直系尊属から住宅取得等資金の贈与(住宅資金贈与)は年をまたいで受けた場合にも適用できる
個人的にも最近強い興味関心が出てきたので、しばらくの間、住宅取得に関する税金についてあれやこれやと書いていきたいと思います。まずは表題の、住宅資金贈与が年をまたぎ2年にわたって受けた場合についてです。
住宅取得資金等の贈与とは
とりあえず国税庁のタックスアンサーのリンクを貼っておきます。「住宅 贈与」とかで検索するといろいろ出て来ますが、最新の情報であるかどうかはよく確認してください。特に、今年2022年から制度が変わっています。
・1月1日現在で18歳以上の者が(令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」)
・直系尊属(配偶者の親つまり義両親はダメで、実の祖父母はOK)から
・住宅取得資金として(既に借入れしている住宅ローン返済に充ててはダメ)
・金銭の贈与を受けた(住宅や土地そのものの贈与はダメ)
場合
・最大1,000万円は贈与税がかからない(※1)
というものです。
親から1,000万円のお金を単にもらった場合、贈与税が177万円(※2)かかりますが、住宅取得資金として贈与税の申告書を出せば、それがゼロになります。
(※1)2022年以降の贈与。あれ、もっと多くなかったっけ?と感じるのは正解で、2020年までは最大3,000万円で、2021年までは最大1,500万円でした。2022年になって枠は小さくなりました。
(※2)(1,000-110)×30%-90=177万円
贈与が年をまたいだ場合
本題です。
・まず、土地を取得した後に家を建てる場合
・特に注文住宅で支払タイミングが何回かに分かれる場合
というように、住宅購入資金を支払うタイミングは、往々にして数カ月に亘ります。
例えば、総額2,500万円かけて家を建てるという場合その建築代金を
2022(令和4)年11月 着工時 500万円
2023(令和5)年 1月 上棟時 1,000万円
2023(令和5)年 4月 完成時 1,000万円
というふうに支払ったとします。
実際にこんな感じになるかはともかくとして、あくまでもわかりやすい例として。
また、2023年3月15日時点で「新築の工事の完了に準ずる状態」となっているとします。
そして、共有名義の住宅ではなく、単独名義の住宅とします。
このとき
1,000万円を自分の親からの贈与
1,500万円を住宅ローン
でまかなうとします。少しでも利息負担を軽くすべく、より早く必要となる資金に、親からの贈与を充てます。
このとき
2022年に500万円の贈与
2023年に500万円の贈与
と年をまたいで贈与を受けることとなりますが、
この場合にも、贈与税は非課税となります。
実際はこういう申告はあまりないとは思う
上記の例はあえて年をわけて贈与を受けていますが、別に2022年中に1,000万円の贈与を受けてしまってもいいわけです。2022年末時点ではそのうち500万円は使い、500万円残っていることになりますが、翌2023年3月15日時点で建築(または新築の工事の完了に準ずる状態)になっていれば問題ありません。
申告はそれぞれの年分で行う
先の例でいうと
2022(令和4)年分として贈与税の申告(令和5年3月15日期限)を行い
2023(令和5)年分としても贈与税の申告(令和6年3月15日期限)を行います
家が完成して住みだしたのが2023年だからと、令和5年分の申告でまとめて1,000万円もらったという申告をすればいいわけではありません。
限度額は合わせて最高1,000万円
住宅取得資金の贈与の枠が1,000万円あるということです。
年を分けて2年かけて贈与を受ければ1,000万円×2年=2,000万円まで非課税になる…わけはありません。
複数人からもらっても、もらう額が1,000万円まで
贈与税全般にたまに勘違いをされますが、贈与税は、もらった人(受贈者)に対して、もらった額(受贈額)にかかります。
お金をあげた人があげた額に対してかかるものではありません。
住宅取得資金でいえば、
父方祖父と、母方祖父、双方からそれぞれ1,000万円、計2,000万円もらったとしても、非課税になるのは1,000万円です。
贈与のタイミングはよく考えた方が良い
今回は贈与が2年にわたった場合でしたが、贈与のタイミングによっては非課税にならないこともあり得ますので、次回は、贈与のタイミングについての記事にしたいと思います。
本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。