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1泊千円!西成のホテル

 
 今月のはじめに3泊4日で大阪へ行った。実は3年ほど前のインバウンド真っ最中のあの時期にも1人で行ったことがあって、そのときはじめて西成(新今宮のあっち側)に泊まった。

 そこは町ごと小便みたいな臭いがして、治安も見るからに悪いんだけど、当時は外国人旅行客が多くて、変に賑やかであまり気にならなかった。

 ここ一帯のホテル(みたいな施設)はとにかく安くて、私が泊まったのはこのインバウンドの時期に1泊1000円という価格破壊も価格破壊のとこだった。

 内装もよく調べないままにチェックインして部屋へ入ったら、縦長に1.5畳くらいの、もう人間用の犬小屋みたいな部屋が待っていた。隣の部屋とはベニヤ板1枚で隣の人の行動が一挙手一投足、手にとるように分かるのである。

 あまりに息苦しいので窓をあげると目の前には鉄格子と、隣のビルの壁が手が届くような近さでそびえ立つ。この壁のせいで朝になっても日光がさっぱり入ってこず、今が朝なのか夜なのか判別不明という摩訶不思議な空間であった。

 当時は苦肉の策でお酒をたくさん飲んでなんとか寝た。今回は流石に懲りて泊まらなかったけど、それがあまりに強烈に脳裏に焼き付いていて、あれからどうなってるか気になって行くことにした。

 天王寺公園から動物園の方へ向かい、新世界へ出て商店街を歩いて、西成へ。週末は大賑わいで串カツ屋はどこも行列。私はどこで飯を食うわけでもなく、この人流のままに進んでいくと、みんなどこへ行ってしまったのか、途端にめっきり人がいなくなる。

 そうして怪しげなカラオケスナックばかりになり、そんな長い商店街を抜けるとそこは西成であった。

 そんな調子であの時のホテルまだあるかなとブラブラ歩く。しばらくするとなんとあの時の姿のまままだ経営していた。

 このときそのホテルの看板をチラッと見たらこのボロボロの建物の名前、「ホテル ダイヤモンド」と言うらしい。

 ダイヤモンドってなにかね? 名前を改めろ‼︎
ダイヤモンドという存在自体を皮肉っているのか、なにか裏の意味を思わず勘ぐりたくなる。そのパンチの強さにノックアウト気味で逃げるように駅まで歩いた。

 何をしに行ったんだ俺は。

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