【第91話③】12/22中山11R・有馬記念・後編(にゃむ師匠)
このコラムは、三部作の「後編」でございます。
「前編」「中編」を未読の方は、是非上記リンクから前編をご覧ください。
§6.牝馬が主役の有馬記念
今年の有馬記念の主役は間違いなく「牝馬」たち。
アーモンドアイに、リスグラシュー、アエロリットとご丁寧に、横綱・大関・関脇と三役が揃っていて、スカーレットカラーまで。
どの馬も男たちを翻弄し、もてあそび、手玉に取り、ここまで財とチカラを蓄えてきたオンナたち。その小悪魔ぶりは、まるで
ドキンちゃんのようだ
ドキンチャンの「小悪魔」っぷりは、すべてこのセリフに集約されてる。
「ね~~え、バイキンマン。なんかおいしいモノ、いっぱい持ってきて~」
これは日常生活で、言いたくてもなかなか言えるセリフではない。だが、一生に一度は言い放ってみたい名ゼリフにランクイン。逆に言われるとこの上ない屈辱を受ける。
そう言われたバイキンマンは、一途にドキンチャンの事を好いてしまっているため、少しでもポイントを上げるために一生懸命ガンバる「いいひと」。その業務遂行のために、有り余る「恋のエネルギー」をもって、宇宙規模の悪行を繰り広げているのである。
しかし! 運命とは皮肉なもの。ドキンチャンはショクパンマンにハートマークだというのに、それを知らずに、恋の成就に向けて遮二無二尽くすバイキンマン…。こりゃあまるで、平成の初めのころの「トレンディ・ドラマ」に匹敵するベタな人間相関図における三枚目脇役…。チョロだチョロ。
だが悲しいがな、いつまで経ってもその淡い恋は叶うことなく、決して報われることのないバイキンマン…。嗚呼…哀れな奴よ…いつもお前は「死ね死ね団」。でも小生はそんなお前の事を、無性に抱きしめたくなるぞ!!
そんなバイキンマンのエネルギッシュな「一方通行の愛」が、数々の極悪非道な悪行の源だったとは!? そんなことをドキンチャンは知る由もなく、要塞で贅沢三昧…。
そしてその迷惑を多分に被っているのが、アンパンマン一座。
主役のアンパンマンは、そんな「一途な自爆野郎・バイキンマン」にいつも付き合わされ、毎度毎度の肉体労働。時には命の危機にさらされ、その都度新しい顔に入れ替わるハメに。顔がいくつあっても足りゃあしないし、何度アーンパンチ!されて星の彼方に飛んでいっても、ちゃんと次週には復活しているリペア力も搭載。
そうなると、ジャムおじさんのパン工場も、新しい顔のための原材料の仕入費用や、バタ子やチーズへの労務費、工房の水道光熱費など、多大な製造原価や経費かさむことによって、資金繰りは圧迫。工場経営は困窮を極め、債務超過・赤字へまっしぐら!
「風が吹けば、桶屋が儲かる」という数段論法ではないが、以上の事より、
「ドキンチャンが小悪魔になると、ジャムおじさんのパン工場は潰れる」のである。
そこまでわかっとんのかドキンチャン!?…そんなん知らずにワガママし続けるオマエはなんて罪な奴だ!?
と、小悪魔な女たちによって、オトコは振り回され、エネルギーを使い果たす。これが去年のJCから始まり、今年の宝塚でも再来した「オトコたちの悪夢」なのだ。
今年の牝馬たちも、その有り余る小悪魔ぶりを発揮するだろう。それを論拠して◎アエロリットとした今年の秋天は自画自賛。
またもや牝馬の独壇場となってしまうのだろうか?
§7.枠順発表(枠)
G1は「馬5人5」。しかし、有馬記念は、「枠4馬3人3」!
去年の予想日記では、この新法則に基づき、それぞれの配分を40点、30点、30点。計100点満点として出走16頭を精査して、それぞれ印を決定づけたのだが、そんな法則をあざ笑うかのように、3連複は8-12-15という真ん中から外枠の3頭で決着。うーん。なんだかなぁという感じだった。今年は少し割合を補正して、
・枠(30点満点)
・馬(40点満点)
・人(30点満点)
・減点補正
以上の100点満点で16頭を精査したいと思っている。
その中でまず、枠順。
クイーンズリングでも内枠引けば馬券になる中山2500ゆえ、やはり内外の有利不利は大きいもの。
当然、内枠が高得点で外枠が低得点なワケだが、先入れの奇数枠よりも後入れの偶数枠のほうが出遅れリスクが減り、好まれていることから、下記のように若干ジグザグの配点とした。
最内1枠の偶数である2番が最高点の30点。以下、2点ずつ限定し、外枠8枠の先入れ15番を0点とした。これで30点も差がついてしまうくらい、この枠はこのレースでは大事なファクターなのである。
§8.中山冬将軍(馬1)
前編の§4で示した中で、➀ 中山適性(特に冬場)
と記したが、これについても詳しく記した過去の予想日記がある。
**********************************
参考文献・2017年有馬記念予想日記 より
有馬記念を予想する上で、避けて通れないというか、避けてはいけないのがこのキーワード「中山冬将軍」である。このキーワードのお陰で、2009年有馬記念は、エアシェイディまで拾えた大的中で終わる事が出来たのだから…必須項目!!
