Y:83 懐古趣味と老いへの寂しさ
2023.4.15
最近の金曜の夜の楽しみは、Amazon Primeで「スター・トレック:ピカード」を見ることだ。
スタートレック(StarTrek)といえば、知っている人もかなり多いと思うけど、アメリカの人気SFテレビドラマだ。
最初に見たのは中学生か高校生ぐらいの時だった気がするが、世界観が印象的で、そうか、異星人と接触するというのはこういうことなのかと、これまで想像したことのなかった概念を私にもたらしてくれたドラマだ。
これ、かなりいろんなシリーズがあって、熱烈なファンも多い。今見ている「スター・トレック:ピカード」はアメリカでは1987年から1994年にかけて放送された「新スタートレック」のスピンオフ的もので、その主人公とも言えるジャン=リュック・ピカードの名前ピカードを冠した作品だ。
ざっくりいうと、引退してのんびり地上で暮らしていたピカードが再び、宇宙に乗り出してくという話だ。すでにシーズン3まで、放送されていていよいよ完結が近づいてきた。
シーズン3はおそらく、往年のファンにとってはたまらないシーズンだと思う。というのも、当時の出演者の多くが再び出てきて、いわば「大同窓会」の様相を呈しているからだ。
私も大いに楽しんでいる。これでもかってぐらい、懐かしい人たちが続々と出てきて、鳥肌が立つ(笑)この手の長期のドラマだと、出演交渉とかうまくいかなくて、その後ぱったり出なくなるみたいなこともあるだろうに、よくこんなに集まったなと思う。
一方で、上のYoutubeを見るとわかるのだが、みんな歳をとっている。白髪混じりになり、顔には深くシワが刻まれ、おじさんを超え、おじいさんな感じもある。主演のピカードを演じるパトリック・スチュワートはwikipedeiaによると82歳だ。そりゃ、おじいさんだ。
私は字幕版を見ているのだけど、宇宙船を発進させるときに艦長であるピカードが”Engage!”(発進!)というのだけど、もう声がおじいちゃんなのだ。当然のことだ。もしかしたら、あえてそういう芝居かもだけど。
これと見比べて欲しい。
この力強さ。ピカードも若々しい、副長のライカーも髪も髭も黒々としている。念のために言っておくと、年老いてダメだなぁとか言いたいわけなじゃい。なんと言ったらいいのだろう。一抹の寂しさが自然と流れ込んでくるのだ。同窓会の強烈な懐かしさと一抹の寂しさが混在していて、しみじみしてしまう。
同じようなことが「名探偵ポワロ」の吹き替えの熊倉一雄さんでもあった。こちらも24年の長いシリーズなので、終盤のシーズンになると熊倉さんのお声が、弱くなっていくのは聴くのは寂しくもあった。それがポワロのストーリーとも重なる部分もあり、違和感はなかったが、往年の溌剌としたポワロとは違い、寂しかった。
重ねていいのかわからないのだけど、実家の父や11歳になる犬を見ていても一抹の寂しさがあるのだ。老いることは自然なことだし、かく言う私だって、日々、歳をとって、いつの間にか普通の額にシワが刻まれるようになった(笑)
そして、最近、懐古趣味の傾向も強くなった。音楽は中学、高校の頃に聴いていたものを聴くことが多いし、ヨドバシカメラ行くと、ミニ四駆とか、SDガンダムの前で足を止めてしまう(笑)
今回の「スター・トレック:ピカード」も一歩引いて見てみると、最初は若い乗組員たちが中心的に宇宙船を動かしていたのに、いつの間にか懐かしの引退メンバーたちが牛耳り始めているのだ(笑)往年のメンバーたちが、ここに至ってなお、現役メンバーより問題解決能力が高いのだ。そんなことあっていいのかなとも思う。
私の40代というのがそういう歳なのだろうか。若い頃、見ていたものが、美化されて、それに再び触れたいと思う気持ちと、若い頃、見ていたものが、弱く衰えていくのを目の当たりにする経験が同時に押し寄せて、時折、複雑な気持ちになる。
それでも「スター・トレック:ピカード」に関しては余計なこと考えずに大同窓会の大団円を楽しみたいと思う。