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「オレンジと憧憬」(切れはし小説shortscrap)
眩しくて目を細めたら世界は虹色だった。
フレアかかった世界はやけに美しくて、空はオレンジ色に霞んでいて、今日という日の終わりが近づいているのを感じさせた。
僕らは下校途中の受験生で、後輩たちの部活の声を背中に聞きながら、お互いの勉強の進み具合や進路の話をしていた。
小林さやかは少し駆け出して、みんなそれでいいの?と言った。
私たちに残された時間はもうあと少しなのに、本当にこんなに勉強のことばかり話していて、いいの?
そして、僕らがあとにした校舎の方を指さした。
振り返るとそこには慣れ親しんだ学校が、いつもと同じ見たことのある景色が、オレンジ色に染まっていた。
試験の日は目前に迫っていたけれど、僕らが振り返った校舎はいつもとおんなじで、3年間見てきた景色で、それはそれは涙がでるくらいに美しかった。