「能力」か? 「適正」か? という、競馬の永遠のテーマに関係する。
有馬記念については、1着にはついては高い「能力」を発揮して順当に決まるのだが、2着・3着については「適正」の高い馬が人気薄で入るため、結果大荒れとなる傾向にある。ただ今年は、4歳時のテイエムオペラオーや、4歳時のゼンノロブロイのような、コースも展開も関係ねぇというとても強い馬がいればハナシは別だが、今年はとびぬけた「能力」を有する馬が不在につき、こういう「適正」に秀でている馬に目をつけておく必要性があるとのこと。
しかも、その「適正」とは、単なる「中山巧者」で終わるのではなく、芝の状態が違う「冬の中山巧者」の事を指す。
そこで、このデータ。
過去10年の有馬記念で、9番人気以下の人気薄の馬が馬券圏内に入った馬の特徴には、非常に似通った傾向があり、7頭中6頭が「1月か2月の重賞を制したことある馬」いい替えると「最も寒い時期の馬場コンディションで、2000m以上の重賞で実績を残した馬」が、近走で見せ場なく終わっていても、変わり身を示す可能性がアルということ。実際コレに早く気付いていれば、アドマイヤモナークは「恐ろしく危険な馬」に化けていたのでのである。
一般人は、目先の着順だけで「能力」を判定し、それがそのまま「人気」に反映される傾向にあり、この「適正」のある馬の存在を軽視したために、結果大荒れに終わる昨今の有馬記念。
オラは、これに激しく同意すると同時に、ようやく、今年の有馬記念を推察するにあたっての「スタンス」が得られた。さすが「先週の結果分析」。いつもいつもオラを助けてくれる。お陰様で年間300万円以上の収益を残せるんだから、少しの加入料なんか安い安い!
というわけで、「能力」はもちろんだが、「冬の中山実績」も、同じように数値化することによってその「総合力」で各馬の優劣をつけてゆく方法が最もベターであるという結論に至った。
**********************************
小生は、こういう馬を当時「中山冬将軍」と名付けた。
あれから8年。このネーミングは全国民に流布され、国語辞典やウィキペディアにまで掲載…されてはいないが、小生の有馬記念=中山冬将軍というのはもはや代名詞。2019年の今も、有馬記念を考える上で、冬の重賞、特に中山でのパフォーマンスがとても重要であることは変わりない。
そこで
・12~2月の中山のG1で連対経験あり…10点。
・12~2月の右回りのコーナー4つの重賞で勝利あり…8点。
・12~2月の中山のG1で3着経験あり…6点。
・12~2月の上記以外の重賞勝利あり…4点。
・12~2月のオープンレースで勝利あり…2点。
として配点した。
§9.成長曲線(馬2)
小生が予想をする上で比較的高いウェイトを置いているのがこれ。もちろんこの判断基準は「主観」のみであるため、エビデンスもない。己の相馬眼が全て。
・現在ピークに到達していると推測可能であり、現時点では下降の懸念がない・・・10点
・まだピークに未到達も、ピークに向けて上昇中…8点
・既にピークに到達済みであり、現段階でもピークに近い位置にいると推察できるものの、一方で、下降に差し掛かっている懸念もある・・・7点
・既にピークを過ぎて下降中・・・5点
§10.距離適性(馬3)
2500m以上の重賞勝ちあり・・・10点
2400mの重賞勝ちもしくは、3000m以上のGlで3着以内あり・・・8点
2200mの重賞勝ちあり・・・6点
2000mの重賞勝ちもしくは、2200m以上のGlで3着以内あり・・・4点
§11.血統(馬4)
有馬記念といえばここ10年は、ステイゴールド産駒。
ドリームジャーニー、オルフェーヴル、ゴールドシップ、オーシャンブルー…有馬記念の栄光は常にこの産駒たちによって彩られてきた。パワー馬場、小回り、寒さに強い強靭なボディ。要因はいろいろだが、冬の中山開催の芝2000m以上は、この産駒の馬券圏内率は異常に跳ね上がる。
過去10年で
【4.1.2.11】ステイゴールド産駒・・・10点
【0.2.3.16】キングカメハメハ産駒・・・7点
【0.1.2.10】ハーツクライ産駒・・・5点
キンカメの子息である、ロードカナロア産駒・・・5点
その他の種牡馬・・・3点
§12.ジョッキーのウデ(人1)
(写真がタイトルと合ってなくてすみません。【悪意】)
次に「人」。これもトータル30点満点で振り分ける。まずはジョッキーのウデそのものについて、この割合は大きく20満点とする。今年の日本での勝ち星、連対率、3着内率よりクラス分けをしてみた。
Sクラス(20点)…ルメール、川田ユウガ
Aクラス(15点)…武豊、福永祐一、レーン、
ムーア、スミヨン、マーフィー
Bクラス(10点)…岩田康誠、横山典弘、三浦コーセー、津村明秀、
藤岡ユースケ、丸山元気、松山弘平、池添謙一
§13.騎乗履歴~ヤネとウマの意思疎通(人2)
どんなにウデが良くても、馬との相性が悪ければ✖。よって、それぞれのジョッキーが今回騎乗する馬とどういう歴史を刻んできたか。ここにも注視・加点する。
当該騎手が過去に騎乗して、
・G1勝ち、重賞3勝以上、G13着以内が3回以上…5点
・重賞勝ちもしくはG1 3着以内がある…3点
§14.その他特殊要因(人3)
ヤネの特殊要因
・⑤フィエールマン…ピンチヒッター池添謙一。4度制覇の有馬男…5点。
・⑭ヴェロックス…川田ユウガ・人気という重圧からの解放…5点。
・⑬アルアイン…松山弘平・初G1をの思い出の馬に感慨の再騎乗…5点。
・⑯シュヴァルグラン…福永と大魔神。長い長い確執からの雪解け…5点。
・④スティッフェリオ…丸山元気。かわいい嫁さんもらってノリノリに なりつつ、新たな責任感に気を引き締めている「人生の確変期」… 5点。
§15.海外帰り補正
最近では、サトノダイヤモンドやマカヒキのように、意気揚々と凱旋門賞に出走するも、そこでは慣れない環境になじめず、本番もヨーロッパ特有のボコボコのパワー馬場に惨敗。それで肉体的・精神的にダメージを受け、その後の日本での成績がガタ落ちになるという馬が頻発している。言い換えれば、競争能力を削ぎ落して帰国するケース。このリスクも考えられる海外帰りの馬たちは3点減点とする。
§16.ラストラン補正
今年は16頭中6頭がラストラン。毎年1 ~ 2頭はいるけど6頭というのは多い年。ラストランの後は種牡馬もしくは繁殖牝馬として「第2の馬生」となるワケで、ファンに対してお別れであり顔見せであり、ケジメの意味での出走。ゆえに、出走しただけでもうその意義は達成されていて、その能力がピークを過ぎていることを陣営も十分解っているうえで出走する場合もあれば、ラストランを勝っために陣営が120 %の仕上げで臨むということはほぼほぼない。ディープインパクトやオルフェーヴル、ジェンティルドンナ等のS級馬ならまだしも、今年のラストラン6頭でG1を3勝以上している馬はリスグラシューくらいであって、ガチでこのラストランを取りに来ている馬は誰もいないと推察する。ゆえに、これら6頭は「ラストラン補正」として3点減点する。
§17.集計結果発表~~~!!
