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重力の大きい大企業で、プロジェクトを周回軌道の外まで飛ばすには?

こんにちは。米川(@yoneshi0320)です。

いま、とある大企業の人事に週1−2日、従事しています。
今回はそこで議論した、「思いもよらない成果を実現するために必要な、プロジェクトの考え方」をお伝えします。

概要

・海の外に行くには飛行機。空の外に行くにはロケット
・重力が大きい、大企業
・周回軌道を突破する秘訣と留意点2つ
 1)徹底的に尖る。でも到達した景色を共有する義務がある
 2)加速装置をつける。でも初期に全部を使わない

その乗り物は、どこまで行けるか?

あなたがアメリカに行きたい場合、よほどのクルーズ・マニアで無い限り、飛行機を選ぶはずです。

しかし、壮大な到達点。たとえば「宇宙」まで行きたい場合、そもそも乗り物が違います。
飛行機は大気圏ギリギリまでは行けても、突破はできません。

少し前はスペースシャトル、現在はロケットが、宇宙への道です。

そしてロケットは唯一、地球の周回軌道を外れ、宇宙空間を自由自在に※移動することができます。
※宇宙は「光速(=1秒で地球を7周半)で1兆年の距離」とか平気である場所です。その前提でご覧下さい。

大企業は重力が大きい

「物体Aの質量が大きければ大きいほど、物体Bを引きつける力が強くなる」=万有引力
アイザック・ニュートン

物体を企業に置きかえれば、大企業であるほど、個人や組織の意見を地表に引きつける力=重力 が大きいのは、自明です。

気がつけば大気圏を超えられず、仮に大気圏を抜けたとしても、速度が足りなければ衛星として、周回軌道上に留まり楕円運動を繰り替えす。

前職も含め、そんなプロジェクトを多く見てきました。

決してそれ自体を否定するつもりはなく、地球の資源が豊富で安全なときには、飛行機で優雅に移動するのが求められます。

しかし、資源の枯渇が叫ばれ始め、思いもよらない成果を求められる。
つまりプロジェクトとして「周回軌道外」に飛び出したい場合に向けて、2つのポイントと留意点をご紹介します。

ポイント1)徹底的に尖(とが)る
 留意点1)到達したあかつきを共有する

ポイント2)加速装置をつける
 留意点2)初期に全部を使わない

ポイント1)徹底的に尖(とが)る

 重力を振り切り周回軌道圏外に出るには、第二宇宙速度=秒速11.2Km 以上を実現しなければなりません。
国内最速新幹線「はやぶさ」は秒速約0.088Km。その127倍以上です。

そのためロケットは、限りなく空気抵抗を減らすのに文字通り、尖って(とがって)います。

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また、内部もネジ一本にいたるまで、その時代の最軽量かつ強度を満たすパーツで構成されています。

プロジェクトを思いもよらない成果まで到達させるには、まず第二宇宙速度を実現するまで、徹底的に尖り、無駄を削ぎ落としましょう。

留意点1)到達したあかつきを共有する

「とはいえ、そんな尖ったプロジェクト、周りから迷惑なんじゃ……。」

たしかに飛行機からすると、膨大な煙とエネルギーを出して飛んでいくロケットは、正直とても邪魔です。

しかし、アポロ計画の発端になった旧ソ連 ユーリイ・ガガーリン船長の「地球は青かった」のように、飛行機だけでは味わえない景色を伝えられるのは、プロジェクトの醍醐味であり役目です。

また、ロケット側からの安全確認と告知も、必須です。

発射時には上空にどんな飛行機も飛んでいないこと、かつ宇宙空間に到達したあとも他のロケットや衛星と衝突しない、綿密なシミュレーションが求められます。

いくら尖ったロケットであっても、他人を傷つけていい理由は一切ありません。
周囲への安全管理をしつつ、無駄を削ぎ落とし、研磨しましょう。

ポイント2)加速装置をつける

 現行の主流ロケットでは、秒速11.2Km以上を実現するため、予め、1回ないし2回「加速する装置」を併設しています。

物体は静止状態から動き出す際に最もエネルギーを使用します。
ゆえに、動き始めはwillや忘れられない原体験などの「大きな加速装置=発射台」が望ましいです。

そしてしばらく経ち、重力の影響が強くなってきた頃が、加速装置の出番です。

社内外の賛同者による応援noteやプレスがリリースされたり、原体験やwillを思い出す対話をすぐ実施できるよう、予め準備しておきましょう。

留意点2)初期に全部を使わない

社内に加速装置のことを伝えると、
「じゃあ、地上や飛行機から見える範囲で使ってくれないか?」と言われることがあります。

具体的には、社外の声も社員限定ポータルサイトでのみopenにしたり、対話会も社内に留まる形です。

たしかに地表近くでの加速のほうが、パフォーマンスとしては派手で、衆目を集めます。
しかし、地表近くでの加速では、よしんば大気圏外に行けたとしても、周回軌道は抜けられません。

あえて社内への引力が強くなってきたからこそ、それを振りほどくべく、加速装置は使われるのです。

「あのプロジェクト、なにやってるか分からない」
「予算も人もいて、成果でてないの?」

こんな声があなたに届き始めたころが、周回軌道を抜けるチャンスです。
満を持して、加速装置を起動させましょう。

まとめ

・大企業でのプロジェクトは、いつもの軌道に戻す力=引力が大きい
・引力を振りほどくには、ロケットのように徹底的に尖り、加速装置を予めセットしておくことが必要
・ただし、到達したあかつきを共有しながら、地表の安全確保に務め、加速タイミングを見誤らない

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次回は2021年09月18日(土)更新予定


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