贈与税のハナシ その2~よくある誤解~
昨日に引き続き贈与税のハナシをします。
巷にみられる、よくされていそうな誤解をとりあげます。
問
2020年に20歳の成人を迎えたAさんは、2021年になって父方の祖父マサさんから510万円を、母方の祖父シゲさんから160万円をもらいました。さて、Aさんの2021年度の贈与税の額はいくらでしょうか。
この場合の贈与税率は以下の通りです。
(Aさんは2021年1月1日現在において20歳以上であり、直系尊属である祖父からの贈与なので特例税率を用います)
基礎控除後の課税価額が
200万円以下…10%
400万円以下…15% 控除額10万円
600万円以下…20% 控除額30万円
また、贈与税には基礎控除があって110万円までは贈与税がかからないということはわりとよく知られているかと思います。
さあここで考えられるパターンとしては3つあるかと思います
〇パターン1
・マサさんからの分
510万円-110万円=400万円
400万円×15%-10万円=50万円
・シゲさんからの分
160万円-110万円=50万円
50万円×10%=5万円
合わせて55万円
〇パターン2
パターン1だと基礎控除110万円を2回使っていることになる、それはオカシイ!こうなるはずだ。
・マサさんからの分
510万円-110万円=400万円
400万円×15%-10万円=50万円
・シゲさんからの分
160万円×10%=16万円
合わせて66万円
〇パターン3
マサさんからの分+シゲさんからの分
510万円+160万円=670万円
670万円-110万円=560万円 (基礎控除額を控除)
560万円×20%-30万円=82万円
・・・正解は、パターン3の82万円です。
ついつい、パターン1やパターン2のように、この人からいくらもらって、あの人からいくらもらって…という思考になりがちですが、あくまでも、暦年の1年間でその人が総額でいくらもらったかが基準になります。
上の例で挙げた特例税率と、そうではない一般税率があるので、たとえば親からもらったものと、配偶者からもらったものがある、といった場合、税額計算はちょっと複雑になりますが、ともかく、あげた人基準ではなく、もらった人基準となります。
今日は、通常の文章に数式が出てきたので、読み進めるのがちょっと嫌になってしまったかもしれません。いつかもう少し、図式化したものを作りたいな、と思います。(また、自分自身への宿題が増えた…)
本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。