まずは、16位~9位。「無印馬」の発表から…
第16位…⑮アエロリット(20点・無印)
これでラストランとのことで、出なくてもいいのにわざわざ手を上げグランプリを盛り上げてくれた菊沢センセイには感謝と評価が絶えません。12年前にマイラーと思われていたダイワメジャーに◎を打った理屈であれば、ここでも通用するという考えもあるのだが、ダイワメジャーとの最大の違いは「2000mの勝ち鞍の有無」にある。ダイワメジャーは立派な皐月賞馬であり、中山適性もあるゆえの◎抜粋だったが、アエロリットは秋華賞をドボンしていることはいただけない。今年の秋天では大変お世話になったけれどそれは東京2000mのお話であって、中山2500ではビター文買いたくない。
第15位…⑬アルアイン(36点・無印)
3歳時は皐月賞を制覇。中山適性はあるものの2500mは適性がないものと思料。引退レースであり記念出走の感が強い。マイルCS もここ2年連続で出走しているが着順の推移からその成長曲線が下降気味と思料する。。
第14位…⑪キセキ(40点・無印)
凱旋門賞挑戦もドボンして帰国。この手の馬は競争能力を大きく削ぎ落としているパターンが多く、また大幅な成長曲線の上昇も見られないことから、希望よりも懸念が上回る。名手ムーアといえど、乗り慣れた川田ではないところは減点か。
第13位…⑫クロコスミア(42点・無印)
エリザベス女王杯3年連続2着の輝かしい実績を引っ提げての引退レース。血統面と細身の馬体からステイゴールド産駒につき 2500mの適性はあるだろうが、牝馬限定のドスローゆえの連続連対であり、相手の一気強化・同型も多くマイベースの逃げで自分の競馬ができるかどうか疑問。
第12位…⑯シュヴァルグラン(51点・無印)
有馬記念は4度目の出走で6→ 3 → 3着と冬の中山に一定の適性はあるも、衰えは明らかであり引退レースの記念出走。クラブ馬主であれば今後の種牡馬生活へのリスク軽減のため出走させないが、馬主が大舞台大好き、枠順抽選レセプション大好きの目立ちたがり屋なため出走はやむなし。ここはバッサリ。
第11位…⑤フィエールマン(52点・無印)
鬼のいぬ間に菊花賞・春天とG1を2勝も、いずれも相手は弱く世代に恵まれた印象。成長曲線の大幅上昇はなくフランス遠征のダメージとルメールにフラれたところはマイナスポイント。有馬男の代打池添でも太刀打ちは難しい。
第10位…①スカーレットカラー(54点・無印)
4歳になってから牝馬重賞戦線でメキメキと頭角を現すも、混合戦相手一気強化での大爆走は活躍は疑問。成長曲線こそ上昇中でピークに近く、得意の輸送競馬で馬体が上手く絞っても掲示板までか。
第9位…⑧レイデオロ(58点・無印)
今年1年でこんなに能力も評価も落ちた馬も珍しいが、人気だけはダービー馬。前走のJCでも、直前に単勝1000万円がズドン!と入って1番人気に。もう、そんなんに1000万円入れるくらいだったら小生に10万円渡しなさいって・・・。5歳秋の引退レース。ここで復活しようものならオグリキャップ級の伝説になることであろうが、小生は一度落ちた成長曲線がぶり返すというパターンは見たことがなく、来たら驚きももの木で良いと判断する。
ここからは、連下「△」です。
同点第7位…⑦ワールドプレミア(59点・△)
菊花賞は鞍上の「位置取りの魔術」によって制した感もあり、地カでは神戸新聞杯の着順からも、サートゥルナーリアにはやや劣る感も。ディープインパクト産駒ゆえ器用な立ち回りができるがカギ。
同点第7位…⑭ヴェロックス(59点・△)
3歳三冠はすべて馬券圏内と安定感は随一。過剰人気から解放される川田ユウガにとっては、気楽に乗れる今回はプラス。
第6位…③エタリオウ(60点・△)
ステイゴールド産駒の4歳馬であり、今年はド低迷に終わるも、その成長曲線の傾向から高確率で今後本格化に向かうものと推察。しかしながら、JC惨敗の後、この1か月で急に確変はどうか?狂って3着。
同点第4位…⑥リスグラシュー(61点・△)
アーモンドアイが昨年のJCで、キセキ・スワーヴリチャードを太刀持ち・露払いにして見事横綱土俵入りを飾ったのに対し、今年の宝塚記念ではこのリスグラシューが同じ太刀持ち・露払いを引き連れて堂々の土俵入り。東西女横綱最強決定戦の西の横綱であるが、これが引退レース。海外帰りでリズムの回復とレーンの初中山がカギ。
同点第4位…⑨アーモンドアイ(61点・△)
ファン投票第1位。押しも押されぬ現役最強馬だが、秋天快勝後、既に制したJCには興味を示さず、パス。香港カップを目指して調整も熱発により回避。じゃあ、有馬記念に出そうか。ファンも期待しているし…
この、じゃあ…が気がかり。
小田急線が人身事故!?…じゃあ、相鉄線で行くか…
牛丼が売り切れ? じゃあ…豚丼で…
いおりちゃんが予約入ってて指名できないの? じゃあ、サラちゃんで…
香港ムリ!? じゃあ、有馬記念かぁ…
じゃあ[感]
呼びかけた相手の返事が否定的であるときに発する、狂言特有の語。
「じゃあ」で獲れる有馬記念?
