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【社会人インタビュー#9】”ライフステージによってキャリア観は変化する”~大手保険会社から社員0名のベンチャーに転職した理由~

学生運営メンバーの椙杜です。社会人インタビューやキャリアに役立つコラム記事などを発信する「世の中理解塾note」。今回は、経済学部卒後に日本生命に入社し、その後ベンチャー企業への転職を経て、4月から三菱電機に転職されるOB、杉田裕翼さんにインタビューを行いました。

杉田裕翼さん
2015年   中央大学経済学部経済学科 卒業
同年     日本生命保険相互会社 入社
2019年   日本生命保険相互会社 退職
2020年 株式会社エーディーエーシー 入社
2023年3月    株式会社エーディーエーシー 退職予定
同年4月   三菱電機株式会社 入社予定

自己分析に基づいた就活と社会人生活

-この記事を読んでいる学生に自己紹介をお願いします。

杉田さん)2015年に経済学部経済学科を卒業した杉田と申します。新卒で日本生命保険相互株式会社に入社し4年間営業に従事した後、株式会社エーディーエーシーに転職しました。現在は自社の照明器具の営業や空間における照明のプランニングなどを行っています。

‐まず初めに杉田さんの就活時代についてお聞きしてもよろしいでしょうか。

杉田さん)はい。就活を本格的にスタートさせたのは3年生の12月でした。夏頃から金融業界のインターンに1社だけ参加したり自己分析をしたりと、徐々に動いてはいたのですが、説明会に参加し始めたりしたのは冬からですね。

‐金融業界を選ばれた理由は何ですか?

杉田さん)「自己成長できる」「”杉田だから”と商材ではなく自分自身が評価されお客様に選んでいただける環境」という就活の軸を当時持っていて、無形商材を取り扱う金融業界が適しているので選びました。メーカーだと「このプロダクトは便利だから買う」といった顧客の購買プロセスがあるのですが、金融業界は商材が無形かつどの企業でも商品性に大きな違いはないので「担当者の力」によって契約いただけるイメージがありました。本選考では、金融業界の銀行や保険を受けました。

‐そんな杉田さんが就活で特に力を入れたことはありますか?

杉田さん)圧倒的に「自己分析」ですね。就活ってポテンシャル採用で、つまり誰でもどこにでも行けるチャンスがあるんですよ。なので企業側は「この子はどんなポテンシャルがあるんだろう」「どんな人生を歩んできたんだろう」と気になるはず。ここで上手に自己アピールできるとかなり好印象を得られるのではないでしょうか。ちなみにある金融業界の会社は内定までに7次面接まであって「なんでこの小学校に入学したの?」などちょっとややこしい質問もされます笑

‐やはり就活では自己分析がベースになるということですね。

杉田さん)仰る通りです。大学生が自分をアピールできる点を探す方法は、自己分析しかないと僕は思っていますし、企業は学生の価値観などを聞いて自社に合うか否かを判断することが多いので。

‐日本生命でのやりがいや大変だった点を教えていただきたいです。

杉田さん)まあ全部大変でしたね笑 でも特に言うとしたら、ExcelやPowerPointで営業成績資料を上司に提出していた時ですね。当時、保険を実際に売る生保レディーの方々、380人の営業成績、11営業部の営業成績を管理する業務を担当していたのですが、前日の業績を朝8~9時の間に資料にまとめなくてはいけませんでした。1時間で営業部長に提出する資料を作ることを毎日やっていたので、胃が痛い思いでした。ただ、同時に自分が作った資料によって上から評価された時はとても嬉しくやりがいを感じましたね。「杉田の資料を用いて、営業部の指針を作ったよ」とか言われることが結構ありました。

-日本生命に入社された4年後に転職されたと思うのですが、転職を決意された理由は何ですか?

杉田さん)いくつか理由はあるのですが、「将来独立したい自分にとって新たな環境が必要だなと思った」ことと「お客さんから、日本生命という社名や”支部長”という地位で見られているという感覚があった」ということの2点が大きな理由ですね。特に後者に関しては、就活時代に「お客さんに”杉田だからこそ”商品を買ってもらえる」という軸を持っていたので、そうではない現状に非常にギャップを感じてしまいましたね。

-ありがとうございます。転職を決意された杉田さんですが、そこから”社員0人”のベンチャー企業を転職先に選ばれた理由は何ですか?

杉田さん)大手企業をメインに転職活動をしていた際に、「また大手に行っても、自分ではなく会社の看板を見られてしまうのでは?」と考えていたのですが、そんな中当時懇意にしてもらっていたお客様に転職理由や自分の想いを話したところ「うちに来ないか」と声をかけていただいたんです。社員がいなかったこともあり、自分の好きなように、ゼロから、自分の力で仕事ができると思ったので、転職先として選びました。

‐不安に思ったことはありましたか?大学生の私は、「業界最大手から社員0人の零細企業への転職って怖くないのかな」と思ってしまいます。

杉田さん)まさにですよ笑。不安でした。日本生命の上司からも止められました。「社員数7万人の会社から0人の会社に行くなんて大丈夫か?!」って。でも僕の中では、30歳になるまで3年しかない現状を考えた時に、「今挑戦しなければ機会をつかみ損ねる。行ってみないとわからない。挑戦したい!」という気持ちが不安に勝ちましたね。加えて、失敗しても30歳からやり直すこともできるし、と保険もある意味でかけていました。とにかく「今しかない」という気持ちが自分を後押ししました。

