記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

映画『秒速5センチメートル』感想【ネタバレ有】

新海誠監督作品
「秒速5センチメートル」
リバイバル上映やってたので「まだ見たことないし、見て見ようかな」と思い、見てきました。

一言。“良かった”

青春だ。良くも悪くも青春、そして恋愛。
もう恋愛ものは、飽きるほど色んなのを見てとっくに食傷気味な自分でも
これはお腹いっぱいにはならずに見やすかった。

この作品は、似たような経験をしていて、共感できる人に受けると思う。
自分にもあるけど、学生時代、想いを寄せた人とお互いそれなりに意識していたのに
事情で離ればなれになることもあったし。

好きになった人には既に相手がいて、どう考えても自分が付き合えることはないな
と思って、伝えずに終わったこともある。

そんでさ、そういう人とは、案外付き合ったり結婚したりできないもんだったりするんだよ。
それが現実。そういうのが上手く表現されていた。

最後の終わり方も好きか?いわれると微妙だけど、
少なくとも嫌いではないし、良いと思う。
いや、やっぱり訂正する。
これだけ印象に残ってるから、めっちゃ好きなんだと思う。

学生時代に好きだった相手と偶然踏切ですれ違う主人公。
“いま振り返ればきっとあの人も振り返るはず”
と感じた主人公。

振り返ったら電車が通過、それも上り下りの両方が…;;
電車が過ぎた後、振り返ると、彼女の姿は無い。

その時、主人公が笑うんだよね。

そのシーンが好き。
『ああ、これで彼も気持ちが切り替わったんじゃないかな…』
って感じるシーン。

商業的には、あの展開は万人受けしないから失敗だと思うけど
個人的には凄く好き。

各話ごとの感想。こっからはがっつりネタバレです。

第1話。
桜花抄。

これ良い話。純愛だ。
雪で電車が遅れて、待ち合わせ時間はとっくに過ぎたけど、
それでも頑張って待ち合わせの駅に向かう主人公と
貴樹はきっと来ると信じて待っている彼女。
ちょっと泣いてしまいそうになった。

今じゃ、有り得ないよね。電車の乗換案内なんてスマホで出るし、
遅れる場合もLINEすれば済む。
その点も昔を感じて懐かしい感じがした。

ただこの話、第三話の結末を知ってから思い返すと、
彼女は貴樹に対して「きっと大丈夫」と言ってるんだよね。
この言葉。最初何とも思わなかったけど、結末を知ってから
考えると、明里の方はもう色々と気持ちの整理がついていて、
そういうことだったのかな。と。

第2話。
コスモナウト。

これ見てて、最初に思ったのは、
これ、貴樹は絶対花苗が自分に気があることに気付くはずというか
気付いていたはず。じゃなきゃおかしい。
でも、それなのにああなっちゃうんだよな。
その後ろで発射されるロケット。

「時速5キロメートルだって」って言われたとき、
貴樹は明里のことを思い出したはず。

切ないねぇ、ホントに。

もし花苗があの状況下でも告白を強行していたら
どうなっていたんだろうな、、、。

花苗の気持ちがわかるだけに、凄く切ない話だった。

でも俺は思ったよ。まだ第3話の結末を知らないから見てて思ったのは
『あー、彼(貴樹)は彼女(明里)に一途なんだな』と。

第3話。
秒速5センチメートル。

冒頭のシーンで、明里が結婚することが解り、
貴樹に渡すはずだった手紙が映る。

『ああ、遂に二人は結ばれるんだ。
 あの日のこと、初めてキスを交わした雪の日のことを思い出しているんだな…』

って思ったら、違うじゃん?!

えー…、おいおい。。。;
ってのが一発目の感想。

結婚相手、貴樹じゃないんかい…、、、。

しかも貴樹は貴樹で、別の人(水野さん)と付き合っていて
フラれるって……マジかよ。

しかも相手から「千回メールをやりとりしても、心は1センチしか近づかなかった」って言われてるし、、、
…そうとう引きずってるんだな。明里のこと。

でもリアルだ。
…そういうもんだよな、

あと、「え?」ってなったけど、
ベタな展開にしなかったのは個人的に良いと思った。

新海誠監督が有名になってしまった今じゃ出来ない展開だと思う。

今だとああいう好みが分かれる展開のを作りにくいと思うから、貴重だなと。

とてもいい作品だった。

【2024.4.6記載】