県外出身者が選ぶ、群馬の珍地名三選
妻の実家のある群馬県前橋市に越してきてはや9年近くとなりました。
いまではすっかり上毛かるたの札の半分くらいは思い浮かぶようになり、語尾がそれっぽくなり、とはいえ11以降数えるときはイントネーションが独特にはならず、いちごは→↑→ではなく→→→の平板発音です。
それはともかく、全国各地に珍しい地名というのはあり、群馬とて例外ではありません。そこで、すっかりなじんでいますが、改めてみると確かに珍しいだろうな、というところを3点選びました。
大字・小字まで含めると相当な量になるので、とりあえず町名ベースの範囲内としました。なお、いうまでもなくわたしの主観です。
では
・笂井町(うつぼいまち:前橋市)
前橋市の50号を東に行って善衆会病院があってその南側に広がる一帯。
前橋市立笂井小学校もある。
珍地名でもあるし、難読地名でもありましょう。初見で笂を「うつぼ」とは読めまい。
初めてこの地名に触れたのは、クルマを買おうといくつかディーラーをめぐっていたら、そのうちの一つが笂井町に店を構えていたことがきっかけとなっており、クルマよりも地名の方がわりと強く印象に残っています。
Wikipediaを見ると
「木瀬村誌」によれば、上野国の守護、山内上杉氏所領目録『上州之内持分之事』(桐生市彦部家文書)に、「大胡庄之内」として宇坪井村の名がみえる。
室町時代頃からある地名である。江戸時代になると前橋藩領だった。
とあるので、もとは宇坪井だったのが、いつのころか笂井と笂の字を当てるようになったようです。いつからそうなったかはちょっとググったぐらいでは不明。
ちなみに「笂」とは、矢を入れて身に付ける竹製の筒のことです。さすがに海にいる魚ではないです。
・板鼻(いたはな:安中市)
中山道の主要な宿場町であり、また、一時江戸幕府の藩も置かれた、重要な地名。
交通情報でもおなじみなのですっかり板についた地名ですが、あたらめてみるとなかなかのインパクト。だって板に鼻ですよ。
板鼻というくらいだから、むかーしむかしの戦が日常茶飯事の時代に敵集を打ち取ったしるしに鼻を切り取って板に並べたのがその名の由来・・・かと思いきや、安中市のホームページには市内の地名の由来を紹介したようなものがなさそうで、「板鼻 地名 由来」で検索してもこれといったものは出てこず。
なので推測するに、板鼻は板に人間の鼻ではなく、突き出た岩場(断崖絶壁のようになっている岩場)をして「鼻」と呼ぶので、安中市板鼻もこちらでしょう。板のようにつきだした岩が付近にあったから、というのが穏当な解釈だと思います。
実際、安中市と高崎市の境は碓氷川に向かって山・丘が迫ってきていて若干狭隘となっており、碓氷川で隔てた高崎市側には「鼻高」という地名が見えます。
○○鼻という地名は海辺を中心に日本各地にあって特段珍しくもないので、そのカテゴリーで見たら、そのうちの一つに埋もれてしまうものかもしれません。
・鼻毛石町(はなげいしまち:前橋市)
最後はこれ。文句はないはず。前橋市のなかで旧宮城村の主要部がこの地域。当記事のタイトル画像(写真)は、この鼻毛石町にある宮城総合運動公園内にある大型遊具「たけのこタワー」を撮ったものです。
わりと最近(2021年6月28日付)で朝日新聞がこの地名を記事にしており、現時点では全文読めるので詳細はそちらに譲ります。
地元小中学生だと、この地名を揶揄う、というのは前橋小中学生あるある、なのかな。。
以上、結果的に自分の住んでいるところ周辺となりました。もしかしたら自分はあまり行ったことのない東毛地域にもっとあるかもしれません。
なお、この記事は(も) 埼玉県上尾市上尾村生まれ(育ったのは隣の伊奈町)の者がお伝えしました。