‐人生を長い目で見た時に、「今しかない。挑戦すべきだ」と思われたということですね。

杉田さん)仰る通りです。

ライフステージによって「キャリアへの価値観」は変わる

-そんな大きな挑戦をされた杉田さんですが、再び転職することを決意したのはなぜでしょうか。

杉田さん)元々3年ほど働いたら(30代に突入したら)、新たな道を探そうというのは1度目の転職をした際に考えてしました。また「ここで学べるものは学びつくしたな」という想いもありましたね。顧客の選定から営業まで全て自分1人でやっていましたし。独立して自ら会社を経営するのか、同じようなベンチャー企業に行くのか、はたまた大企業に行くのか、というように選択肢は複数ありましたが、その中で僕は「三菱電機」という大手への転職を決めました。

‐前回の転職活動の際に「挑戦」という意味も込めてベンチャーへ行かれたと思うのですが、なぜ再び大手に戻ろうと決めたのでしょうか。

杉田さん)自分のライフステージが変化したからです。実は転職後に結婚して子供が生まれたのですが、ここで価値観が大きく変化しました。今までは、自分がやりたいことやなりたい姿の実現に向けてがむしゃらに動いてましたが、家庭を持ったことで「自分の人生は自分のものだけではない」ということに気づいたんです。自分だけのキャリアではなく、”家族”を考える必要性を感じました。このような状況で考えた時に、独立は非常に不安定で家族に充てる時間も少なくなるし、ベンチャーも同じようなもの。家族のことをより考慮できる環境はやはり大手企業だなと思い、転職先に決めました。
もしかすると、この選択を「逃げ」とか「ほらベンチャーは難しかっただろ?」と揶揄する人がいるかもしれませんが、僕はこの選択を胸を張って正しかったと言えますね。

仕事・転職に対する想い

-杉田さんがどのような軸(価値観)を持って働かれているか教えてください。

杉田さん)大きく分けると2つあります。1点目が「社内外の人に喜んでもらいたい」ということです。営業でいうと、誰もやったことのない工夫をして「杉田だからこそできる仕事」をすることを意識していましたね。人に喜んでもらうということは自分のモチベーションや成長に繋がりますしね。
2点目は「自社に対する絶対的なプライドを持つ」です。社畜じゃん!というツッコミが聞こえてきそうですが笑。僕は前職の日本生命では「日本国民全員を日本生命の保険に加入いただき安心してもらいたい」という意気込みで仕事をしていました。
やっぱり自分の会社を好きになることって、モチベーションにすごくつながるんですよ。「自分の会社が一番だ!!」って。でもひけらかしてはいけません。あくまで謙虚な姿勢でね。

‐ありがとうございます。この2点は就活にも活きそうですね!

杉田さん)確かにそうですね!

-加えて、杉田さんの転職に対する考えをお聞きしたいです。一般的なイメージだと「不安」とか「不安定」というものがあると思うのですが…

杉田さん)転職は「逃げではなく挑戦」だと思っています。ライフステージの変化によってキャリアの考え方が変わるという話を先ほどしたように、その時々で価値観ややりたいことは変わって当然だし、それに合わせて働く環境を変えることは別におかしいことでも怖いことでもないと思います。新卒で入った会社に40年間いなければいけないなんてことないですし。
職を変えた人に対して「あの人逃げたよ。会社辞めたよ。」と後ろ指を指す人は一定数いるかもしれません。でもそんな人は気にせず、自分の道を進んでいくことをおすすめします。

キャリアに悩める中大生へメッセージ

-最後に、今自身のキャリアについて悩んでいる中大生へメッセージをお願いします。

杉田さん)まず「就活はめちゃくちゃ楽しいよ」ということを言いたいです。”自分はこんな人間ですよ、こんなすごいことしてきました!”って自慢ができる唯一の場が就活なんですよ。そしてこの自慢が上手にできる人ほど内定していく。すごく楽しそうじゃないですか?笑  
あとは、先ほども言ったように新卒で入社した会社で働き続けなければいけないことなんてないので、そこまで思い苦しまず、自分自身と向き合って、その時々に応じたベストな選択をしてほしいなと思います。失敗してもそれは一つの経験にもなりますし。

‐就活が楽しいという観点はすごく新鮮だなと思いました。

杉田さん)お祈りメールが来たりしたら落ち込むこともあると思います。「あ、自分ってダメなのかな」って。でも就活生のリクルーターをやっていた僕から言わせてもらうと、あくまで会社の考えと合わなかっただけで、「この子が入社しても会社の文化と合わず苦しむだろうな」という形で採用を見送るんですよ。能力が足りなかったとかではないので、気にせず頑張ってほしいです!

-素敵なメッセージありがとうございます。以上でインタビューを終了させていただきます。本日はお忙しい中、取材を快諾していただきましてありがとうございました。

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