あれもこれも全部喰えると思うなよ。
もちろん、香港回避を決めてから、国枝センセイが「じゃあ、有馬に」といったかどうかは不明だが、小生は「じゃあ」感覚で獲れる有馬記念にものすごい違和感と疑問を感じている。
断然の1番人気。この馬に抗うこと自体ハイリスクだし、もはや「非国民」の扱いを受けても不思議ではない。ただ小生は、そうやって今までディープインパクトにもオルフェーヴルにも抗ってきたし、あの2007年はメイショウサムソンにも抗った。ゆえの428万円ゲット。
今回のアーモンドアイには、
①「じゃあ」で出てきた有馬記念。
②中山実績が問われるこのレースで、中山未出走であり、適性不明。
この抗える2つの要素がある。
アーモンドアイが経験した今までの競馬で、中山の内回りにいちばん近いのが秋華賞・京都の内回り2000m。この時は4コーナー12番から大外をブン回してやっとのさの差しきりだったが、この時に最後に交わしたのはのちに牝馬限定の重賞を1つだけ勝つミッキーチャーム。小回りコースの後方からの大外ブン回しは、やっとミッキーチャームを交わせる程度であり、それに近い中山コースで、名だたる名馬を外からブン回して交わせる?
と、実力は認めながらも精一杯のケチをつける。隣のクリストフにスタートで思いっきりブツけられるリスクも大。
第3位…⑩サートゥルナーリア(62点・▲)
ダービー・秋天とどちらもレース前にテンションが高くなり4着ドボンも、中山はG1・2勝と好相性。いい脚を長く使う東京よりも、一瞬の切れ味を炸裂させる中山が向いていることは確か。距離が長いと菊花賞は嫌ったが、ダービー・神戸新聞杯の内容から小回り2500 はこなせる。
第2位…②スワーヴリチャード(76点・○)
この馬については、JC時に小生は大きな勘違いをしていた。
レイデオロの成長曲線の降下が著しく、スワーヴリチャードについても大きな上積みがなかったことから、併せて成長曲線が降下していると決めてかかったのがJC。しかしながら、それは降下ではなく、ほどよく横ばいで推移していたのが正確な見解だった。宝塚記念3着は、去年のJCと同じ「最強牝馬→キセキ→スワーヴリチャード」ど同じ構図で三連単が決着し、これ以上の成長曲線の上昇は望めないと総括したことから、「上昇はない=下降」と早とちりしてしまったが、横ばいで推移する成長曲線に、内枠引いてマーフィーが最高の乗り方をすれば、あのようにJCも勝てちゃうもの。よって、今回は反省の意味を込め、対抗格と判断する。
§18.今年の◎
第1位…④スティッフェリオ(80点・◎)
最強5歳世代と言われる中で、唯一異なる成長曲線を描き、5歳冬ステイゴールド産駒として今が成長曲線のピークに。中山適性もあり、前走の秋天ドボンだけで嫌われ過ぎ。オールカマーでも◎を打ち大的中した小生は、この時点で有馬記念の有力候補としていた。
昨年秋の福島記念を勝った時点で、賞金的にもギリギリ有馬記念出走は可能だった。しかし、音無センセイここは早仕掛けと自重、一年熟成させることに。
年が明け、2月の小倉大賞典を勝ち、冬の重賞勝ちの条件「冬将軍」はクリア。果敢に挑戦した大阪杯・宝塚記念では、同期の有カ馬相手に健闘。よいカ試しの2戦であり、芝では最強世代と言われる5歳牡馬たちに胸を借り、タップリ稽古をつけられた。さらに、積極競馬をしたい丸山元気と、抑える指示をした音無センセイ。脚質・作戦面で「乖離」という課題も見つかり、また、関東の二流ジョッキー丸山元気が関西のG1騎乗という未体験ゾーンに2度も騎乗できたことからも、負けはしたがこの陣営それぞれにとって、収穫の春シーズンと言えた。
秋になり、そんな「テキとヤネ」の乖離も解消。
自由に前に行くことを許容した音無センセイ。「鞍上に全権委任」という大人の決断を敢行し、これに丸山元気がきちんと「大人の仕事」をして応える。その成果は絶大であり、レイデオロやウインブライトの名だたる同期G1馬を粉砕。一躍スターダムに登ったところで東京の軽い馬場では予定調和のキレ負けをして小休止。程よく人気を落としたところで、1年寝かせた熟成はいま完成期 。5歳冬のステイゴールド産駒。成長曲線がピークに達した今、満を持しての出走となる。
成長曲線の上昇は、同期であり今年複数回対決したレイデオロとの着差・タイム差がエビデンス。キセキとも大阪杯~宝塚記念と2度直接対決しているが、大阪杯は0.5差、宝塚記念は1.1差と開く。しかし、オールカマーのコラム予想でも書いた通り、宝塚記念は積極競馬をあえて控えた「作戦ミス」によるもの。オールカマーのような積極競馬が持ち味であり、自分の競馬ができれば、フランスで競争能力を削ぎ落して帰ってきたキセキも逆転は可能と見ている。
そしてこれが、小生の秋天のコラム日記。
※無料ですので、未読の方はご参照ください。
こでの印では、名だたる人気馬に重い印を打ちながら、一頭だけ単勝万券だったスティッフェリオを▲に抜粋。ここで違和感を感じた方はかなりのにゃむ通。(…っていうか、いるのか?)
