絶賛炎上中の「ホームレスは不要」論
こんにちは。誠羽(せいば)です。リアルタイムで大炎上中のメンタリストDaiGo氏。YouTubeの配信での彼の発言が物議をかもし、ネットニュースにも取り上げられるほどにも話題になりました。そのように炎上した経緯と、何が問題だったのかを、「凡人」の目線で「個人の感想」を書いていこうと思います。
◆なぜ炎上した?
事の経緯については、この記事を読む前にみなさんが目にした通りですが、簡単におさらいします。以下はネットニュース記事の一部引用です。
DaiGo氏はライブ配信で、次のようにコメントしていた(要旨)。
「僕は生活保護の人たちにお金を払うために税金を納めてるんじゃない。生活保護の人に食わせる金があるんだったら猫を救ってほしい。生活保護の人が生きてても僕は別に得しないけどさ、猫は生きてれば得なんで」
「自分にとって必要のない命は、僕にとって軽い。だからホームレスの命はどうでもいい。言っちゃ悪いけど、どちらかというホームレスっていない方がよくない?正直。 邪魔だしさ、プラスになんないしさ、臭いしさ、治安悪くなるしさ、いない方がいいじゃん」
簡単にまとめれば、
「自分は生活保護の人に税金を払っていることに納得がいかない。見ず知らずの人間に自分の金を使うくらいなら、野良猫の保護とかに使ってくれ。そのほうが自分にとっては有益だ」
という主張です。本当に一部しか引用してないので、細かい内容やその後の展開については、上記のニュース記事や、YouTubeにある動画を確認してください(元の動画は削除済みのようです)
この発言が、差別を助長する、ヘイトクライムにつながる、としてネットの至るところで大炎上しているわけですが、DaiGo氏は「個人の感想」だと主張し、「ライブ配信や独自の動画コンテンツで莫大な収入を得ている自分は、他人よりも多く納税しているのでこのような権利がある」とも発言しています。
この一連の流れで、なぜバッシングされているのかを考えていくわけですが、この主張そのものの善悪はさておき、僕は「個人の感想」を大多数が目にするメディアで極端な伝え方をし、影響力がものすごくある人間が発信してしまったことに、炎上の原因があると考えています。
◆個人の感想と極端な伝え方
そもそも、DaiGo氏は過去の配信においても、極端な物言いをしていたことが何回かあります。その際も、ちらほらと批判的な意見が飛び交っていました。
DaiGo氏は、配信の中で「辛口」発言と「甘口」発言を使い分けて質問に答えたり意見を述べたりして、今回の件は「辛口」で答えていたようです。ここでの「辛口」とはつまり、極端な言葉を使って批判することです。
だから今回で言えば、「ホームレスの命はどうでもいい」、「そんな命よりも猫の命を救うべきだ」というような、聞いた人からすれば「は?」と聞き返してしまいたくなるような、怒りを掻き立てるようなコメントです。
このような"生活保護"というセンシティブな話題に対して切り込んだ時点で、無難に自分の感想を述べるべきだったと思います。
圧倒的に社会的立場が高いDaiGo氏が、社会的立場の弱い生活保護受給者の話をするのですから、一歩間違えれば富める者の一方的リンチになることは想像に難くないはずです。
ところが、DaiGo氏はむしろ弱者を自ら囲い込み、暴言という固い拳でボコボコに殴り倒してしまったのです。「個人の感想なんだからとやかく口を出すな」と言われても、端から見たらどう見ても一方的に暴力を振るわれている。これを見過ごす人のほうが少ないでしょう。
DaiGo氏は、自分を批判している人は、生活保護の人を助けるために何もしてないんだから黙っていろ、ということも言っていますが、これは論点がずれています。イジメをしていい権利を有しているかどうかや貧困層の救済は問題ではなく、イジメをしていることが火種となっているのですから。
たしかに、当事者でもないのにトラブルに首を突っ込まれるのは、いい気分ではありません。しかし、この一連の事件の問題はこれだけではないと僕は思います。
◆インフルエンサーが扇動する危険
YouTubeにもTwitterにもニコニコ動画にも、フォロワーや支持者が大量にいる彼は立派なインフルエンサーです。彼のコンテンツを追いかけていた僕は、彼の発言力はもはや一般大衆のそれとは桁違いだということを知っていました。
そんな人間が、個人の感想と称して、ある種の逆張り精神で社会上通念とはかけ離れた意見を発信したら、その影響は計り知れないことは自明です。禁句を声に出して、しかも残酷な言葉遣いで言うことの弊害、それは、インフルエンサーに影響を受けた人間が、同じような考えを、声を大にして言うようになることです。
個人の感想なのに、それを真似する受け手が悪い。そんな反論をされるかもしれません。でも、そのような悪影響も与えてしまうのがインフルエンサーです。その気になれば、多くの人を扇動出来る立場にある。心理学を専門にしているのであればなおさらです。
YouTubeは基本的に受動的なコンテンツであり、動画投稿者が言ったもん勝ちの世界です。そんな世界での発言を盲信するという層が残念ながらいます。この人のファンだから、この人は経歴がすごいから、この人は話し方が上手いから、と。
そのような残念な人に、穿った見方を植え付けてしまう危険性を、バッシングという形で警鐘を鳴らしている人もいます。
「生活保護受給者には何をしても許される」──そのような恐ろしい考えの人間が生まれてしまう可能性がゼロではなくなるのです。個人の感想が、集団の感想になり、集団の動機に繋がりかねない、そう思うのです。
◆最後に
DaiGo氏の主張は、命は自分視点で考えたら平等ではない、自分にとって大切な人の命のほうが、赤の他人よりも大切だ、というものです。
冒頭で、善か悪かは判断しかねると言いましたが、正しいか間違っているかということも判断しかねます。主張自体は理解できなくもないからです。そりゃそうです。誰だって、身内の命が大切ですから。
問題は、動物の命と同列にあるいはそれよりも下等なものとして生活困窮者のものを扱ってしまったこと、これに尽きると思います。
最初の章で述べたように、これは極端な物言いによる負の産物です。
僕は発言自体を批判したいのではなく、その発言を強固なものにしたいがために、モラルも品性もない、超「辛口」な言葉で味付けしたこと、そして、それを赤子から年寄りまで来るファミレスでその料理を提供したこと。この二点に物申したいわけです。
個人的に辛い料理を作ったり、食べたりするのは自由です。好きなだけスパイスを入れたらいいと思います。それを批判される筋合いもありません。
でも、誰もが利用するチェーン店で、しかも庶民層が利用するレストランで、それを提供したらだめです。嫌なら食べなければいい。そんな言い訳は料理を差し出したあとにすべきではないのです。