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自分の確定申告を振り返る~税理士自身の確定申告~②事業所得編
わたし(税理士)自身の確定申告のうち、事業所得の計算について書きます。新規に開業された方のヒントがあるやもしれません。
(1)前提とか
・2021年11月1日に開業(自宅兼事務所:外に事務所を借りていない)
・(税理士なので当然)青色申告 電子申告するので65万控除
・普段の会計ソフトはfreee(でも申告は国税庁確定申告コーナー)
(2)収入と経費の概要
収入:
独立前から決まっていた、というか関与していたとある報告書を書く仕事(ネットで探せばそのうち出てきます)があり、これが、辞める前の給与2カ月分+賞与ちょっとぐらいはあった。
経費:
士業で、自宅開業というミニマムなスタートなので、必要なモノはそれこそノートパソコンくらいなもの。そのため経費の主たるものは、
・主にノートパソコンの減価償却費
・税理士会及び公認会計士協会の会費
・専門書等の書籍といった新聞図書費
・方々に開業の挨拶に行った際の手土産としての接待交際費
・群馬県庁32階コワーキングスペースNetsugenの月額会費1万円×2
・その他諸々
くらいです。
税理士なので、会計・申告ソフトが必要になるのですが、2021年時点では申告の必要がなかったので、会計・申告ソフトを買っておらず、その経費はありません。(freeeの認定アドバイザーになるための拠出金(会費)のみ)
(3)基本戦略~翌期に回せる経費は翌期に回す~
はい、ここ重要です。
わたしは開業初年度で、年の途中11月という、個人の事業年度は2か月しかありません。一方、青色申告特別控除65万円(電子申告しているため65万円)は、月割按分という概念がありません。つまり1月だろうと12月だろうと、その年のいつ開業しようが65万円控除があるわけです。(制度上のちょっとしたバグだと思う)
青色申告特別控除というのは、会計をきちんとしていることの特典として、実際に支出していなくとも(計算上の)経費にできるというものです。普通、経費というのはお金が出ていくからこそ経費なのですが、青色申告特別控除はお金が出ていかないけれど経費的な扱いになります。
で、わたしの場合は開業初年度は2か月しかないのにこの65万円がフルに使える。経費のボーナス的なもの(言い方がヘンな感じですが)があるわけです。
なので、初年度にドーンと経費を計上することはない。むしろ、翌期に経費を回して所得を平準化した方が、節税という観点からはいいわけです。下記参照記事。
ただ、これは翌(2022)年度にある程度所得が見込まれる(見込む)という前提で成り立つ話なので、この2022年度に大して稼げなければ、2021年度に必要経費にした方が良かったねという結果になります。不確実性がある中での選択です。
ともかく、経費にできるものは経費にする!というのが節税とは限らないということは、みなさんも心に留めておいた方が良いかと思います。
(4)具体策
(ⅰ)少額減価償却資産の特例を使わない
青色申告なので、30万円未満の減価償却資産をその期の経費にできる特例があります。今回、ノートパソコン(20万円弱)についてはこれが使えるわけですが敢えて使わず、一括償却資産としました。
もっといえば、器具備品として通常の固定資産として計上しようとすればできるわけです。ノートパソコンの耐用年数は4年の定額法(個人であるため法定は定額法)なので、それで償却していった方がより当期(2021年)の経費は少なくなります。
そして、一括償却資産の償却費は、個人事業主の場合は月割しませんが、通常の固定資産の減価償却費は月割されます。
それなので、経費を翌期に回すことを追求するならば、固定資産に計上すべき、ということになるのですが、実際問題事業用のノートパソコンを4年使うことはない(断言)ので、ここで公認会計士としてのマインドが働き、実際に使用を見込む3年が償却期間となる一括償却資産としました。
でも、固定資産に計上しても良かったな。。
(ⅱ)2022.03.07記事修正 この項削除
(ⅲ)月割できるものは月割にする
freeeへの会費的なものは1年間まとめての支払、税理士会、公認会計士協会については下期(10月からの半年)分まとめての支払、となっています。
これらについては支払時に必要経費としても良く、多くの人は(無意識的に)そうしているかと思いますが、これを今回、月割としました。公認会計士的マインドでは月割にすべきですし。
(5)他、家事按分等
(ⅰ)家賃
自宅兼事務所で、自宅(借家)にちょうど良い書斎としての一室がもともとあったので、それを仕事部屋としています。これを面積按分して、全体の1/10くらいなので、家賃の1/10が必要経費。
(ⅱ)通信費
自分のスマホは支払額の約半分の2,500円/月
自宅のWifi代は妻が払ってますが、その支払額の半分の8割くらいで2,000円/月(同居家族が支払っていても必要経費になります)
(ⅲ)光熱水費
水道代は追加的コストはほぼゼロなので未計上。
電気代は追加的コストがあるっちゃあるでしょうが、僅少なので未計上。
唯一、石油ストーブを使っているのでこの灯油代は計上。
(ⅳ)車両費
事業専用のクルマは持ってません。事業専用として別にクルマを持つのは個人の趣向ですが…要らないな。
ガソリン代は、実際(地図上)走行距離×L当たりガソリン代を別途計算。
車両本体の整備費は発生しなかったものの、年間走行距離に占める事業利用分は少ないので、車検代とかは、経費に入れるとしても僅かだろうなぁ。
一週間7日のうち平日5日は結局事業で使っているわけだから、5/7は必要経費っていう考えも、ないではないんでしょうが、ちょっとやりすぎ感があります。基本的には走行距離ベースあるいは走行距離と日数の折衷。
ほか、プリンタを家族がちょこっとつかうことがあったりするけど、ちょこっとなんで、全部必要経費。そんなとこですかね。
はい、自分ごとって結構書けちゃうものなので、長くなりました。
本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。