その根拠の記述も、ほかの馬に比べると少なく数行に留めたのだが、あの記述には実は続きがあり、「ここでもしドボンしても、ド人気薄で有馬記念に出られることから、来なかったら来なかったで好都合。有馬記念に向けての先行投資!」というあぶり出しの文章があったのだ。
小生はこれを書きたくて書きたくて、もうギンギンフルボッキのガマン汁だ。しかし、ここで射精してしまうとがせっかくの「年末の風物詩」が「年末の種明かし」ならぬ「種散らし」となってしまうので、グッとこらえて記述を控えた経緯があった。そんな腹心と開き直りがありつつ、あの秋天でわざわざ▲を打ったことは、実は有馬記念で買うよ!という自分なりの「次回予告」だったのである。
…まあ、そんなの知るか?と言われるのがオチなのですが…ね。
§19.マツリダゴッホから12年・また来る亥年
前編で、サンドウィッチマンとともに輝いた2007年について触れたが、一部ではこの◎スティッフェリオが、マツリダゴッホの再来!と、地味に囁かれている。さすが、解っている人は解っていて、その最大の理由は、2007年のマツリダゴッホと2019年のスティッフェリオ。それぞれの臨戦過程が激似であることだ。
2007年のマツリダゴッホは、昨年末の準オープンを脱出した1か月後、1月のAJCで圧勝。この時点で、「中山冬将軍」の要件はクリア。その後、3月の日経賞を僅差で敗れ、関西遠征。春天に挑戦するもメイショウサムソン以下にドカ負け。このショックが大きくその後の春は全休。立て直すべく札幌記念を使うもここでも7着ドボン。叩き2戦目のオールカマーでは圧勝。中山では崩れないところを存分に見せた。
その後、秋天進むも大敗16着ドボン。またもやメイショウサムソンに大きく負け、これが響いて有馬記念でも大きく人気を落とし、単勝52倍で迎えたが、蓋を開けたらあらビックリ!メイショウサムソンやウオッカらを沈めての圧勝劇となった2007年だった。有馬記念が初GI制覇。これもここまでGl未勝利のスティッフェリオと似ている面。
その後のマツリダゴッホは、G1を勝つことはなかったものの、翌年とそのまた翌年のオールカマーだけは快勝したことから、中山だけで重賞5勝・ほかの競馬場では重賞未勝利。ゆえに「無類の中山巧者」と呼ばれたのだった。
やはり、有馬記念を勝つためには、類まれなる中山適性は必須であり、ここまで福島・小倉・中山と重賞を1つず勝つているスティッフェリオは、まだ完全なる中山巧者と言えないのだが、重賞3勝のうちオールカマーの勝ち方だけは圧巻だったことから、マツリダゴッホばりの「類まれなる中山巧者」の可能性は十分にある。
まあ、意見はいろいろある。
「スティッフェリオは、マツリダゴッホ臭がしない」と、とてもエラソーにつぶやいている輩もいるが、小生が思うにその嗅覚は、実際にマツリダゴッホで獲った人間にしか働かないもの。松茸狩りのプロは、実際、松茸を獲っているから嗅ぎ分けられるゆえ。
したがって、ここで「無臭!」と断言した輩は、きっと2007年有馬は撃沈したのだろう。お気の毒さまです。
§20.レースイメージ(前半)
~ノーマークの「強み」~
◎スティッフェリオが馬券圏内に入るための唯一の策は、「逃げからの粘り込み」。これしかないと思っている。 しかし、今回のメンバーには前に行きたい同型馬が、キセキ、アエロリット、クロコスミアと多く、オールカマーのような単騎逃げが確約されているワケではない。
秋天でも、12着の敗因として「アエロリットを追いかけ過ぎた」と語っていたことからも、同じ競馬をしていれば勝ち目はないということは認識済み。
クロコスミアはエリ女でドスローの逃げが毎年恒例であることから、このメンバー相手に何が何でもハナを取りに行くことはない。厄介なアエロリットだが、適性外の2500であり、鞍上は毎日王冠をできるだけスローに落として逃げた津村だけにここは積極的な逃げを打つとも思えない。
そして最大のライバルがキセキ。宝塚記念ではせっかくキセキがややスタート立ち遅れ、スティッフェリオはハナも取り切れたのに、この時音無センセイは「ハナには立たず、好位で折り合え。なるべく前に行け。」
という絶対的な指示があったゆえ、プレーキをかけざるを得なかった丸山元気。それでリズムを掴めず、想定したベスポジである絶好位もリスグラシューに譲り、4番手追走のまま見せ場なく7着だった。
それを見てオールカマーでは音無センセイは「逃げ」を開放。すべてジョッキーに任せるという選択。VTRの通りに上り34.0というド完璧な勝利となったワケで、この形がスティッフェリオにとっての「勝ちパターン」。それが確立できたのがオールカマーだった。
※無料ですので、未読の方は是非ご覧ください。
そしたら音無センセイったら…
今まで、ジョッキーにはゴチャゴチャ言わず「好きなように乗れ」と言ってきた。と、ひょうひょうと手のひら返し!
ウオッ!! あんなに宝塚でゴチャゴチャ言ってブレーキかけさせといて、一つ勝ったらこの放言。センセイ、いい師匠アピールすんなって!
