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【社会人インタビュー#15】落語家として活躍の場を広げるOBの“キャリア”

世の中理解塾の酒本です。今回は落語家として寄席やテレビ、ラジオ出演など様々な場所で活躍されている春風亭三朝さんにインタビューしました。
「目の前のお客さんを楽しませる。」という軸で活動されている春風亭三朝さんのお話を伺います。



落語家としてのお仕事

ー本日はよろしくお願いいたします。まず、春風亭三朝さんのお仕事について教えてください。

東京に4軒ある毎日やっている落語の劇場である寄席(よせ)を主な拠点として活動しながら、敬老会、地域のお祭り、お寺などの全国のイベントに出演しています。学校での講演も多くあり、小中高で授業の一貫である伝統芸能鑑賞教室などに出演し、生徒さんに落語の解説をしたり、体験で落語をやってもらったり、落語を聞いてもらったりしています。

今度の休日(インタビュー当時)も豪華客船で落語の講演をするんです。
他にも結婚式の司会を頼まれたり、テレビやラジオの番組に出演することもあります。

落語家として生きる

ー様々なところで活躍されているのですね。
ー一般の企業ではなく、今の落語家というお仕事を選ばれたきっかけはなんですか?

私も大学4年生のときに他の人と同じように就職活動をして一般企業の内定をもらっていました。しかし私はアルバイトをしたことがなく、会社で就業した時にどう働くのかという想像が出来ませんでした。学生の時には教育実習にも行ったのですが、一生続けるビジョンが見えませんでした。当時、教員採用の定員枠が少なく試験の難易度が高かったというのもあります。

大学で落語研究会に入っていて、他の芸能と違ってお客さんからダイレクトに反応がもらえるため落語家として働く面白さは分かっていたのもあり、一生の仕事にしたいと思ったんです。

大学を卒業して、実家(大分)に帰って両親に「落語家になります。」と報告しました。その後、親戚一同を約1カ月半かけて回って説得しました。

師匠である春風亭一朝に弟子入りするきっかけは寄席でよく師匠の落語を聞いていたからです。
弟子入りに行ったのは2002年5月23日で、寄席に行き、師匠の高座の後、出待ちをして弟子入りのお願いをしたところ「やめた方がいいよ。(当時は落語ブームの前で仕事もあまりなかった)それでも入りたければ電話をちょうだい。」と名刺を貰いました。
そして、「弟子にしてください。」と電話をして、正式に入門することが出来ました。

ー大学に入学した時から落語に興味があったんですか?

地元大分の高校を卒業した後、一年間寮に入って福岡の予備校に通っていたので、大学の受験の時は福岡から志望校のある東京まで飛行機で行っていました。機内では音楽を聴いていても良かったのですが、新しい曲が分からず、気分転換で落語を聞いていました。

東京に出てきてもテレビもなく携帯も電話をするだけだったので落語を聞いていました。サークルの勧誘で落語好き?と聞かれ生の寄席を見に行ったことで、落語に飲み込まれましたね。

直だから得れるもの

ー今のお仕事のやりがいと大変なことはなんですか?

やりがいは自分の喋りで目の前の人に楽しんでもらえることです。
テレビやラジオに出演してSNSとかで反応をもらうのも嬉しいのですが、寄席などで直に反応が返ってくるのは一番のやりがいになります。

自分が大好きでなった落語家なので、きついことや辛いことがあっても大変だとはあまり思ったことはなく、楽しく仕事をしています。しいて言えば、働き方が個人事業主として歩合制になっているので、自分で仕事をとってくる必要があることです。

以前は、今のようにSNSやインターネットなどが発達していなかったので、仕事は大体、落語家の仲間や寄席や自分の落語会に来てくれるお客様から直接仕事を頼まれるか、自分の足で色んなところを回ってに営業をしたり、飲み屋なのでお客さんと仲良くなって、仕事をもらったりする努力をしておりました。それでも、当初は仕事がない月もありました。ですが、落語家は先輩が後輩にご馳走する文化なので、仕事がなかったときもご飯だけはどうにかなっていました。

その時と比較したら今はインターネットやSNS経由でお仕事が来ることが多くなりましたね。

他にはステージに上がるまでにはもちろん稽古が必要ですし、ネタを作る必要もありますが、私は好きなので大変だとは思いません。

今も古典落語を月に一つは覚えるようにしていますが、これも好きなので大変ではないですね。

お客さんから貰うエネルギー

ー春風亭三朝さんの社会人として生きる上での軸や原動力を教えてください。

原動力はやはりお客さんの反応で、楽しんで貰えることがエネルギーになります。
仕事柄、他の人とは違っていろんな場所で仕事が出来るので、自分としても楽しんでいます。

落語を聞いたことのない人も多いかもしれませんが、初めて聞いた時に「面白かった」と言ってもらえるのはかなり嬉しいです。
落語をみんなに知ってもらいたいというのが根底にあるので、初めての人の前では「落語を知って次に繋げてもらいたい」と思っています。

落語界は、師匠の弟子になって落語家になれるシステムです。そのため基本的には師匠が面倒をみてくれます。ですから師匠や一門の不名誉にならないような言動を心がけています。

寄席に出続ける

ー10年後どうなっていたいか、キャリア像についてお聞かせください。

落語には、寄席にたくさん出ている人、全国を回っている人、たくさんテレビに出ている人がいますが私は寄席に出たいタイプです。

寄席は「落語協会」と「落語芸術協会」という2つの団体が10日ずつ、交代で出演しています。どちらの協会も協会員の人数が、寄席の出演者数より多いので、全員が寄席に出演できるわけではありません。寄席が出演してほしい芸人を協会に通達して、協会が寄席に芸人を派遣しているというシステムです。寄席は人気や実力のある人を指名しますので、自分自身の人気や実力が仕事量に直結します。
出る順番も実力順で、実力がある人がトリを任せられます。今は年に何度かトリを任されているので、今後もトリを務めたり、ずっと呼ばれ続けて寄席を支えられる人間でありたいと思っています。


やらないより色々なことに挑戦する

ー最後に中央大学生にメッセージをお願いします。

とにかくいろんなことをやってみるのがいいと思います。

その中で何か興味を持つことがあるはずです。

社会に出てからは人付き合いが重要です。私は人見知りで初対面やあまりよく知らない人に自分から積極的に話しかけるのが、とても苦手なのですが、なるべく自分から話しかけたり、コミュニケーションをとる努力をしています。自分が人見知りなのでわかりますが、人間は人から話しかけられたりアプローチされると、「この人は自分のことを嫌いじゃないんだな」と思い、嬉しいものです。ですので、自分から話しかければ相手は自分に良い感情を抱いてくれることが多いです。
ですから、なるべく自分から積極的に行動してみると良いと思います。あまり深く考えずノープランでも話しかければなんとなく話しは続きますし、そこから人間関係が広がることもあります。学生時代は苦手な人も含めて、いろいろな人への対処方法を学んでおくと良いですよ。

思い切ってやってみることがおすすめで、やらない方が良かったなという後悔は実は少ないです。

大学生は人生の夏休みだと思うので、いろいろなことに時間を使えると思います。コロナ禍では沢山の制限があり、なかなか思うように行動できなかったと学生さんも多いと思いますが、今まで出来なかったことややってなかったことに挑戦してみてください

ー本日はお忙しい中、ありがとうございました。落語家さんという普段はなかなかお話が聞くことが出来ない方から大変貴重なお話しを聞くことが出来ました。


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