自叙伝「#車いすの暴れん坊」#21 2度付き合った彼女との別れ
事故のときに付き合っていた彼女とは、別府に来てから段々と会わなくなった。そんなとき、高校のときに付き合っていた彼女から病院に電話があった。
「もしもし、お母さんから聞いたんやけど、事故に遭って入院しとるって」
「ああ、身体全然動かんけどなんとか車いすに乗れるようになったわ」
「今度、見舞いに行ってもいい」
「ああ、いいよ」
それから彼女は毎週、休みの度に福岡から農協リハに見舞いに来るようになった。
高校生のときにはひとつ下で可愛らしかった彼女が26歳、もう大人の女性へと変わっていた。F1が好きらしく、よく鈴鹿にレースを観に行くと言っていた。デートと言っても付添いさん付き、慣れてくると付添いさんなしで、ふたりで外泊したこともあった。
パチンコしたり飯食ったり、酒飲んだり。ただ、問題があった。彼女のお母さ んは看護師さんで、俺の状態をお母さんに話したら、もちろん付き合うことには猛反対。
「あなた相手の人がそんな状態で、将来どれだけ苦労するか分かっているの」
と。まあ、よくある話だ。
たまに電話がかかってくると泣いている。お母さんが分かってくれないとのこと。それはしょうがないよなと言いながら、でもたぶん不安だらけだったんだろう。
あるとき、なんの拍子だったか忘れたが、
「お前、俺と別れた方が幸せになれるんじゃないか。どうしていいか分からないと言いながら電話をかけて来るということは、やっぱり俺と別れたいという気持ちもどこかにあるんじゃない」
と、口から出てしまった。
散々、電話で泣いた挙句、分かったと言って電話が切れた。2、 3日経って、なんであんなことを言ってしまったのだろうと思った。もちろん彼女が 幸せになってほしいというのは本音だ。
でもやっぱりいなくなるのは寂しい。自分か ら電話していた。
「もしもし。この前勢いであんなことを言ったけど、やっぱりお前のことが好きや」
その言葉は、あのときに言ってほしかった。もう私はあなたと別れることを決めたという。
そして彼女とは終わった。
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