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【新春!オンライン事件捜査ゲーム】『闇の中の五人』
一人でも、何人でも楽しむことのできるGM不要の謎解き・事件捜査ゲームです!ブラウザ上でリンクをクリックしていくとお話が進みます。
あなたは新年早々、ヤクザの組長が死んだ事件の解決を依頼された私立探偵。「1時間以内に始末をつけろ」なんて無茶ぶりされて、果たして無事に謎を解き明かすことができるのか!?
想定プレイ人数 1~5人程度 想定プレイ時間 1時間~1時間30分
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Chapter:0【序章】
星空も静かに澄みきった、元日の夜半。腕時計に視線を落とせば、針は22時を回ったところだった。
大きな門松が左右に飾られた数寄屋門を見上げ、あなたは肩をすくめて呟く。
「幸先の悪い仕事始めだぜ、まったく」
門扉の表札には『望月(もちづき)』と彫られている。この厄払市をシマとする暴力団「うさぴょんぴょん組」の組長の自宅だ。
あなたは私立探偵。これまで、うさぴょんぴょん組とはつかず離れずでやって来た。裏社会の情報網に頼らざるを得ないことも多いこの稼業では、地元のヤクザに顔を売っておくに越したことはないが、とは言えあまり近づきすぎても、付け込まれて面倒なことになりかねない。
――事実。こうして厄介な事件に巻き込まれつつある。
『今すぐ来てくれ。知恵を貸してほしいんだ』
電話を寄越してきたのは組のナンバースリー、本部長を務める泥舟勝克(どろぶね・かちかつ)だった。若頭の鰐飛伊那馬(わにとび・いなま)は武闘派で鳴らした男だけに細かい計算や商売は苦手なタイプで、この泥舟が事実上、組を仕切っている。
とても極道には見えない、フレームのデカい眼鏡をかけて頬が削げた、不景気な哲学者のような風貌の男だが、大の酒好きでアルコールが回ると誰彼構わず喧嘩を吹っ掛ける酒乱のケがあると、あなたは噂に聞いたことがある。
「悪いが知恵と金はヤクザには貸さないことにしてるんだ。良いお年を」
『お前と軽口叩き合うのは嫌いじゃないが今は勘弁してくれ。……三代目が殺された』
「望月組長が?」
『ああ。それも幹部会の席上――俺たちの目の前でだ』
望月十五(もちづき・じゅうご)。先代から引き継いだ時には組員二十人ほどの弱小団体に過ぎなかったうさぴょんぴょん組を、複数のフロント企業を抱え、市議会に息のかかった議員を送り込めるほどの大組織に一代で育て上げた男だ。
『お前に犯人を突き止めてもらいたい。なんせ俺たち幹部3人が全員容疑者、跡目を取らなきゃならん若頭の鰐飛がその筆頭じゃあ葬式も出せないからな』
「待ってくれ、目の前で殺されたのに犯人が分からないのか?」
『詳しい話はあとだ。そっちに車を回した』
そして、あなたは事務所にやって来たゴリラみたいにデカい若衆に有無を言わさず黒塗りのレクサスに押し込められ、ここまで連れてこられたというわけだ。
先導するゴリラに促され、あなたはため息一つついて門をくぐった。