と笑ってしまった。
あとは成長曲線頼み。仮にキセキの成長曲線が宝塚よりも横ばい、もしくは凱旋門ダメージによって下降に差し掛かっているのであれば、着実に成長曲線が上昇しているスティッフェリオはパフォーマンスが肉薄・いやクロスしての逆転も考えられる。キセキの鞍上ムーアも、テン乗りゆえ馬に対する信頼感は多くなく、また、その一流のプライドから玉砕逃げは打たないだろう。
ゆえに、丸山元気としては「ハナを取り切る」ことに拘ってもらいたい。スタートしての2F。一周目のホームストレートまでが勝負。ここで先頭に立っているとほぼほぼ隊列が決まり向こう正面までは流れは落ち着く。先頭には誰もがノーマークの◎スティッフェリオがいて、外からアエロリットが追走。そのすこし後ろに、キセキ、クロコスミアの外枠先行集団が固まって追走。
こうなると、そのもう一段後ろにいるアーモンドアイやリスグラシューは、目の前のキセキら3頭の先行集団をマークしながら競馬を進めているため、そのもっと前にいるスティッフェリオは誰もノーマークというか、前に3頭馬がいるため、見えにくくなっているのだ。
「先行各馬による有力馬のフタ」。
この完成こそが◎スティッフェリオが馬券圏内に入るための必要十分条件。この馬だけがミディアムペースで逃げ、フタをした先行各馬以下がスローペース。この状態で残り800を通過すればもうスペシャル魚群。脚が無くなってからのしぶとい伸びに持ち味のこの馬。もたせられるかもしれない。その時競馬場は悲鳴に包まれているだろう。
§21.レースイメージ(後半)
有馬記念は「ライン」で制すもの。
関東の若手ジョッキーにとって、G1の壁は非常に厚い。この有馬記念にも津村明秀、丸山元気、三浦コーセーと、関東所属の若手3名が騎乗するが、みな中央ではGI未勝利。特にカレンブーケドールでG1・2着が春秋3度もあった津村明秀。もう少しで手が届くところだったのに、ミルコに、北村友ーに、そして内からマーフィーに先着を奪われ涙。その壁の厚さをいたく痛感し、大変歯がゆい思いをしたことだろう。
その津村明秀は今回、アエロリットに騎乗するが、これでラストランでありいちばん距離適性のない馬。おまけに外枠引いて三重苦。この厳しい境遇は津村も解っているだろうし、毎日王冠でもスローでインディチャンプにビタッ併せて道中進めたことから、絶対にハイベースの暴走はなく、内から進める丸山元気騎乗のスティッフェリオの真後ろ、もしくは外から被せて、併せながら道中進めていくだろう。
津村明秀にとっても、同じ関東の若手として丸山元気はかわいい後輩。デムーロだのマーフィーにG1を持っていかれるくらいだったら、丸山元気に持って行ってもらいたいという心理は少なからずある筈。そういう意味でも、丸山元気にとってストレスのたまるような道中の進め方は、津村はしない。道中併せて走るアエロリットとスティッフェリオ。そのペースは乱れず、極めて一定のペースで流れる。
競輪でいうところの「関東ライン」の完成だ。
先頭で2頭併せながらで4コーナー~直線入口。スティッフェリオはまだ余力が残っていて手ごたえ絶好も、さすがに脚が怪しくなるアエロリット。
「俺はもうだめだ・・・。やることはやった。あとは頼んだ…」
そう腹を据えた津村明秀は、前を行く黒い帽子に向かって
「行け! 元気!!」
と最後の一押し。
それを受けた丸山元気は「よっしゃ!あざっす!」と、最後のスパートに。どんどん距離が開き、目の前のスティッフェリオが小さくなっていく画に、津村明秀は少しだけニやリとしながら脚のないアエロリットを無理なく流してゴールイン。
2016年の有馬記念。
サトノダイヤモンドとキタサンブラックの2強対決一騎打ちに湧いた年。その軍配はサトノダイヤモンドに上がったのだが、ここでの「助演男優賞」は向こう正面で先攻するキタサンブラックに執拗に絡み、プレッシャーを与え続けたサトノノブレスだった。サトノダイヤモンド単体のチカラも素晴らしかったが、決まり手はまさにこれ。千代の富士を優勝させるために、同部屋の北勝海がライバルの星を潰したように、「チーム池江」によるサトノ2頭の連係プレーが奏功した例があった。
もちろん今回は厩舎も馬主も違うゆえ、露骨なチームプレーはないだろうが、もともと勝負気配の薄いアエロリット。何か沸かせるとしたら、同じ関東の後輩・丸山元気の為にひと肌脱いだるアシストではないだろうか?
と、そんな、小生の無限大の妄想はどんどん広がってしまう。
欧陽菲菲ばりにキリがない。
これが小生がイメージしている今年のレース映像。
ド人気薄ゆえ通用するこの「奇策」を、マイステージ・中山で行える。マツリダゴッホの再来。そのためには津村明秀によるラインの形成と、丸山元気の「行き切る度胸」が必要であるが、今の丸山元気ならそれができると信じている。その源が、後述する「チーム根本」代表の誇り。
§22.根本3きょうだい
~成長曲線は馬だけではない~
根本厩舎には、丸山元気、野中穴太郎、そして藤田ナナコの3人の若手ジョッキーが所属している。この「根本3兄弟」でいわゆる長男なのが今回◎スティッフェリオに騎乗する丸山元気。
今年は、この3人が「好循環」したことで、それぞれがジョッキーとしてだけでなく、人間としてパワーアップしたこと。これが小生はとても嬉しく、前編で掲げた「2019年のピックアップトピックス」に掲げたかったことなのだが、前編ではネタバレになるのでそれは控えた。
特に、末っ子・藤田ナナコの活躍は、兄弟子二人を大きく刺激し、厩舎に相乗効果をもたらすことに。丸山元気はスティッフェリオやコントラチェックで重賞を勝ち、くすぶっていた野中穴太郎もデビューから4年間で通算30勝だけだったのが、今年だけで25勝の大活躍。
小生にとっては、あの9月の中山開催最終レース。野中穴太郎の
◎フクサンローズの150%ド完璧騎乗は忘れられない。ああいう騎乗ができるれば、ファンはついてくる。一流へのフラグとしては十分!
