【学生インタビュー#5】中央大学から生理に悩む学生をなくすために
世の中理解塾の多田です。今回は世の中理解塾の濱野と一緒に、中央大学で生理用品設置プロジェクトを行う「CSP」の代表である法学部4年の市原蓮さんと、メンバーであり同じく法学部4年の遠藤晶さんに,インタビューを行いました。
「新しい当たり前を作る」という目標に向かって活動されているお二人にお話を聞いていきます。
生理用品を無料で利用できる環境を目指して
市原:活動としては、中央大学に生理用品を無料で設置するよう働きかけることと、よりよい設置を目指して学生の声を届けることです。最終的には中央大学の全てのキャンパスの女子トイレ・多目的トイレの個室に生理用品を設置することが目標です。生理用品設置の費用を予算に組み込む形で、継続的な設置をしてほしいと働きかけています。
中央大学から生理で悩む学生をなくしたい!という思いで活動しています。
市原:一昨年度はアンケート調査によって生理の悩みや需要について調べました。活動に対する意義等を詰め込んだ趣意書を作成し、結果的には500人ほどの人たちから賛同を得ることが出来ました。その名簿とともに要望書を中央大学の学長、SDGs担当の副学長、ダイバーシティーセンター所長の3名に提出したことが活動の第一段階と言えます。
そこから大学の方針としても進めてくことになりました。ダイバーシティーセンター中心で行い、今年度は生理用品設置の予算として100万がおりることが決まりました。
日本で「生理の貧困」をなくしたい
市原:CSPは私を含め三人で立ち上げました。立ち上げた2021年6月は生理の貧困が社会的に話題でした。「生理の貧困」というのは経済的、文化的な事情で生理用品にアクセスできないことを問題にする言葉です。私はテレビでフランスの事例を知りました。
フランスでは日本同様に公的な設置や軽減税率が適用されていなかったにも関わらず、市民運動・学生の声から国としての生理用品設置が進み、軽減税率も適用されたんですよ。
それを知って「なぜ日本で同じことが出来ないのだろうか」と疑問に思ったんです。同じような活動を日本でも広めたいと考えたのがきっかけですね。
遠藤:先ほど話にも出た、CSP立ち上げに関わった市原さん以外の二人がVoice UP Japan Chuoという学生団体に所属していたんです。私は元々その団体に所属していて、市原さんと同じゼミだったこともあり、すぐ一緒に活動し始めました。私自身、ジェンダー問題に関心があったんです。生理の貧困に苦しむ人をなくしたいという思いもありますし、どんな立場の人でも生きやすい社会を実現できればいいなと思って活動しています。
遠藤:Voice UP Japan Chuoはジェンダーやセクシュアリティに関する活動に興味がある学生が所属している団体です。学生にとって有益な情報をインスタグラムなどのSNSを中心に啓発活動などを行っています。
CSPとは昨年の白門祭(※中央大学の文化祭)で生理用品に関するトークセッションとそれぞれの団体の活動を紹介するイベントを行いました。世界の生理用品の展示もしましたね。
ジェンダー問題への関心と挑戦
市原:入学と同時にコロナ禍で大学に通えない期間が長かったので、新しいことを始めたくてもなかなかできない状況だったんです。私は高校の頃からジェンダーなどへの関心があって、自分の生理のことで悩んだりもしていました。だから大学でもっと勉強や活動してみたかったんですがコロナ禍で…。
そこで個人でSNS発信をしてみました。そこそこバズったり取材を受けたりしたのですが、狭い界隈でしか盛り上がらないんですよ。認知が広がる感じがしなくて。目的と手段が嚙み合っていないのかもしれないと感じていました。
市原:SNSでの発信に悩んでいた時期にCSPの活動、生理用品設置プロジェクトを始めることになったんです。既存の団体がなく、一緒にやってみようという先輩が二人いたので「よしやってみよう」と。やりたいと思った事に自分なりに模索し続けてきた結果、今のCSPの活動が続いている感じですね。
遠藤:高校時代は労働環境における女性差別の問題に興味がありました。ジェンダーなどにも広く関心があって。そこで自分の興味関心にあった活動をしている団体を探しているうちに、Voice UP Japan Chuoを知りました。
コロナ禍で何かを始めることに消極的になっていたんですけど、でもやりたい!という気持ちが強くあって。自分の活動が少しでも誰かにいい影響を与えるならば!と始める事にしました。
「新しい当たり前」を大学とともに
市原:やりがいに関してはもうこれ一つに限りますね。試験設置をした際に、実際に利用した友達から感謝されたんです。「困ったときに助かった」って。私たちの働きかけによって生まれたものでもあるので、そう言ってもらえたのが本当に嬉しくて。
あと、私はプレゼンするときによく「新しい当たり前をつくりたい」と話すんです。生理用品ってトイレットペーパーと同じで、トイレに用意されていなくてはいけないものだと思うんですね。なのに生理だけ、タブー意識や意思決定層の男女不平等などの影響で、自助努力で対処させられてきました。生理用品が用意してあるのが当たり前、自分で用意することは当たり前じゃないんだ!という認識に変えていきたいです!そう話すと「なるほど…!」という反応を示してくれる人がいるのでやりがいがあります。
遠藤:大変だったのはそもそも大学側がこのような活動をしていなくて、色々なところに相談したりして、言ってしまえばたらい回しにされたことですね。大学と一緒に動いていく、大学自体を自分たちで動かすことが難しいところだなと思います。
自分の興味関心に素直に行動した
市原:私は最終的に政治に関わりたいと考えているんです。自分の生きる世界を、CSPを通じて変えられたという経験がとても大きいんです。問題意識があれば行動することを大切にしてきた結果、少しずつ達成しつつあるのはいい経験になってます。自分の志に向かって開拓し続けるみたいな。
遠藤:自分がやりたいことなので、もちろん苦労はしますけど、辛いと感じることはなく続けてきてますね。自分の興味を突き詰めている感じなので。自分のやりたいことに素直になって行動することを学生団体で体現出来た気がしています。
生理用品設置が「普通」の未来
市原:個人的な目標だと、20代のうちに政治に関わりたいです。若い人も女性も少ないから、なら私がやるという気持ちで。政治家になるかどうかに関わらず、私は常識を狭めたくないんです。進学するにつれて、ある意味学力ごとの世界に振り分けられると、常識が狭くなる気がしています。色々な人で世界は構成されていることは絶対に忘れたくありません。
CSPに関して言うと、生理用品設置プロジェクトは3~4年かかるプロジェクトだと大学側から言われているので、引き継いでもらうことが団体としては必要だと思っています。10年経てば普通に設置されていると願いたいですね。
中央大学だけでなく公共施設などにも無料設置があるといいと思います。
遠藤:どういう人になりたい、具体的にこれをやりたいということはまだ分からないです。でも、自分の行動で何かを動かせたらいいかなと考えています。また、一緒に動ける仲間・同士のような存在を増やせたら嬉しいです。
生理用品設置プロジェクトに関しては、中央大学だけじゃなくて他の大学にも生理用品設置の活動が広まると嬉しいですね。
大学生という有意義な時間の使い方
市原:私はもう4年生なんですけど、大学生ってとても有利だなと思います。何でもできるし、許してもらえる。その期間を生かして自分の人生に価値あるような行動をしてほしいなと思います。
メッセージとして一番伝えたいのはCSPのこと、生理用品設置プロジェクトを応援してほしいということですね!
遠藤:CSPとしてはそれが一番のお願いです!
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