愛しきメギド72へ
2024年11月28日。それは月イチの情報番組「アジトTV」でのことだった。
12月7日をもって「メギド72」はサービス開始から7周年を迎えること。
そして、残り2回の更新でメインストーリーが完結すること(※これを書いている時点では残り1回)、2025年3月9日午後7時2分をもってオンライン版の更新が終了することが告知された。
平たく言えば、サ終が決定したのだ。
メギド72をご存知ない方のために簡単に説明すると、メギド72はメディア・ビジョンが開発しDeNAが運営するスマホ向けRPGゲームだ。スマホゲームながら歯ごたえのある独自の戦闘システムと骨太なシナリオが大きな魅力としてよく挙げられている。めちゃくちゃざっくりストーリーを説明すると、それぞれに人間と悪魔と天使が存在する3つの世界があり、悪魔の世界は人間の世界を侵略しようとしている。さまざまな事情で悪魔の世界を追放され、人間に転生した悪魔たちは生まれ故郷に反旗を翻し、人間の世界を守る戦いを繰り広げていく。王道ファンタジーのなりをしているが、自己の定義をはじめ肉体改造や精神性の侵略等、SFあるいはサイバーパンク的な要素も多く含まれている。
わたしにとってメギド72は、6年半ずっと遊び続けてきた、もはや生活の一部だ。
更新終了の報せを受けて、当然どうしようもない寂しさに襲われた。毎週楽しみに見ているテレビドラマも全く頭に入ってこなかった。この歳になってこんなに泣くかよってくらいめちゃくちゃ泣いた。
サービス開始から1年とか、もっと短いと数ヶ月で終了してしまうタイトルが多くある中で、7.2年は非常に長寿であると言える。しかも新規IPで、他作品とのコラボも一切無しに、だ。
昨今のソシャゲにおいては異質なスタンスで7年超という長い時間を駆け抜け、しかもストーリーを完結させて終わる。
さらに更新終了後は、事前にデータを一括ダウンロードしておけばほとんど全ての要素をそのまま遊べるオフライン版を残してくれるのだという。
こんな幕引きを迎えられるタイトルはそう多くない。
数々の幸運と、大きな愛に恵まれたタイトルであることは間違いない。
願ってもない大団円だ——
……と言いたいところだが、リアルタイムでこのゲームを遊び続けている人間の肌感覚としては、決して完全無欠の大団円と言えるものではないことも察しがつく。(※あくまでいちプレイヤーの想像であることにご留意ください。)
月に一度開催されていた新規イベントに配布メギドの報酬がなくなり、やがて新規のイベント開催自体が減っていき、シリーズ物のイベントは打ち切り同然に突然終わった。メインストーリーでの新規メギド加入もなくなり、配布メギドは72体で打ち止めに(全実装メギドが272体であることを考えると、これでも相当すごい数だが)。一時期はほとんど毎月行われていた衣装の新規販売も徐々に実装数が減り、やがてなくなり、召喚(ガチャ)での新規メギド実装ペースも徐々に落ちて最後には半年に一体になった。実装が予定されていたであろうメギドも、少なくとも2体が未実装のままだ。
少しずつ緩やかに、しかし着実に規模を縮小していくのが感覚としてわかっていた。
一方でメインストーリーの月1更新はクオリティを落とすことなく続いていたし、過去イベントの常設化や細かなUIの改善、既存メギドの強化、やり込み要素の追加といった改修はコンスタントに続いていた。
色々なものを諦めて切り離して、やむを得ず荷物を降ろしながら、それでも一番大事なものを離してしまわないようにしっかりと抱きかかえながら、ゴールへ向かって水面ギリギリを飛び続ける飛行機のようだと思っていた。
メギド72のことが大好きで72年続いてほしいと願っている一方で、「どうしてこの飛行機はまだ飛べるんだろう」と心のどこかで思っていたのはきっとわたしだけではないはずだ。
強調しておくが、断じて終わってほしいと願っていたわけではない。7億とんで2年続けと今この瞬間ですら思っている。
それでも続いていることを不思議に思ってしまうほどに、メギド72はソシャゲのセオリーから外れた立ち位置にいる(ように見える)ゲームだったのだ。
だからこれは単なる大団円ではない。
メギド72は、長く険しい冒険の旅を終えるのだ。
メギド72だけが辿り着いた結末を携えて。
わたしはいちプレイヤーに過ぎないのですべて私個人の勝手な感情でしかないのだが、それでも心の底から誇らしいし、ここまで連れてきてくれたことに感謝したいと思う。
ありがとう、おつかれさま……だけどやっぱり寂しい。
そんないくつもの心が、気持ちが、あの日からずーっとぐるぐると堂々巡りしている。
ていうか、寂しがるにはまだ早いんだよ。
だってまだ終わってないから!
新年明ければ、最後のメギドナイトフィーバー(※レイドバトル的なもの。通信前提のモードのため、オフライン版では残念ながら実装されない)が開催される。そこから間を置かず、1月16日にはメインストーリーの最終話が更新されるし、その後、エピローグイベントも控えているらしいし。
それでも思いを馳せずにはいられない。こんなとりとめも読ませる気もない記事を書かずにはいられない。
この先、メギド72以上に夢中になれるスマホゲームには出会えないと思う。
これは推しを持ち上げたいというより(そういう気持ちもないとは言えないが)、あくまでメギド72の持つ特色が、わたしの個人的な好みと奇跡とも呼べるレベルで噛み合ってしまったがゆえだ。
つまりメギド72が、
縦持ちのスマホゲームで、
複雑なアクションや反射神経を要求されないターン制RPGで、
ゲームシステムは奥が深くずっと遊べるもので、
シナリオがめちゃめちゃ好みで面白くて、
フォントサイズが大きめで、
フルボイスじゃなくてパートボイス方式で、
絵柄に平成ファンタジー的な個性があって、
老若男女に犬と猫といったあらゆる属性のキャラクターがプレイアブルで、
それぞれ必ずどこかで活躍できるゲームバランスが保たれていて、
衣装や別バージョンがキャラ人気によらずできる限り平等に実装されて、
音楽が素晴らしくて、
真面目なものから意味不明なものまでキャラソンも多数あって、
周回要素はできるだけ簡易化されていて、
ソーシャルな要素がほとんどなくて、
大仰な端末スペックを求められない、
自分のペースで長く遊べるゲームだったから。
もしこれらすべてを満たす別のゲームが現れて、わたしがそれを好きになっても、やっぱり代わりにはならないだろう。7年の愛は重すぎる。
それはそれ、これはこれなのだ。メギド72のいた席に別のなにかが座ることは絶対にないと断言できる。
始めた旅はいつか終わる。
7.2年をかけて紡がれた冒険も、ついに完結を迎える。
だけど終わったからって消えてなくなったりはしない。
オフライン版のために自分ができる限りの良い環境を用意した。
好きなグッズやコンサートの円盤、サントラだって手元にある。
出ると決まったわけじゃないが、アートブックやシナリオブックの制作も前向きに検討されているらしい。
それでも遠い未来、これらすべてが消え果ててしまったとしても。
メギド72と過ごした冒険の日々は、メギド72がくれた感動は、決してなくならない。
720年後も、きっと誰かがメギド72のことを覚えている。
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Q.サ終するんでしょ?
A.あらかじめデータを一括ダウンロードしておけば、メインストーリーをはじめほとんどすべての要素をそのまま遊べるオフライン版に移行できるよ!
むしろ今こそがハジメドキなんだ!!
とりあえず入れといて、気が向いたら遊んでみてください。
いじょうです。