某インタビューでも、
野中:すごくがんばってますよ。ただ、最初はちょっとやりづらかったというか、落ち込みましたけど。菜七子のせいじゃないんですけど、最初からものすごく注目されてた分、『やばいな、俺終わっちゃうな』って、その時期は本気で病んでましたね。まだデビューして1年でしたし、その頃は菜七子の方が数も乗って、重賞とかも乗っててすごいなと思いつつ、自分は本当にやばいなって。菜七子は可愛い後輩なんですけど、環境的にキツかったです。
そんなネガティブシンキングの塊だった野中穴太郎が、兄弟子2人にイジられ、背中を押されて、今年躍進。
これぞ、チームの力。兄といもうとのチカラ。ヒューマンパワー。野中穴太郎も、来年はさらに力をつける事であろうことから、年明けから目か離せない。
藤田ナナコも重賞を獲った。
先日、カペラSを快勝し、この時、ナナコのケツを一番近くで眺めていたのは2着の丸山元気。もちろん変な意味はない。
丸山騎手(テーオージーニアス=2着)「菜七子がいなければ(苦笑い)。追走はきつかったけど、直線で外に出してから、よく伸びてくれました」
もちろんウイットに富んだジョークであるが、これがポンとでてくるところはかけがえのない仲間であるからこそ。
4年前、藤田ナナコについては、久しぶりのJRA女性ジョッキーとして話題が先行。普通に一人の可愛いオネェチャンが競馬の世界に殴り込みをかけているという、あくまで単体のイロモノ感覚で見ていて、それほど彼女単体に魅力は感じなかったと言うか、一連の「ナナコフィーバー」には特別乗らず、むしろ置いて行かれた感の方が強かったのだが、ここのところそれは一転した。
その背景にあるのが、2年連続ルーキージョッキーを引き受ける根本先生の懐の深さに始まり、丸山元気と野中穴太郎との兄弟子との関係があり、「チーム根本」の一員として、恵まれた環境のもとでグングン成長していること。これがジワジワと解り、周りの人間関係やバックボーンを知れば知るほど、藤田ナナコに対して、ただの色物・客寄せパンダとしての見方は一切しなくなっていた。
これ、どう表現すればよいのでしょう?
サクラ大戦のヒロインとして、そのあどけなさと一生懸命さを出しながらも可憐に戦う孤高の主役・さくらだけを見てあ~カワイイなぁと思うのではなく、大神一郎や米田長官などの、人間味あふれるスタッフや、ヒール役・神崎すみれにイビられながらも共に戦う同僚たちのいる「帝国歌劇団」の中で、さまざまな人間模様を経て強く・大きく成長していく主役の真宮寺さくらに魅力を感じていく。という感覚と言ってよいのでしょうか?
単体の藤田ナナコはそれほど興味はなかったけれど、「チーム根本」に囲まれている藤田ナナコを見るのが小生は好きであり、ここで初めて藤田ナナコに対しての魅力を感じているのかもしれない。4年越しのファン誕生といったところか。
そんな彼女の魅力が湧き出るのも、丸山元気の明るさや野中穴太郎のスッとぼけさ、そしてすっかり太って見た目もない面もすっかり「器が大きくなった」根本センセイに癒されて、ジョッキー人生が楽しめているからであろう。競馬とは、予想の有無に関わらず、ザッツ・ヒューマニズムである。
そして、二人の弟弟子をやさしく見つめる丸山元気も、今年29歳。
これまでは普通に数字だけみれば「一流と二流の間をさまよっている」状況であり、ジョッキーとしてはのらりくらり生きている部類。
しかし、この後輩2人が自分を兄弟子として慕ってくれるし、後輩たちに恥ずかしい振る舞いや騎乗はできないと自意識も高まる。この二人によってより自分が律して自分らしくいられるであろうことから、丸山元気は二人には感謝しているだろうし、今年の覚醒は起こるべくして起こったのかもしれない。
このように、三人が三人、それぞれの兄弟子・弟弟子たちの存在によって、人間としての成長曲線を確実に駆け上がっているのだ。
成長曲線を駆け上がるのは馬だけではなく、人もそう。
そして、人はその駆け上がるスピードが遅いだけに解りにくく、こうしてこんな成長の様子が垣間見れるのは馬に比べてレアであり、小生にとってはすごく嬉しい事象。
では、小生は教育者なのか?と言われるとそういうワケではなく、教育については自分の子供以外に責任のない素人。だからこそ、人が大きくなっている姿を見るのが好きなのかもしれない。これが責任が伴う商売でやっているなら、さぞかし重荷で苦痛もあるかもしれないから、小生は教育者には向いていないのだ。家で鼻歌歌いながらステーキを焼くのが好きな、調理に責任のないサラリーマン会社員みたいなものか。
人間として大きくなる姿を見つめるのが大好きなのは、自分の息子や娘だけではなく、他人でもそう。誰であっても見ていて気持ちがいい。ましては、我々が普段やっている馬券ジャンキーの世界は、人が最も人としてのモラルを全部捨てて、最低の人格になることが許される、ある意味格別の時間。自分さえ勝てればあとはどうでも良い「ミーイズム」の塊のような競技であり、こんなのに四半世紀もズブスブに浸っていると、普通、まともな人格は崩壊する。
しかし小生は、そんな危ない競技だからこそ、「こころの均衡」が何よりも大事であると考える。
予想にも絶えずヒューマニズムを盛り込んでいるのもそれが理由であるし、2006年に某SNSを始めてからは、競馬・馬券を通じて日本全国の同志たちと仲良くなろうともした。いや、正確に言えば大学の競馬ゼミの時からか?
