LEDの明るさを操作する基礎実験
電子工作の初心者向けの本を読むとたいてい、「Lチカ」が導入プロジェクトとして紹介されていることが多い印象です。LEDをチカチカ点灯させてみるというものです。プログラミングでいう、”Hello, world!”的なところでしょう。
いまでは電子工作初心者向けにArduinoが普及しているので、LチカもArduinoがあればちょちょいのちょいという感じでできてしまいます。もちろん、LEDについて基本的なところを知らないと、いくら簡単にLチカできるからといって、その基本的な動作すら理解できないでしょう。なので、初心者向けの本でLチカが説明される前段では、大概ちゃんとLED自体の動作原理などについても解説されているものです。
・・・が、頭でも簡単に理解できそうな内容すぎて、本だけ目を通して「ふ~ん」という感じでさっさとLチカに進んでしまう人も多いのではないでしょうか。
というわけで、LEDと抵抗器と電池だけを使って、LEDの光る明るさをコントロールしてみるという、超初歩的な実験をあえて行ってみました。
目的
LEDと抵抗器と電池だけを使って、LEDの光る明るさをコントロールしてみる
方法
使うもの
LED
抵抗器(1kΩ、180Ω、100Ω)
電池(1.27V×2本)
ブレッドボード(台湾E-CALL社製のEIC-801)
ジャンパー線
ニッパー(抵抗器の足を切るため)
テスター
手順
図1のように回路を組む。
抵抗器を1kΩ、180Ω、180Ωとしたそれぞれの場合について、以下を確認する。
LEDの明るさ(目視)
LEDの端子電圧(テスター)
抵抗器にかかる電圧(テスター)
結果
1kΩの場合
LEDと抵抗器にかかる端子電圧は図2のように、LED:1.83V、抵抗器:0.64Vとなりました。
180Ωの場合
LEDと抵抗器にかかる端子電圧は図3のように、LED:1.96V、抵抗器:0.50Vとなりました。
100Ωの場合
LEDと抵抗器にかかる端子電圧は図4のように、LED:2.03V、抵抗器:0.41Vとなりました。
考察
LEDの明るさ
抵抗器の抵抗を下げるにしたがい、LEDの発光が明るくなっていく様子が確認できます。
一方、回路に流れる電流はI=V1/Rで計算されるので、一連の実験結果から、各抵抗器について次のようになります。
1kΩ:0.64V÷1000Ω×1000mA/A=0.64mA
180Ω:0.50V÷180Ω×1000mA/A=2.8mA
100Ω:0.41V÷100Ω×1000mA/A=4.1mA
LEDの発光原理はたとえばPanasonic社のサイトをみると、p型、n型半導体の間で正孔と電子とがぶつかり合うことによって生じるエネルギーが光に変換されたものだということです。
なので、電流≒単位時間あたりの電子の移動量 が大きければ、それだけ単位時間あたりに正孔と電子のぶつかる機会が増えます。
LEDの明るさは、LEDを通る電流の大小に応じると言えそうです。
抵抗器とLEDにかかる合計の電圧の減少
ちょっと蛇足的な話ですが、抵抗器とLEDにかかる合計の電圧は、よく見ると微妙に減少しています。
1kΩ:1.83+0.64=2.47V
180Ω:1.96+0.50=2.46V
100Ω:2.03+0.41=2.44V
さて、どういうことでしょう。
実は、図1の図は間違っています。
厳密には、図5のようになります。
いわゆる、電池の内部抵抗というやつです。電池自身が内部抵抗を持つため、電流が流れれば、この抵抗で電圧降下が起きるわけですね。
電池の電圧は2.54Vだったので、それぞれの抵抗の場合に内部抵抗で生じる電圧降下V3は、次のようになります。
1kΩ:2.54V - 2.47V = 0.07V
180Ω:2.54V - 2.46V = 0.08V
100Ω:2.54V - 2.44V = 0.10V
電流値はさきほど計算されているので、それぞれで内部抵抗を計算すると次のようになります。
1kΩ: 0.07V÷0.64mA=109.4Ω
180Ω:0.08V÷2.8mA=28.6Ω
100Ω:0.10V÷4.1mA=24.4Ω
・・・これはまた随分ばらついてしまいました。
そもそも、電池の内部抵抗は1Ωに満たないオーダーとされているので、これらの値はちょっと大きすぎます。
気持ち悪くはありますが、蛇足の話を膨らますのもなんなので、これに関する考察はまた折を見て行いたいと思います。
まとめ
LEDの明るさは、LEDを流れる電流の大小によって決まる
LEDを流れる電流は、LEDに直列に接続した抵抗でコントロールできる