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不動産会社の、不動産投資が節税となるという解説ページは、大なり小なりどこかしら不正確である件
前回、不動産投資を勧める会社の広告がかなり不正確であることを指摘しました。
その際「不動産 節税」といった感じで検索したところ、不動産会社が不動産投資は節税になる旨の記事をupしているのはともかく、よく見るとどこもその記事に間違いや不正確なところが含まれているということに気づきました。
今回は、そういった記事を会社名は挙げないまでもスクリーンショットしたものをあげつらって、もって正しい知識を広めたいと思います。あまり感じの良いものではないですが。
例1:住民税率(記述が誤り)
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税金一般について説明している記事です。不動産には所得税、住民税、固定資産税…と関わってきますが、そのうち住民税についての説明です。
Q住民税とは?
A所得税と同様に、給与額に応じて税率が変動する税金です
→住民税の税率は固定です(一律10%)。税率自体は変動しません。
あんまり堂々と書かれるので、あれ、そうだったっけと一瞬思ってしまいますが、住民税率はどんなに所得が高くても10%で変わりありません。
例2:青色申告特別控除(記述が不正確)
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青色申告の場合は、…最大で65万円という「青色申告特別控除」を受けることが可能です。
→最大で65万円の青色申告特別控除は、不動産貸付けが事業として行われている場合、という重要な要件が抜けています。事業として行われている場合(事業的規模)とは、いわゆる5棟10室基準です。
よくありそうなワンルームマンションを1つだけ持っているという場合では、青色申告特別控除は最大65万円にはなりません。10万円までです。
もしかしたら、この不動産会社で扱う物件は全て事業的規模に当たるのかもしれませんが、不正確な記述です。
例3:相続税の評価額(記述が不正確)
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不動産の場合は時価で評価され、具体的には国税庁が発表している「路線価」を使います。
→「不動産」は全て「路線価」ではないです。
「路線価」を使うのは、不動産のうち土地の、路線価が定められている地域のみです。建物には路線価は使いません。
ちなみに、土地であっても路線価が定められていない地域も(田舎に行くほど)あり、そういった地域は固定資産税評価額を基準として評価します。(倍率地域)。ただ、この不動産会社が扱う地域の物件は全て路線価が設定されているのでしょう。
この手の記事は量が優先される傾向にあるので、書き手もどこぞの記事を参照にして書いているのでしょうが、元の記事が不正確で、参照して書かれた記事が不正確で、その記事を参照したものが不正確で…と続いていくんだと思います。Webの負の側面です。
本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。