常に人と人とのつながりを求めてここまで来たし、こういう根本3きょうだいのようなヒューマニズムを見ると大きく心が揺れ動く。そして、人としてまだ正常であることをこうして認識することで、馬券ジャンキーでありながらもまだ一定の清い心を持てている「いち人間」であることの「生存確認」を随時行っているのだ。これは、馬券ジャンキーであればあるほど、重要な確認ルーチンであるといつも考えている。何故なら、人としての清い心を失うと、馬券もおのずと地に足がつかなくなっているからだ。
話は丸山元気に戻って、そんな彼が、先月、タートピッ!のカワイイ姉ちゃんと結婚を決めたワケで。そんな丸山元気が、夜も元気に嫁さんのいろんなトコロをタートピッ!しているかと思うとなんか腹が立ってくるなぁ。って何書いてるかよくわがんねぇや。
その年の有馬記念。スティッフェリオで初参加だって。そりゃあ、「ここでやらなきゃ男が廃る」でしょ? あの結婚発表の後の土日競馬。鬼のように勝ちまくっていたあのパフォーマンスは忘れない。丸山元気は、プライベートをエネルギーに変えられる男であることを証明済み。
有馬記念は人生初騎乗。関東のジョッキーゆえ、有馬記念ウィークはほぼほぼ中山で騎乗してであろうが、デビュー11年目。ついに、指を咥えてグランプリを見ている側から、乗る側に。これは関東のジョッキーにとっては格別であり、夢の一つであろう。
そんなレースに、堂々とスティッフェリオで乗れる。可愛い弟弟子たちに刺激を受け、可愛い嫁さんがいて、毎日明るく楽しく厳しく競馬して、関東リーディング4位。そんな彼がついに「チーム根本」を代表して有馬記念に初騎乗。
「穴太郎! ナナコ! よく見てろよ! これがアンチャンの有馬だぞ!」
もうこれだけでご飯3杯はイケる。のりたまも納豆も要らない。
基本的に小生は「ベタ」な話が好きなのだ。勧善懲悪水戸黄門は大歓迎。観るドラマに難しいひねりはそんなに要らない。きれいな嫁さんもらった丸山元気にご祝儀馬券。そんな簡単な理屈も難なく受け入れようぞ。
この有馬記念は、ここ10年の一連の国際化によってすっかり殺伐化してしまった狭いムラ社会に、一筋の光明を灯すべく、昔ながらの泥臭くて古臭い、師弟愛、兄弟愛が実を結ぶ有馬記念であってもらいたいと切望している。昭和が平成になり、そして令和になっても物事の本質はいつも一緒。馬が人を育て、人が人を育てる。乗るも育てるも「馬5人5」こそ、もともとの競馬サークルのありし姿であり、同時に取り戻すべき姿なのではないだろうか。
§23.結論
枠順も文句なしの150点。他の逃げ馬はみんな外。◎スティッフェリオだけ内。何度やってももうこの並びにはならないだろう。単勝万馬券? ぜんっぜん怯まない。むしろこんな人気に◎を打ててレースを迎えられることが気持ちいい。頼むからこのまま最後まで人気薄であってほしいくらいだ。
って、ジワジワ売れてきてるんだよなぁ。
今日の土曜中山メイン・グレイトフルSの逃げ切り勝ちは見事だった! 満点の壮行会! あれをもう一回明日やればいいだけ!
◎④スティッフェリオ
○②スワーヴリチャード
▲⑩サートゥルナーリア
△③⑥⑦⑨⑭
単勝・複勝 ④
馬単・馬連・3連単マルチ ④-②③⑥⑦⑨⑩⑭
ワイド ②-④ ④-⑩
§24.おわりに
以上、丸一週間で三部作・43000文字(史上最多)にわたる今年の小生の有馬記念予想コラム、これにておしまいです。最後までお読みいただきありがとうございました。
いかがでしたでしょうか? 年末の風物詩。
初めての方、もう13回目の方、何か感じるものはありましたでしょうか?
特に今年は、あんな「平成最大のピンチ」もあって、書きなぐりに書きまして、来年同じものをもう一回書けと言われるとムリですし、当面は「もう書くのはいいや…」といったセックスが終わったかのような虚脱感に溢れています。あ、読者の方は飽満感ですかね…。
できればではありますが、是非、Twitterにて読み終えた感想や批判等、簡単でいいのでいただきたいところです。それが小生にとって何よりの清涼剤でありクールダウンになります。レスは難しいかもしれませんが、ひとつ受け止め、かみしめたいと思います。
(ただし、印に関する発言は一切お控えください。)
毎年の事ですが、もうこのコラムを完遂しただけで、実は小生の有馬記念はもう終わっている、そんな感覚であり、いま心地よい疲れにいます。やることはすべてやった。あとは、結果はどうあれ楽しくグランプリを観戦する。そうやって見る有馬記念は、無事年を越せる、年に一度の「悦楽」の時間でもあります。
あ、でも今年からは立場も違うワケで、いまから日曜の全レースを予想して、ムムッ!?と来たレースは北斗殿と摺り合わせをして発表しないとね。
読者の皆様を幸せにするために!!
幸せのロォォォォォォン!!をお届けするのが小生たちの仕事!!
さあ、日曜の予想しますよっ!!
「生きていること」 それは 人として輝いていること
「死んだように生きている」 それは 「生きていること」ではない
僕らが 気付かないうちに 「時」は 「生きている」人を
「死んだように生きている」人に させてしまう
「祭り」のように 血沸き肉踊りながら 毎日を鼓舞せよ!
今日という日は 残りの人生の最初の日
限られた残りの人生 流れる「時」に大きく逆い 毎日を鼓舞せよ!
たとえ疲れたって そこで流した汗は すべて報われるから
「時」に逆い ひたすらに輝き 鼓舞し続けことが 「祭り」だとしたら
「生きていること」が 「祭り」…
さあ! 明日の「祭り」に向けて 舞台は整った! ムードも最高潮! 弾もまだある! 2019年悔いのない馬券に、魂込めて出撃!!
2019有馬記念・コラム予想
「がんごおやじの店じまい」
~ 終 ~
皆様、よい有馬記念を。
※予想に関するクレームは一切受け付けません。 ※馬券は自己責任でお願いします。 ※みなさんが寝たり遊んだりテレビ見たりしている時間を割いて予想しています。その対価として料金をいただいております。 ※的中率よりも回収率重視になります。 ※予想の転載・転売は一切禁止致します。