変速機とインバーター

たまに変速機(※)の更新依頼が来る。
※変速機:モーターなどの回転数を任意に調整する装置

昔(20世紀)は、よく使用された変速機だが、
今はインバーターでモーターの回転数を直接変える方法がほとんど。
変速機を使うのは、インバーターを置くことができなかったり
小型の装置でインバーターでは割高になる状況下のみとなり、需要は激減。
過去の変速機メーカーは事業撤退や廃業しているケースが多々ある。

しかし、工場では過去に設置した変速機がまだまだ現役で稼働しており、
老朽化で更新したい、という流れだ。

この場合、変速機を更新するか、インバーター制御に切り替えるかの判断になるが、
変速機は廃番になっていて、同じメーカーの代替機が無いケースが多い。
まだ変速機を作っている別メーカーの物にすると、寸法から何から異なるので
色々接続部で改造が必要。
一方でインバーターにしようとしても、同じように改造が必要になる。
更に、インバーターを置くスペースなどがあらかじめ確保されているわけがないので
新規に盤を作って置かないとダメだったりする。
加えて電気工事が絡むため、お客さんが機械の担当と電気の担当で分かれてると、
片方が嫌がったりとかいうハードルがある。

それで結局、更新しないまま故障を迎え、
「何とかなりませんか」。
コレだ。
どうしようもない。

お金と時間があれば、自力で変速機を設計してしまうこともできて
そうしておけば、手元に設計図が残るので
将来何かあっても町工場に頼んで部品をもう一度作れるが、
1台だけとかのための設計製作となると人件費も制作費も非常に高価。
現実的ではない。


解るんですよ。
更新しないまま故障を迎える気持ちも。
現状使えているのに、高い金と手間をかけて更新したくないよね。
でも更新しないまま故障を迎え、
「直ぐに何とかしてください」ってのは無理。
時間がかかる。


じゃあどうするのか?
(変えるのか、あきらめるのか。)


まだ変速機を使っているところは
こーいうのを考えて決めておかないと突然壊れた時に慌てることになるんだろう。
地震への備えとかと一緒。