その上で最後の最後、会社との"対話"の場で出てきたワードがコレである。
大丈夫、想定内だ。
常人ならばその場で、脳内の血管という血管がブチギレ、ハラワタは煮えくり返り、口から泡を吹き出して卒倒くらいするかもしれないが、私はこの会社とこの相手とだいぶ長いことやり取りをしてきたのだ。
この場ですらこういうことを正直に言い出すのが、この会社の社風だ。
うん、そう。そうよね、あなたはそういうことを言うのよね。
知ってる。だから私、別れたんだもの。
いよいよもって、ダメな亭主に引導を渡す奥様の気持ちだが、案外境遇は同じようなものなのかもしれない。
この人におそらく、悪意はない。悪意があったらもう少しうまいことやってるだろう。役所から通知が来て、即バレするような方法は取らないだろうし、未払が露見した途端に、うろたえるようなこともないだろう。
以前のnoteにも書いたが、決して、悪意はないのだ。
なので、責めてはいけない。責めた所で解決しないからである。
それは魚に空を飛べと言ってみたり、鳥に人語を話せというに等しい。
何故、会社が税金を正しく支払うことを、生物学的に不可能な例と同様に扱わねばならないかは分からないが。
さらに言うと、この「だってそんなカネないもん」という主張。
これが嘘偽りない事実であるのだろう、ことも私は知っている。
退職を決めた段階で、旧弊社の経営状況は決して良くはなかったようだ。
「ようだ」というのは、今日現在に至るまで結局のところ会社の経営状態はどうなっていて、何を収入源として、どういう経費が発生し、どういう黒字なり赤字が出ていたのか?は誰にも分からないからである。
ただ、「会社の経営状態なり、財政がヤバそうであった」ことは、間違いがないと思われるので、以下にその一端をお話しよう。
当時の会社の経営状態
改めて当時の、旧弊社についてお伝えをしておくと、規模の非常に小さな会社であり、IT系の新進気鋭テックベンチャーを名乗っていた。
社員数は私を含めても10名に満たないくらいで、ITベンチャーのあるあるなのか、人の出入りも割と激しい企業であった。
当時の私の仕事としては、運転資金を稼ぐべく、自社開発から業務委託、請負開発からSESに至るまで、さまざまな案件に出かけてはお金を稼ぎ、それと並行して、会社を応援してくれる投資家やらに向けてのプレゼンやらピッチやら資料制作などを行っていた。
そんな、ある日のこと、衝撃的な連絡が社内を飛び交うのだった。
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